成果あげるための習慣
仕事と成果を大幅に改善する唯一の方法は、成果をあげる能力を向上させることである。成果をあげる人に共通するのは、才覚や個性ではなく、成果をあげる能力だけである。
成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の集積である。実践的な能力は、反復することで修得することができる。
成果をあげるための習慣には次の5つがある。
①何に時間がとられているか知る。残された時間を管理する。
②仕事そのものではなく「期待されている成果は何か」に焦点をあてる。
③自らの強みを基盤にする。
④優れた仕事が際立った成果をあげる領域に集中する。
⑤成果をあげるよう、合意ではなく、見解に基づいた意思決定を行う。
時間を管理する
成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。時間は他のもので代替できない。成果をあげるには自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。そのため、時間を以下の通り、管理することが大切である。
・時間が何にとられているかを明らかにする。
・時間に対する非生産的な要求を退ける。
・得られた時間を大きくまとめる。
自ら果たすべき貢献を考える
成果をあげるには、自ら果たすべき貢献を考える必要がある。手元の仕事から顔を上げ、目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問うことが大切である。
貢献に焦点を合わせることによって、自らの狭い専門やスキル、部門ではなく、組織全体の成果に注意を向けるようになる。成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向ける。その結果、仕事や仕事の仕方が変わっていく。
人の強みを生かす
弱みからは何も生まれない。結果を生むには利用できる限りの強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを動員しなければならない。組織の役割は、一人ひとりの強みを共同の事業のために使うことである。
人事では、弱みを最大限に抑えることではなく、強みを最大に発揮させることが重要である。弱みに配慮した人事を行えば、平凡な組織に終わる。そして人事は、人間関係を人ではなく仕事を中心に構築しなければならない。
一つのことに集中する
成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。時間を分析すると、真の貢献をもたらす仕事に割ける時間はあまりに少ない。上方への貢献に焦点を合わせるほど、まとまった時間が必要になる。
自らの強みを生かそうとすれば、その強みを重要な機会に集中する必要がある。集中するには、次の原則がある。
・生産的でなくなった過去のものを捨てる(仕事を定期的に見直す)
・劣後順位を決定する(取り組むべきでない仕事を決定し、遵守する)
成果をあげるための意思決定
①問題の種類を知る(一般的な問題か例外的な問題か)
②必要条件を明確にする(決定の目的、目標、必要条件を明らかにする)
③何が正しいかを知る(満たすべき必要条件に対し、何が正しいかを考える)
④行動に変える(最初の段階から行動への取り組みを組み込んでおく)
⑤フィードバックを行う(決定の基礎となった仮定を現実に照らし検証する)
成果をあげる決定は、共通の理解と、対立する意見、競合する選択肢をめぐる検討から生まれる。成果をあげるエグゼクティブは、意思決定を意見からスタートさせる。意見を事実によって検証していく。意思決定の評価測定の基準には、自ら出かけ、現実からフィードバックを得る必要がある。