人口の減少は決して止まらない
経済が成長し続けたとしても、少子化に歯止めがかかったり、高齢者の激増スピードが緩んだりするわけではない。2015年時点において1億2700万人を数えた日本の総人口は40年後には9000万人を下回り、100年も経たない内に5000万人ほどに減る。
日本の課題は①出生数の減少、②高齢者の激増、③社会の支え手の不足、④これらが互いに絡み合って起こる人口減少、である。出生数の減少も人口の減少も避けられないとすれば、それを前提として社会の作り替えをしていくしかない。求められている現実的な選択肢とは、拡大路線でやってきた従来の成功体験と訣別し、戦略的に縮むことである。我々が目指すべきは、人口激減後を見据えたコンパクトで効率的な国への作り替えである。
未来の年表
2017年:「おばあちゃん大国」に変化日本人女性の3人に1人が65歳以上に。高齢者がより高齢化する
2018年:国立大学が倒産の危機へ
18歳人口が急減し始め、定員割れは当たり前。学生の募集を停止する流れが加速する
2019年:IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
社会インフラの老朽化も進む。だが、それらを支える技術者の後継者が不足
2020年:女性の2人に1人が50歳以上に
出産できる女性が激減し、少子化はさらなる少子化を呼ぶ
2021年:介護離職が大量発生する
団塊ジュニア世代が50代に突入し、企業は管理職の人材不足に悩む
2022年:「一人暮らし社会」が本格化する
独居世帯は1/3超。一人暮らしをする貧しい高齢者の急増が大問題に
2023年:企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
労働力人口が5年間で約300万人も減る一方、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入
2024年:3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
全国民の6人に1人が75歳以上、毎年の死亡者は出生数の2倍。老老介護がのしかかる
2025年:東京都も人口減少へ
息子や娘を頼る高齢者が、地方から東京に流入し始め、医療施設や福祉施設の不足が深刻化
2026年:認知症患者が700万人規模に
介護する側もされる側も認知症患者という現実が待ち受ける
2030年:百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
生産年齢人口が極端に減り、全国の都道府県の80%が生産力不足に陥る
2033年:全国の住宅の1/3が空き家になる
増大する「老いる家」のせいで街の景観は崩れ、治安も悪化してゆく
2035年:「未婚大国」が誕生する
男性の1/3、女性の1/5が生涯未婚に
2039年:深刻な火葬場不足に陥る
国内死亡者数が約168万人とピークを迎え、霊園不足という難題も降りかかる
2040年:自治体の半数が消滅の危機に
青森市、秋田市などの県庁所在地ですら、消える可能性がある
2042年:高齢者人口が約4000万人とピークに
就職氷河期世代が老い、独居高齢者が大量に生まれ、最大のピンチに陥る
2045年:東京都民の1/3が高齢者に
東京圏でも限界集落が続々出現し、東京郊外はゴーストタウン化してゆく
2050年:世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
日本が人口減少する一方で、世界人口は約100億人に
2065年〜:外国人が無人の国土を占拠する
現在の居住地域の約20%が「誰も住まない土地」になる
最新推計は、2065年に女性の平均寿命は91歳を超して、国民の2.5人に1人が高齢者になる社会を描き出している。
日本を救う10の処方箋
①「高齢者」の定義を「75歳以上」とし、社会の支え手を捉え直す②24時間営業の利便性から脱却する
③非居住者エリアを明確化する
④都道府県を飛び地合併させ、大都市部と地方自治体の結び付きを強化する
⑤国際分業を徹底し、得意分野だけに資源を集中させる
⑥「匠の技」を活用し、付加価値の高い少量生産、少量販売モデルに転換する
⑦国費学生制度で必要な人材を育成する
⑧日本版CCRCによる中高年の地方移住を推進する
⑨セカンド市民制度によって、交流人口を増やす
⑩第3子に1000万円給付する