スターバックス 輝きを取り戻すためにこだわり続けた5つの原則

発刊
2014年9月25日
ページ数
326ページ
読了目安
545分
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スターバックスの経営手法
顧客とのつながりを第一に考えるスターバックスでは、どのような経営手法が用いられているのか。従業員の教育方法から、ブランディングの考え方まで、スターバックスの経営について書かれた一冊。

人と人とのつながりを第一に考える

「愛」と「人間らしさ」と「謙虚さ」を組織に浸透させ、業績に結び付ける。これこそが飛躍的に業績を向上させるリーダーシップである。リーダーシップは主に3つの特性で構成されるというのは、ハワード・シュルツの持論である。

スターバックスのリーダーは、事業のあらゆる場面において人と人のつながりを第一に考える。パートナー、お客様、地域社会の人々、株主と気持ちを通わせ、そこから生まれる機会を基盤として事業戦略を練る。つまり人間らしさというレンズを通して相手を見て、質の高い成果を期待する。

 

スターバックスは5つの原則に沿って、気持ちを通い合わせ、イノベーションを推進し、新しい商品ラインを拡大し、従業員とお客様のロイヤルティーを獲得している。

 

強い絆を結ぶための5原則

①情熱を高める
情熱がなくても物を売るのに困る事はないかもしれない。しかし、リーダーが情熱を抱いていれば、間違いなくライバルとの差が出てくる。また、従業員が商品に情熱を燃やせば、その情熱はお客様を刺激して商品への愛着を促し、永く贔屓にしてもらえる。

ハワード・シュルツはスターバックスが提供するものに対する情熱を伝え続ける。その情熱はコーヒーに結びついている。スターバックスで働く人々がこの原則を実行できるようにリーダー達は様々な仕組みを整え、彼らがコーヒーの豊かな歴史を理解し、深いつながりを獲得できるようにしている。

 

②愛することで愛される
レベルの高い顧客エンゲージメントを実現する出発点となるのは信頼である。「正しいこと」をするために力を尽くすという行動は、卓越したリーダーシップの核にあたる。スターバックスのリーダー達は次の5つの行動によって、彼らのステークホルダーの信頼を得ている。

・人間性というレンズを通して共感的な立場からビジネスの意思決定を行う
・あくまで率直にコミュニケーションをとり、短所を認め、約束を守る
・ステークホルダー同士の競合する利益のバランスをとる
・オペレーションシステムと品質改善のプロセスを整え、信頼のおける商品をいつも変わらず提供する
・研究制度を整え、サービスの修復をする権限をパートナーに委ねる

 

③共通点を見いだす
スターバックスのブランド戦略ディレクターは次のように述べる。「世界のどこでも人が最も望むのは、相手に自分を見てもらい聴いてもらう事である。スターバックスというブランドの魔法は、様々なレベルにおいてお客様を積極的に見て、耳を傾けるところから起きる」 本当に注目してもらっているとお客様に感じてもらうには、1人の人間としての個性に関心を寄せて時間をかけて交流しようとする必要がある。

人と人は本来、多くの共通点を備えており、つながりをつくりたいという共通の欲求もある。しかし、地域ごとに微妙なニュアンスの違いがあり、その差異を疎かにすればブランドの拡張につまずく可能性がある。スターバックスのリーダー達は地域のニーズを積極的に取り入れようと努め、提供する商品とサービスを調整する。

 

④つながりを結集する
スターバックスはお客様に愛情を注ぎ、お客様とテクノロジーとの結び付きを前向きにとらえ、ソーシャルメディアやモバイルツールを効果的に活用する。

 

⑤伝統を守り、ときに挑戦する
スターバックスのような強力なブランドの成長を妨げる大きな要因を1つ挙げると、成功し現状に満足してしまう事から生じる惰性だ。スターバックスは適応力に富む先進的な戦略を立てる事で常にブランドを適切に提供しようとしている。