頭のいい人だけが知っている説得力

発刊
2024年7月10日
ページ数
192ページ
読了目安
207分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

相手からイエスを引き出すための方法
相手を説得できるかできないかが仕事のパフォーマンスを大きく左右する。説得できる人と説得できない人の差はどこにあるのか。説得したい相手からイエスを引き出すための行動と考え方がまとめられている一冊です。

説得するための事前準備から、相手への影響力を高める方法、相手との信頼を築く方法、説得にあたって肝となるヒアリングのテクニックまで、コミュニケーション力を高め、様々な利害関係者を説得し、仕事を進めるために必要となることが書かれています。

説得したい相手からイエスを引き出す考え方

どの職種においても、ビジネスパーソンの仕事の大半は「説得」である。説得できる人とできない人の違いは「Yes Code」を知っているかどうかである。「Yes Code」とは、それを実行すれば、説得したい相手から簡単にイエスを引き出せる行動や考え方のことである。

 

「Yes Code」で特にポイントと言えるのは「感情」である。説得にはロジックも必要だが、それ以上に重要なのが感情である。人間は意思決定を感情によって行なっているウェイトが非常に高い。それには取り組む姿勢や人柄、熱意なども加味される。また、社内でプレゼンした時も、意思決定者は企画内容だけではなく、「誰が言っているか」で判断していることが少なくない。つまり、どんなに正しいと思うことをロジカルに伝えたところで、相手の感情に目を向けないと、相手を説得することはできない。

 

「Yes Code」では、次の考え方を重視する。

  • 自分の影響力と信頼を高めること
  • 相手のベネフィット(利益、利点、恩恵)を突き止めること
  • 相手の感情を逆なでしないよう、順序を追って話を進めていくこと

 

影響力をつくる4要素

ビジネスシーンの説得において、説得する人が持つ「影響力」は非常に重要である。影響力をつくる代表的な要素は次の4つである。この4つが揃うほど影響力は大きくなる。

 

①ポジション

特定の文脈・組織内での役割や地位。ポジションは社内の役職だけでない。世の中には様々な権威があり、そうした権威を持っているだけで、説得力が上がることは少なくない。

 

②パッション

特定の個人の努力や大義、アイデアに注ぐ情熱やエネルギーが多分に含まれる。パッションを持った人が高い熱量で説得すると、それは伝染する。

 

③エクスパティ

その人がその分野に関して専門知識や豊富な経験を持っていたりすると、影響力が高まり、説得力も生まれる。

 

④ノンバーバル

声の質や大きさ、トーン、話し方、見た目、表情、ボディランゲージなど、言葉にできない感覚的なものも含む。これらの印象が良いと、影響力が高まり、説得力が生まれる。

 

こうした影響力は、説得する時のパワーバランスを大きく左右する。重要なのは、説得の際に、相手とのパワーバランスを客観的に見極めること。ポジションが弱いなら、何かで補完することが必要である。また、自分の影響力だけで戦うのではなく、周囲の人の影響力を使って、自分だけでは足りない影響力を補完する方法もある。

 

相手のベネフィットを突き止める9つの質問

説得を成功させたいなら、絶対に欠かせないのが「準備」である。準備で最も重要といっても良いのが「相手のベネフィットを突き止めること」である。どんな説得内容でも、相手を説得するためには、相手にベネフィットを感じさせることが必要である。

 

相手がどんなベネフィットを持っているのか、機能と感情の双方から考えること。特に重要視したいのは「感情的なベネフィット」である。相手がどういう感情を大切にして、何を避けようとしているのかを把握しないと説得はできない。

相手のベネフィットを突き止める上で役に立つのが、次の9つの質問である。質問は「ニーズ」「オファー」「反論」「デリバー」の4つのステージに分かれ、この順番で考えていくと漏れがない。

  1. 相手の欲求とペインポイントは何か?
  2. どのようなステップを踏めばペインポイントを避けて、望む状況を得られるか?
  3. 具体的な行動を起こすために、相手はどんな感情を持つ必要があるか?
  4. 3のような感情を感じるために、何を信じる必要があるか?
  5. 具体的なオファーは何か? どんな価値を提供できるか?
  6. オファーに付加価値をつけることはできるか?
  7. オファーに反論されるとしたら?
  8. 7の反論に関して、他の選択肢はないのか?
  9. 最終的に何をデリバーしたいのか?

 

説得の5つのステージ

説得のプロセスは、5つのステージに分けることができる。このプロセスを踏むことで、相手の間違いを正すことなく、相手が絶対に得をしたと思えるような提案やプレゼンを進めていける。

 

①状況設定

観察や許可などによって、説得する状況を整える。

 

②ラポール構築

説得する相手との距離を縮め、信頼関係を築く。

 

③ネガティブを探す

まずは相手のペインポイントを知り、ペインを増幅させる。

 

④ポジティブを探す

逆にポジティブな相手の欲求を知り、その欲求の理由を引き出し、それが本心からのものなのか相手に確認する。

 

⑤ゲッティングアクション

ヒアリングを踏まえて提案した後に、実際のオファーを出していき、相手にディシジョンメイクの行動を起こさせる。

 

説得のプロセスで肝となるのは、③と④で行うヒアリングである。相手との会話の中で、機能的なベネフィットだけでなく、感情的なベネフィットを引き出せれば、相手の欲求を聞き入れながらも、自分の要望との融合点を見出して、落とし所を見つけることができる。