ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方

発刊
2021年2月17日
ページ数
288ページ
読了目安
311分
推薦ポイント 4P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

勝ち続ける組織をつくるにはどうすればいいのか
組織やチームの中で無意識に共有されている価値観をどのように変えて、勝ち続ける組織にすればいいのか。
自分たちの組織文化を認識し、それを変えて、目標を達成する組織にするために必要な考え方とメソッドが紹介されています。

ウィニングカルチャーとは

ウィニングカルチャーとは「自ら問い続けること」である。「勝ちとは何か」「なぜ勝つのか」「どう勝つのか」「どこまで勝ち続けるのか」。一度導き出した「解」をあえて自分で疑い、自問を繰り返し、過去の成果に甘えることなく、自分の殻を破って謙虚に学び続け、進化や成長を止めないことである。

「ウィン=勝ち」とは、自分たちが定めた目標にたどり着くこと。大切なのは、掲げた目標を達成すべく組織が一丸となって動くことである。そして自分たちの掲げた目標を信じるだけでなく、あえて疑い、自問し、考え、進化し続けることである。

 

組織文化とは

組織文化は、その組織を構成する人だけに共有される価値観のこと。組織やチームの中で共有される好き嫌いやこだわりなどの価値観が組織文化である。この暗黙のルールや空気といった価値観は、組織全体の方向性を決定づけるのに大きな影響を与えている。その組織に属する人々がどんな価値観で判断を下すのかという一人ひとりの小さな意思決定にも影響を与えている。

通常、人は行動の5〜9割を無意識に行っていると言われる。組織も同じように、目に見える環境と目に見えない環境が影響し合い、最終的にその場の組織文化をつくりだす。

 

企業にはそれぞれ唯一無二の組織文化がある。優れた企業の組織文化を真似して自分たちの企業に移植しようとしても、基本的には機能しない。組織に属するそれぞれの人のあり方や営み、日々交わされる言葉、行動、これらを規定する制度や人々が共有する言葉にならない価値観を通じて、その組織にしか通用しない文化が醸成される。組織文化は模倣されないため、強みにもなる。これからの時代は、自分たちの組織文化を知り、その独自性を強めていくことが重要な意味を持つ。

 

組織文化を変えるには、そこに属する一人ひとりの反応や態度を解き明かし、言葉や行動を変えることが必要になる。一人ひとりの変化なくして、組織文化は変わらない。そして個々人の反応を知るために必要なのが、感情や弱みをさらけ出すことである。弱みをさらけ出し、時には自分を疑うことで見えてくる「素」の自分。これを「オーセンティシティ(飾り気のない自分らしさ)」という。組織文化を知るには、まず中にいる人のオーセンティシティを知ることからスタートすると良い。

 

組織文化を知る

組織文化を知るために大切なのは、組織の中で起こった事実ではなく、起こった事実に対する中の人の反応や態度である。普段当たり前のように交わされている会話や行動の軸となる価値観、何となく共有されている組織の中の常識とも表現できる。厄介なのは、それが当たり前であるため、自分たちの組織文化はわかりづらいということ。

自分たちが毎日、何となく抱いている感情や態度、行動を明瞭に言葉にすること。意識して疑問を持つようにし、自分たちが何者なのかを考えようとすることが組織文化を知るスタート地点となる。組織文化を知る方法は以下の通り。

 

①自分で知る

・組織の中にいる人が、自分たちの組織をどう思っているか、何を大事にしているのか問いを投げかける。

・チェックリストで客観的に評価する。

・「フォーマル、インフォーマル」「現場と遠い、現場と近い」の4象限の場から、自分たちの行動や言動を考える。

 

②他者に聞く

・自分たちが他者からどう見られているか予測し、他者にヒアリングした後に予測と評価のギャップを振り返る。

 

③他者と触れ合う

・実際に他者と触れ合い、他者との違いを肌で感じ、その感覚を言葉にする。

 

組織文化を変える

組織文化を変えるには、実際に目に見える部分から変えるしかない。組織の中にいる人たちが強烈に反応するものがある。痛いところを突かれた、確かにそうだよな、と思うレバーを引くことが組織文化を変革する起点になる。

影響力のある本質を見つけたとしても、組織文化の変革には長い時間がかかる。短くても数年、長ければ10年を超えるプロジェクトになるという覚悟が必要である。しかも、組織文化を変えたからといって、すぐに目に見える成果が出るわけでもない。

 

組織文化を変えるには、一人ひとりの言葉や行動、価値観が変わることが必須である。しかし、変革を受け入れる度合いや変革を理解する度合い、変革による行動変容の度合いは人によって異なる。そのため、それぞれの人に合ったアドバイスや声かけをしなくてはならない。組織文化を変える手順は次の通り。

 

①仲間をつくる

組織は一人で変えることはできないため、まず仲間を集める。社内外の情報が集まる人をメンバーに加えると効果的。

 

②組織の理想像を決める

目指す組織像をできる限り明確に言葉にして、理想の組織の形を掲げる。

 

③行動基準を決める

それぞれの組織に合った具体的な行動基準を決める。自分たちの感覚を、具体的な行動や言動に落とし込む。

 

④振り返りとフィードバック(伝える→見本を見せる→問いかける→託す)

行動基準を実行し始めたら、それができているかをチェックする。