顧客の数だけ、見ればいい

発刊
2024年10月22日
ページ数
320ページ
読了目安
345分
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安定した売上をつくるためのマーケティングの鉄則
顧客こそが最大の資産である。継続的に商品やサービスを購入してくれ、新しい顧客を連れてきてくれるロイヤリティの高い顧客を生み出すことこそが、明日の売上をつくるための確実な方法であるとし、その考え方が紹介されています。

新しいものを開発したり、特別なことをしなくても、お客さんに認めてもらえる価値は作れるとし、どのように顧客を増やせば良いのかが解説されています。商売を継続していくための鉄則とも言えるマーケティングの考え方が書かれています。

顧客こそが重要

「圧倒的な業績」を出し続けている企業の共通点は「愉しそうに仕事をしている」こと。彼らには「明日の売上はどうなるのだろうか」という不安がない。それは「顧客の数」しか見ていないからである。十分な顧客がいるので、いざとなっても売上を作ることができるのである。

 

顧客とは誰か。一度でも自社の商品やサービスを買ってくれた人は「お客」となる。その後、二度三度と買ってくれた人は「リピーター」になる。「顧客」はその先の概念である。リピート購入=顧客ではなく、その相手を「顧客」と呼ぶためには、「心の在りよう」という決定的な要素がある。「心の在りよう」は、主に3つから成り立っている。

  1. 愛着を持っている
  2. 信頼を寄せている
  3. 共感を抱いている

この「心の在りよう」を持った人を「顧客」という。「顧客」とは、「その店に愛着と信頼を持っている」から、別の店ができてもあえてその店で買おうとするし、口コミで広めてくれたりもする人のことを指す。言い換えると「ファン」である。

 

顧客は、単なるリピーターではないため、1000人の顧客が来年、急に1人になってしまうようなことがない。そして、売上や利益が消え去ってしまった時に助けてくれる。顧客数こそ、企業にとって一番安定した資産なのである。

 

顧客を増やすと、確実に売上が上がる

「顧客の数」だけを追うと、売上も利益も上がる。その理由は次の3つのメカニズムが働くからである。

 

①接触効果

ある企業や店に愛着、信頼、共感を抱くと、顧客はより密にコミュニケーションを取りたくなる。そして、コミュニケーションを密に取れば取るほど、ロイヤリティは上がっていく。(単純接触効果)

 

②貢献実感

ある企業や店に愛着、信頼、共感を抱くと、その対象に貢献したくなる。そのため、確実にリピートする、より来店回数を増やす、より良いものを買う、様々な商品を買うという行動をとる。

 

③共鳴価値

ある商品やサービス、企業や店に、感情的な共感と共に価値を感じた時、人は「買いたい」のスイッチが入り、「高い・安い」という視点で物事を見なくなり、喜びと共に購入する。その結果として、高いものも買ってくれるようになり、顧客化も進む。

 

ある会社や商品、店に愛着と信頼、共感を頂いた人は、それを誰かに薦めたくなる。そして、口コミやSNS、グルメサイトなどの様々な方法で、実際に広めようとしてくれる。そのため、顧客が増えれば増えるほど、特別な努力をしなくても、新しいお客さんが常にやってくる状況になる。

 

まず顧客を定義せよ

顧客を増やすためには、まず「自分にとっての顧客とは誰か」を定義する必要がある。そして、自分だけの顧客を生むために、まずすべきことは「すべてのお客さんを対象にしない」こと。すべてのお客さんに好かれようとせず、「特定多数」だけを対象にする。

顧客を特定するためには、実在する顧客を思い描く。その顧客を「典型的・象徴的な顧客」としてしっかり見つめ、そういう顧客の「数」を増やそうと考える。だからこそ、施策はより具体的になり、それが次々と顧客の心をつかんでいく。

 

将来的に有望な市場から顧客を探すべきではない。「数が多いから」という理由で、そこで顧客を探そうとすること自体が「顧客の数」を増やしていくこととずれてしまう。「顧客」を生むためには、「顧客」は探さない。市場調査もしない。

顧客は「生み出す」ものである。顧客は、自分たちが提供したモノやサービスの価値に、相手が共鳴した瞬間に生まれる。つまり、顧客を増やすためには、自分たちの提供する「価値とは何か」を考えなくてはならない。

 

価値は、新しいものを開発しなくても、何も付け加えなくても、高めることはできる。お客さんがそれを「価値」だと認識してくれれば、そこに付加価値は生まれる。「こういう人に顧客になって欲しい」からスタートし、「こういう価値を提供したい」から始まって、その価値に共鳴してくれる人が顧客になる。

 

つながりを作る

「顧客の数」を増やすためには、「つながる」ことも大切である。つながるからこそ「顧客」は「顧客」でい続けてくれる。顧客とつながる方法はいくらでもある。

  • お客さんに声をかける
  • 自己紹介をニューズレターで送る
  • ワークショップやイベントを開く

 

まず行うべきは「顧客を数える仕組みを作る」ことである。リストすら作っていないところは、そこからスタートする。「顧客の数」は一朝一夕には増えない。だからこそ、すぐ動けば、それだけ「顧客の数」がもたらす果実を早く手にすることができる。