5秒で伝わらないのは頭が整理されていないのが原因
話が伝わらない根本的な原因は、頭の中がスッキリ整理されていない状態で考えながら話すからである。いろんな問題が複雑に絡み合った状態のまま伝えようとするから、余計複雑になる。
キーになるのは「5秒」。話を伝えるのに5秒以上時間がかかるということは「まとまっていない」のと一緒である。5秒で相手の関心を引きつけられれば、9割成功である。それには4つのポイントがある。
①複雑な問題を整理
②相手に伝える順番を判断
③お互いの認識のズレを修正
④この①〜③を仕事の場面に応じて使いわける
この①〜④を「ソラ・アメ・カサ」という1つのシンプルなツールを活用することで実現できる。
思考を整理するツール「ソラ・アメ・カサ」
「ソラ・アメ・カサ」は、マッキンゼーの日本支社が作り上げたフレームワークという問題解決の1つの「型」である。優秀な人は教わらなくても「ソラ・アメ・カサ」を使いこなしている。
ソラ「空を見ると曇ってきた(事実)」
アメ「雨が降りそうだ(解釈)」
カサ「傘を持っていこう(判断)」
この3つをセットにして考えると、複雑に絡み合った事象のつながりがシンプルに整理される。論理的にムリも飛躍もない判断ができる。
物事を決めるのは「伝えることを話す方が決める」と「聞いた内容で相手が判断する」の2段階がある。この2段階を「ソラ・アメ・カサ」は1つのツールで行える。
物事を考える時、伝える時に「ソラを伝えたので次はアメ、最後はカサ」と順番を守って考え、話すクセをつければ、すぐに習慣になる。「ソラ」「アメ」「カサ」の3つが揃っていればいい。
事実に対して「どうなりそうか?」をまず考える
キーになるのはアメ(解釈)である。事実をどう解釈するかで想定されるゴール像が変わる。ゴール像が変われば打ち手の判断も変わる。事実の解釈により、アメは無数に存在する。解釈のズレは上司や取引先とのやり取りの中で多く発生するので、注意が必要である。
アメ(解釈)は、「洞察(どうなりそうか?)」と「分析(課題と論点)」の2つの側面を持っている。課題や原因の解釈が正しくても、「その結果どうなりそうか?」という未来予測が異なると、打ち手も変わる。
日本人は、「どうなりそうか?」と洞察する前に、つい課題や原因を探ってしまうことが多いため注意が必要である。原因だけを探しても、打ち手は原因の数だけ考えられるためにきりがない。この現象を回避するためには「どうなりそうか?」という問いにまず答える習慣をつけることである。
「どうなりそうか?」という洞察結果を踏まえて、課題は何かを導き出し、論点を踏まえて打ち手を考えるといい。
「ソラ・アメ・カサ」の使い方
マトリクスにして、該当するものを放り込むだけで、自然に整理される。
①ソラ・アメ・カサの軸を設定する
(ソラ=課題・状況、アメ=洞察・課題・論点、カサ=判断結果・優先順位)
②もう1つの軸に検討したいモノを抜け漏れなく入れてマトリクスを完成させる
③マトリクスの各マス目に今ある情報を入れる
対軸となる項目は、「検討の型」として、フレームワークを組み合わせると便利である。以下のようなものが活用できる。
・影響度、実現性、哲学
・必然性、効果、実現可能性
・コスト、リターン、リスク
・フィット、コスト、バリュー
・収益性、成長性、安全性、効率性
フレームワークの項目数は、3つから5つまでにする。