リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術

発刊
2021年3月19日
ページ数
384ページ
読了目安
414分
推薦ポイント 6P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

経験を学びに変えるためのフレームワーク
自分の内面を客観的、批判的に振り返ることで、経験が学びに変わる。自分のものの見方、価値観を認識するためのフレームワークを紹介しながら、自分とチームの学びを加速するための方法が紹介されています。変化の激しい時代にあって、自ら学習していく成長するために必要な考え方が書かれています。

経験を客観視することで新たな学びを得る

自ら定めた目的を実現するために学び続ける「自律型人材」の育成で最も重視しているのが「リフレクション」と「対話」、その2つの質を高める「メタ認知」である。

 

リフレクションとは、自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為である。「内省」という言葉が最も近い。リフレクションは、あらゆるスキル習得の前提となる力として注目されている。リフレクションの目的は、あらゆる経験から学び、未来に活かすこと。どのような経験にも、たくさんの「叡智」が詰まっている。経験を客観視することで新たな学びを得て、未来の意思決定と行動に活かしていくのがリフレクションである。

 

認知の枠組みを整理するフレームワーク「認知の4点セット」

認知(知覚と判断)は、事実や経験の中から、ある特定の事実を知覚するところから始まる。この時、知覚した事実をどのように捉えるのかは、過去の経験や知識によって形成されたものの見方に依存する。新たな事実に対する知覚と判断を行うと、その経験を通して新たなものの見方が再形成され、蓄積されていく。

 

「認知の4点セット」の目的は、メタ認知(認知していることを認知する)力を高めることである。事実や経験に対する自分の判断や意見を、「意見」「経験」「感情」「価値観」に切り分けて可視化することによって、自分の内面を多面的に深掘りし、柔軟な思考を持つことができるようになる。

 

①意見:あなたの意見は何ですか?

②経験:その意見の背景には、どのような経験や、経験を通して知っていることがありますか?

③感情:その経験には、どのような感情が紐づいていますか?

④価値観:意見、経験、感情を俯瞰して、大切にしていることが何かを明らかにする

 

リフレクションの質を高めるために、認知の4点セットのフレームワークを使って、日常から「意見」「経験」「感情」「価値観」を切り分ける習慣を持つ。

 

リフレクションの難しさは、自己の認知に依存するところにある。自分が何を知覚してどのような判断をしたのか(意見)、その背景にはどのような経験や感情、価値観が存在しているのかを知ることで、初めて、自分のリフレクションを俯瞰することが可能になる。

 

リフレクション基本の5メソッド

①自分を知る

私たちの動機の源「内発的動機(やりがいや喜びを感じる理由)」を把握しておけば、どんな時でも自分のモチベーションを自ら動かすことが可能になる。次の4つのリフレクション(「認知の4点セット」の問いに答える)を通して自分の大切にしている価値観を言語化し、動機の源を探す。

  1. キーワードリストの中から、最も大切なものを1つ選び、リフレクションする
  2. 感情が動いた日常の出来事を題材に、定期的にリフレクションする
  3. 腹がたったこと、不快に感じることを、リフレクションする
  4. 自分史を元にリフレクションする

 

②ビジョンを形成する

自分の心の中にあるビジョンの種を動機の源に結びつけることで、「自分は何を実現したいのか」が明確になる。ビジョンを形成するリフレクションでは、ネガティブな感情に焦点を当て、「認知の4点セット」でリフレクションを行う。

ビジョン(ありたい姿)を明確にし、現状とのギャップを埋めようと思う時に、答えと出会う「決定的瞬間」が訪れる。

 

③経験から学ぶ

何かにチャレンジして失敗した時に、「できない」と思い込むのか、「これからできるようになる」と可能性に目を向けるのかで、経験から得られる学びの質が変わる。あらゆる経験を糧にするために、経験から学ぶリフレクションを身につける。経験から学ぶリフレクションには、コルブの経験学習サイクルが欠かせない。次の4つのステップを繰り返すことで、経験から学ぶ力を高める。

1.経験する → 2.振り返る → 3.法則を見出す → 4.次の計画に活かす

 

経験学習のレベルは、次の4つに分かれている。

  1. 結果のリフレクション:経験に振り返りがこのレベルに終始していると、経験を学びに変えられない
  2. 他責のリフレクション:他者か環境に原因を求めていては、未来を変えるヒントは得られない
  3. 行動のリフレクション:自らの行動を振り返り、結果と結びつけることで、次にとるべき行動が変わる
  4. 内面のリフレクション:行動の前提にある自分の考えを俯瞰することで可能になる

 

④多様な世界から学ぶ

視野を広げてより深く物事を考え、アンラーンするためには、対話という学び方が必要になる。対話とは、自己を内省し、評価判断を保留にして、他者と共感する聴き方と話し方である。対話には、3つのステップがある。

  1. 自分の考えを認知の4点セットでリフレクションする
  2. 感情をコントロールし、評価判断を保留にする
  3. 相手の意見を認知の4点セットで聴き取り、共感する

対話を通して、多様な世界から学び、自分の世界を広げる。

 

⑤アンラーンする(学んだことを手放す)

過去の学び(成功体験)を手放す。アンラーンでは、アンラーンした先の世界に生きる人たちの様子を想像してみたり、実際に彼らの経験談を聴き、その世界を追体験してみることが大切である。アンラーンは次の3つのステップで行う。

  1. 過去の成功体験をリフレクションする
  2. アンラーンの先にある世界を想像してみる
  3. アンラーンする