広報の目的とは
広報の仕事の目的は、会社や商品のファンを増やすこと。社会に存在する生活者達に、いかに会社のファンになってもらうか。そして、そのファンをどれだけ増やせるかということである。
・数ある競合商品の中から、自社の商品を選んでもらう
・数ある会社の中から「この会社に入社したい」と就職活動中の学生に思ってもらう
・数ある株式銘柄の中から、自社の株式を保有してもらい、会社を応援してもらう
・会社で働く社員やその家族に、誇りに思ってもらえるような会社にする
広報と広告には大きな違いがある。広告はお金をかけてテレビCMやWeb、新聞などの広告枠に、企業が伝えたい事を伝える広報手段の1つである。一方、広報はコミュニケーションによって、企業の事について第三者を介して伝え、評判を形成するものである。
共感を得られるように伝える
ただ「知ってもらう」だけでなく、消費者や取引先、株主や社員、その家族といった受け手の共感や好意を得られるような情報を発信する事こそが、広報が行うべきファンづくりの第一歩である。そういったコミュニケーションのためには、受け手が何を考えているのか、という情報収集も欠かせない。会社のファンが増えると、次のようなメリットがある。
・顧客がどんどん増えていき、売上が伸びてきた
・優秀な人を採用できるようになった
・社員の働くモチベーションが高くなってきた
人が何かのファンになる一番大きな原動力は「共感」である。認知が高まったとしても「共感」が得られなければ意味がない。会社への共感を得るためには「どういう会社なのか」「どういう商品なのか」という、企業ビジョンや企業文化、さらには商品コンセプトなどを明確に伝えなければならない。
広報は経営者を代弁する
広報担当者として重要なのは、会社や経営者の代弁者になる事である。広報担当者は会社の事を語れるようにならなければならず、またその内容が経営者の考えと相反するものであってはならない。会社や経営の戦略をきちんと理解し、それを正しく発信できる力が求められる。そのために、次の点について経営者と密にコミュニケーションを図る必要がある。
・いま、注力している事業は何なのか
・課題と思っているテーマは何なのか
・会社の企業文化や強みはどんなところにあるのか
広報に求められるスキル
広報担当者の基本スキルとなるのはコミュニケーション力であり、次の3つの基礎力である。
①読み書き
プレスリリースなどは、ぱっと見て一瞬で「魅力的に伝える」事ができるかが勝負。そのためには次の3つが大切である。
・専門用語を使いすぎない
・見出しでニュース性や明確なメッセージを表現する
・プレスリリースであれば、どのような記事になったのかを確認し、その後の文を書く時に活かす
②聞く話す
情報は待っていてもやってくるものではない。広報のネタは積極的に取りにいかなければならない。そこで、いろいろな角度から質問を投げかける事で社員からネタの素材を引き出したり、あるいはどんな内容だったら記事に取り上げたくなるのかを記者から聞き出しておくという日頃の努力が欠かせない。そのためには質問力や雑談力が必要である。
③編集力
たくさんある情報をどう組み合わせて、ストーリーを組み立てるのかは広報として重要なスキルである。広報はメディアではなく、あくまで企業の情報発信者なので、メディアが取り上げたくなる、メディアが企画を考えやすくなる、画づくりが思い浮かびそうなストーリーを描く事を意識する。時流や届けたい相手を考えて、どういう伝え方をすれば興味を引く事ができるのかを考える。
成長をかけ算にする
広報の活動は、単に会社のイメージ向上を図るだけではない。自社の商品やサービスの認知度を高め、商品やサービス自体のファンを増やす活動が重要になってくる。
広報はいわゆる広告や販促とは異なり、コストをかけてサービスの利用を促したり、会員登録してもらうのではなく、メディアとのコミュニケーションから記事露出を図ったり、ソーシャルメディアでの発信などによって、サービスに興味を持ってもらい、サービスの利用につなげる事が目的となる。
広報によって事業が「1+1」ではなく「1×∞」になる可能性がある。会社のブランディングを図る企業広報では、メディアに露出する事でコーポレートサイトへのアクセス数が急増したり、Twitterなどで会社について語られる事が急増する事はよくある。サービス広報であれば、これが商品の購入やサービスの利用など事業に直結してくる。つまり、広報は事業を「かけ算」で伸ばし、会社をスピーディーに成長させる事ができ得る仕事である。
かけ算の値を最大化できるようにするためには、何よりも関係する各部署との連携が欠かせない。社内の各部署と連携して適切なタイミングで広報活動を行う事で、広報の効果を最大化できる。
どうすれば会社の記事がメディアに取り上げられるのか?
まずはメディアの視点に立って考えてみる。メディアが取り上げた内容について、何が見られたり読まれたりしたのか、その結果は如実に数字として現れているはずである。メディアの先には読者や視聴者となる生活者がいる。だから、その生活者のニーズを踏まえて、取り上げる情報の選定をしているのは当然の事である。
メディアの先にいる生活者が興味を持つ事とは何か。それはメディアのターゲット属性によるものが大きい。ところが、メディアに取り上げてもらうには読者・視聴者にマッチすればOKかと言えば、すべてがそうだとは限らない。時節的なイベントや、今世の中で話題になっていること、気になっているもの、これから流行りそうなもの、もしくは皆がこう思っていたけど実はこうなっている、といったサプライズ的な内容といったように、実は「時流に合っていること」が重要なポイントになってくる。
自分の会社の中に、ある事象や事業、または商品やサービスがあったとしても、それらをただ単にそのまま広報しようとしても、メディアに取り上げられる確率は極めて低い。「時流」を取り入れる事で、取り上げられる確度が上がる。