オペレーショナル・エクセレンス 業務改革(BPR)の理論と実践

発刊
2024年11月1日
ページ数
160ページ
読了目安
200分
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推薦者

業務改革の具体的なポイント
「強いオペレーション」は、効率的な事業運営を実現し、利益を生み出す。現状の業務を可視化し、業務改革を成功させるための理論と実践方法を紹介している一冊。

自社の業務を整理し、最適化することで、業務効率を高め、企業の力を強めるための手法を理解することができます。

オペレーショナル・エクセレンスの3要素

業務で利益を生む力を「オペレーショナル・エクセレンス」という。強いオペレーションは経営の武器である。オペレーション力が卓越した企業に共通する要素は次の3つであり、これらはオペレーショナル・エクセレンスを構成する。

 

①管理指標:指標が整っている

事業に関わっている組織横断、職能横断で指標が一意に決める。管理指標の作り込みにおいては、以下の2つの連携に留意することが大切である。

  1. FI:財務指標
  2. OI:オペレーション指標

経営者の目標値は、 ROIC・EBITDA・ROEなど、FIとして定義される。一方、OIは業務を行う現場ワークとの親和性が高く、売上増・リードタイム短縮・コスト削減など、行動に結びつく指標群である。FIとOIはつながっているか。財務指標を好転させるには、指標と行動(業務)とのつながりが明示されなければならない。

 

②業務体系とITシステム:仕組みが整っている

現場の実相が表現されていて実態把握だけでなく、改革の検討にも資する、使える業務フローを整える。業務フローとは、業務をある粒度(タスク)までブレイクダウンし、タスクをフローチャート形式で表現して流れを可視化したものである。このブレイクダウンの深さに応じて、レイヤーが複数存在することになる。これを4つのレイヤーで捉える。

  1. 機能群:企業における事業活動の流れを表現したレイヤーであり、部門間での業務の大きな流れを示す
  2. 機能:レイヤー1での機能を細分化した層であり、部門の下部組織である部署間における業務のやり取りを示す
  3. 処理:レイヤー2での業務を細分化した層であり、誰が何をどの順で対応するか、担当者レベルでのタスクの流れを示す
  4. 手順:レイヤー3での1タスクについて詳細に定義したレイヤーで、いわゆる業務マニュアル

 

情報システムは業務プロセスと一体の関係にある。業務あってのシステムというのが基本であり、システムが先行することは一般的に好ましくない。オペレーショナル・エクセレンスにとってのITシステムとは単なる道具であり、「どう使うか」に目を向けるべきである。

 

③人材リソース管理:適材が適所に配されている

人材リソース管理は以下3つのコンポーネントからなる。

  1. 把握する(スキルの棚卸し、スキルの体系化)
    まずスキル実態を把握しなければならない。オペレーショナル・エクセレンスの実現のためにはより実践的・具体的な記述が必要になる。
  2. 育む(育成プログラム、達成度評価)
    自社内部のスキルの習得をより実践可能な形に落とし込むために「ロールモデルの思考法」に学ぶ。
    ケースを想定する→「あなたならどうする?」と問う→ロールモデルの考えや行動と照らし合わせ比較検討する
  3. マッチング(スキル保有者と職務定義書のマッチング)
    職務定義書は業務体系全体との連関の中で作成する。全体の「組織図」があって職能分担を整理する中で、ポジションの職務定義が可能になるし、個々の「業務フロー」があってその職務で果たすべき役割が明確化される。

 

業務改革のテクニック

オペレーショナル・エクセレンスを得るための最初の一歩は業務フローの作成である。強いオペレーションを実現できる企業は、戦略→戦術→実行のサイクルが速い。この戦略、戦術の立案には、現場の業務、現実の業務を深く理解していることが必要になる。業務改革のテクニックは、次の通りである。

 

①業務の可視化

業務を可視化するには、次の4つの切り口がある。

  1. 業務の流れ
  2. 業務で扱う情報
  3. 業務遂行の土台であり役割分担のベースとなる組織
  4. 業務遂行の主体となる人・スキル

これら4つの切り口で、以下のコツに従って業務の流れをフローチャートで可視化する。

  • タスク名は成果物よりも目的・行為を意識する
  • タスクをブレイクダウンする際に粒度を統一する
  • 例外系こそ可視化する

 

②問題の可視化

出発点は何を問題として捉えるかである。業務遂行においては、QCD(品質・コスト・納期)をうまくバランスさせる必要があるが、時にいずれかが損なわれてしまうことがある。それが「問題」である。問題発見のアプローチは以下に通り。

  • じっとフローを観察して「何かおかしい」という点を見つける
  • 「〜らしい」という現場の声に耳を澄ませる
  • そもそもの業務目的に立ち返って検証する

 

③業務の整流化

特定した問題を解消し業務を円滑な流れへと整える。ここではECRSという業務改善フレームワークを活用する。

  • E:扶養業務を排除する
  • C:他のタスクと統合して不要とする
  • R:他のより軽い代替手段を取り入れる
  • S:自動化するなどして人手での作業としては取り除く

 

④暗黙知の可視化

有識者や熟練者がどのように考えて判断・行動しているのか、脳内の思考プロセスを放出してもらう言語化・明文化する。過去の多くの実例をひもとく。

 

⑤結果の可視化

FIとOIの関連を明示する。財務指標を行動指標にブレイクダウンする。

 

参考文献・紹介書籍