ブレイクスルー思考とは
ブレイクスルー思考ではすべてのモノゴトをシステムとして認識する。これを「システム観」という。問題を単体としてとらえるのではなく、システムとしてとらえることで、より広い視点でモノゴトを見ることができるようになる。そのため、解決策も単なるアクションプランではなく、1つのシステムとして設計する。
ここでいうシステムとは、「人間の目的を中心に複数の要素が関連しあって全体をなしているもの」を指す。ブレイクスルー思考では、思考の根拠を「事実」ではなく、事実に対して向き合う人間の持つ「目的」に置く。そのシステムが何のためのものなのかという目的を考えるところから始める。
ブレイクスルー思考の進め方
ブレイクスルー思考は、次の4つのプロセスによって進める。
①人間中心で考える
問題解決をモノやコトから考えていくのではなく、問題に関わる人間自身の視点で当事者がそれを解決していくという考え方をとる。ブレイクスルー思考は合意プロセスの積み重ねで実行プロセスまでコトを運ぶので、まず、最初の段階で問題の全体を眺め、問題や解決策に関わる関係者の参画を図る。
- 関係者をリストアップし、いつ・どのように巻き込むのかを考える
- 主役と課題解決の場を設定する(特定解を導くことを前提としてシステムの範囲を設定する)
②目的を考える
設定した主役の目的を考える。考える時には、主役がその行動によって達成しようとする「事柄(着眼目的)」と、目的達成に向けた何らかの理想や願望といった「価値」に分けて考える。
- 主役の目的を考え、それを展開し「これだ!」という着眼目的を決定する
- 着眼目的に「あったらいいな・できたらいいな」という価値観を付加する
③あるべき姿をイメージする
たとえ実現不可能であっても、未来における究極の理想状態、あるべき姿をイメージし、そこに近づくためのチャレンジする姿をイメージする。現状の制約から逃れ自由な発想を促すため、まずは実現性にとらわれずに考えていく。
- 「着眼目的+価値観」の実現のために2つの目標値(究極の理想値、ターゲット目標)と測定基準を設定する
- 「究極のあるべき姿」とその実現方法をコンセプト化して表現する
- 実現するあるべき姿とその実現方法をコンセプト化して表現する
④実現システムをつくる
問題も解決策もすべては1つのシステムとして存在していると認識するので、システムとしての解決策を考える。
- あるべき姿を実現するシステムをつくる
8つの要素(目的、あるべき姿、現状、処理プロセス、環境媒体、人間媒体、物的媒体、情報媒体)から組み立てる - システムマトリックスで見えない部分を補完する
6つの切り口(価値観、基準、管理、摩擦、相乗、将来)でシステムの抜け漏れを防ぐ