心理学に学ぶ 鏡の傾聴

発刊
2024年6月24日
ページ数
240ページ
読了目安
270分
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推薦者

正しい傾聴のあり方
1on1ミーティングなどの広がりで、一般の企業においても注目されるようになった「傾聴」のスキルを伸ばすために大切な考え方を紹介している一冊。

聴くことが大切と言われながら、実際にはどのように聴けばいいのか。その注意点や学習のポイントなどが解説されています。傾聴の本質的なことを理解することができます。

鏡の傾聴

話し手の心を、聴き手の心に映し出すように聴く方法は、よく鏡に例えられる。鏡に映ったもう1人の自分のように、聴き手から受容と共感の姿勢で耳を傾けてもらう体験は、話し手の癒やしになるだけでなく、話し手自身が自分の心を知る体験にもなる。

聴き手は、鏡に映し出すように、そのまま聴く。話し手の本当の姿を映し出したら「傷つくのではないか」と心配する必要はない。ネガティブなことに触れない表面的な親切は、話し手に「ネガティブなあなたは拒絶します」と、条件付きで愛情を伝えていることになる。話し手は、ネガティブな話でもそのまま聴いてもらう経験をすると、肯定的な面だけでなく、否定的な面もすべてが自分であると思えるようになり、ネガティブな自分の感情も受け止め始める。

 

聴き手は鏡のように、どんな話し手であっても、その人の心をそのまま映し出すように聴くのがいい傾聴である。傾聴に使われる鏡には、主に次の5種類がある。傾聴では、主に①〜③を使って進む。その他に自動的に働いている鏡として④⑤がある。

 

①体験の鏡

話し手のわかって欲しい気持ちを、聴き手は頭で理解するだけでなく自分の心の鏡で感じながら理解する。まず聴き手は、自分の心で話し手の言葉をそのまま受け取る。そして、自分の心の鏡に話し手の話をそのまま映し出しながら聴き続け、話し手と同じ「体験」をするように努める。

 

②確認の鏡

聴き手の心にある体験の鏡を、話し手に映し返す。話し手の話を過不足なく言語化して映し返す。その理由は、理解のずれや間違いがないか話し手に確認をとるためである。

 

③内省の鏡

聴き手から繰り返しや伝え返しをされると、話し手はその内容が「その通り」「いや、何か違う」等、自然に自己との対話を始める。内省の鏡とは、聴き手から映し出された確認の鏡を、自分の心の鏡に映し出して内省をすることである。

内省が起きている時、話し手は自分を傾聴している。内省の鏡の質には、体験の鏡と確認の鏡の質が影響する。傾聴では、この3つの鏡を循環させながら対話を進める。

 

④関係の鏡

話し手が聴き手自身を映し出す鏡となることを、関係の鏡という。聞き手が関係の鏡の仕組みに気づかないまま傾聴していると、自分の感情が動いてしまい、うまく聴けなくなることがある。

 

⑤態度の鏡

聴き手の「態度」が話し手に移っていく。聴き手が緊張していると話し手も緊張するし、聴き手が不満を持っていると話し手も不満を持ち始める。

 

傾聴されることで得られる3つの効果

①話す効果

話してすっきりするカタルシス効果。話すことには感情の発散効果があり、心理的ストレスの緩和に役立つ。但し、カタルシス効果は、次第に慣れてしまうと減少していく。

 

②理解される効果

傾聴では、ただ語ってもらうだけでなく、話し手に「わかってもらえている」と感じさせる体験を提供することが大切である。聴き手に自分の気持ちをしっかり理解してもらうことで、話し手の承認欲求が満たされる。

 

③自立が促される効果

現代社会で最も強力な支援者というのは、自分の心を支えられる自分である。話し手が聴き手を必要とせずに、自立するためには「話し手自身が自分を傾聴できる」ようになることである。傾聴の真の目的は「聴く」ことではなく、話し手の自立を促すということである。

 

話し手自身が自分を傾聴できるようになるためには、まずは話し手が誰かに傾聴してもらう経験を通して、傾聴の仕方を少しずつ学んでいくことが一番である。話し手は、聴き手から受容と共感の姿勢で深く傾聴される経験を通して、自分で自分を傾聴できるようになる。

 

傾聴の効果的な学習法

①体験学習を増やす
様々な情報を得ることは、混乱が深まる原因になる。良いと思える精選した情報だけに触れ、頭だけでなく体で覚える体験が大切である。

 

②理論を絞る
先生が変わると一貫性が保てなくなり、混乱の原因になる。1人の先生、または統一された1つの理論に沿って学ぶ。

 

③個別の指導を受ける
技術的な個別指導と併せて、自身の聴き方の質の向上や分析のために聴いてもらう体験を積む。

 

④課題を決めて練習する
傾聴のロールプレイ練習をする際、聴き手役は必ず具体的な課題を1つ設定しロールプレイに臨む。課題は「何のために」「何を」「どのように」の3つが明確で後から振り返りが可能なものである必要がある。

 

⑤誰かのマネをする
「あの先生のように聴きたい」と思える先生から学ぶのが一番いい。この先生から学びたいと思う基準は次の2つ。

  1. リアルに傾聴している場面を見せてくれて納得感がある
  2. 傾聴の基本的態度である「一致」について説明してくれる

 

⑥仲間内の練習会にはあまり参加しない
学習効果を考えると、その場を仕切れるファシリテーターがいない、仲間や先に合格した先輩だけのロールプレイ練習会への参加はお勧めできない。的確なフィードバックがもらえず、心理的な安全が保たれない。

 

参考文献・紹介書籍