顧客こそが重要
「圧倒的な業績」を出し続けている企業の共通点は「愉しそうに仕事をしている」こと。彼らには「明日の売上はどうなるのだろうか」という不安がない。それは「顧客の数」しか見ていないからである。十分な顧客がいるので、いざとなっても売上を作ることができるのである。
顧客とは誰か。一度でも自社の商品やサービスを買ってくれた人は「お客」となる。その後、二度三度と買ってくれた人は「リピーター」になる。「顧客」はその先の概念である。リピート購入=顧客ではなく、その相手を「顧客」と呼ぶためには、「心の在りよう」という決定的な要素がある。「心の在りよう」は、主に3つから成り立っている。
- 愛着を持っている
- 信頼を寄せている
- 共感を抱いている
この「心の在りよう」を持った人を「顧客」という。「顧客」とは、「その店に愛着と信頼を持っている」から、別の店ができてもあえてその店で買おうとするし、口コミで広めてくれたりもする人のことを指す。言い換えると「ファン」である。
顧客は、単なるリピーターではないため、1000人の顧客が来年、急に1人になってしまうようなことがない。そして、売上や利益が消え去ってしまった時に助けてくれる。顧客数こそ、企業にとって一番安定した資産なのである。
顧客を増やすと、確実に売上が上がる
「顧客の数」だけを追うと、売上も利益も上がる。その理由は次の3つのメカニズムが働くからである。
①接触効果
ある企業や店に愛着、信頼、共感を抱くと、顧客はより密にコミュニケーションを取りたくなる。そして、コミュニケーションを密に取れば取るほど、ロイヤリティは上がっていく。(単純接触効果)
②貢献実感
ある企業や店に愛着、信頼、共感を抱くと、その対象に貢献したくなる。そのため、確実にリピートする、より来店回数を増やす、より良いものを買う、様々な商品を買うという行動をとる。
③共鳴価値
ある商品やサービス、企業や店に、感情的な共感と共に価値を感じた時、人は「買いたい」のスイッチが入り、「高い・安い」という視点で物事を見なくなり、喜びと共に購入する。その結果として、高いものも買ってくれるようになり、顧客化も進む。
ある会社や商品、店に愛着と信頼、共感を頂いた人は、それを誰かに薦めたくなる。そして、口コミやSNS、グルメサイトなどの様々な方法で、実際に広めようとしてくれる。そのため、顧客が増えれば増えるほど、特別な努力をしなくても、新しいお客さんが常にやってくる状況になる。
まず顧客を定義せよ
顧客を増やすためには、まず「自分にとっての顧客とは誰か」を定義する必要がある。そして、自分だけの顧客を生むために、まずすべきことは「すべてのお客さんを対象にしない」こと。すべてのお客さんに好かれようとせず、「特定多数」だけを対象にする。
顧客を特定するためには、実在する顧客を思い描く。その顧客を「典型的・象徴的な顧客」としてしっかり見つめ、そういう顧客の「数」を増やそうと考える。だからこそ、施策はより具体的になり、それが次々と顧客の心をつかんでいく。
将来的に有望な市場から顧客を探すべきではない。「数が多いから」という理由で、そこで顧客を探そうとすること自体が「顧客の数」を増やしていくこととずれてしまう。「顧客」を生むためには、「顧客」は探さない。市場調査もしない。
顧客は「生み出す」ものである。顧客は、自分たちが提供したモノやサービスの価値に、相手が共鳴した瞬間に生まれる。つまり、顧客を増やすためには、自分たちの提供する「価値とは何か」を考えなくてはならない。
価値は、新しいものを開発しなくても、何も付け加えなくても、高めることはできる。お客さんがそれを「価値」だと認識してくれれば、そこに付加価値は生まれる。「こういう人に顧客になって欲しい」からスタートし、「こういう価値を提供したい」から始まって、その価値に共鳴してくれる人が顧客になる。
つながりを作る
「顧客の数」を増やすためには、「つながる」ことも大切である。つながるからこそ「顧客」は「顧客」でい続けてくれる。顧客とつながる方法はいくらでもある。
- お客さんに声をかける
- 自己紹介をニューズレターで送る
- ワークショップやイベントを開く
まず行うべきは「顧客を数える仕組みを作る」ことである。リストすら作っていないところは、そこからスタートする。「顧客の数」は一朝一夕には増えない。だからこそ、すぐ動けば、それだけ「顧客の数」がもたらす果実を早く手にすることができる。