リーダーは偉くない
「自分は他の人よりも偉い」などと思い上がった瞬間に、リーダーシップは崩れ去ってしまう。メンバーは、リーダーが持つ権力を恐れて、表面的には従順を装うかもしれないが、内心はそっぽを向く。その結果、組織が機能不全へと陥っていく。
そもそも1人で成し遂げることができる「小さな目標」ならば、リーダーという存在など必要ない。多くの人々の力を貸してもらわなければ達成することのできない「大きな目標」だからこそ、リーダーという存在が必要になる。であれば、リーダーが「自分は他の人よりも偉い」などと思い上がっているようでは話にならない。そうではなく、自分の「弱点」や「できないこと」を認めた上で、それを補ってくれたり、助けてくれる社員たちに、心からの「敬意」を払うことが、リーダーの出発点である。
但し、敬意を払うとは、妙にへりくだることではない。それぞれの立場や役割を踏まえながらも、あくまで対等な人間として、自分が「正しい」と思うこと、自分が「やるべきだ」と思うことを、本気でぶつけ合うこと。
信頼関係を築くために大切なのは、リーダーが社員がぶつけてくる「主張」「主張」にしっかりと耳を傾けることである。自分の主張に対して、社員が「それは違う」と思った時には、「反論」をぶつけてもらえる存在でなければならない。意見をぶつけ合うことこそが、お互いに「敬意」を払うことだし、その積み重ねによってしか、本当の意味での信頼関係は生まれない。
理屈よりも実感が大切
リーダーの最初の仕事は、シンプルでみんなが理解できる「旗」を掲げること。チームや組織の「目標」は何か、その目標をどうやって実現するか。この2つを明確に示す。
そのために死守すべきは、自分の腹に落ちるまで、自分の頭で考え抜くこと。そして、血の通った実感のこもった「旗」を掲げなければならない。そうでなければ、社員、関係者を説得して、本気で協力してもらうことはできない。
重要なのはロジックだけで考えずに、自分の「実感」に基づいて思考を深めること。自分自身でも確実に信じることができる「実感」がベースにあるからこそ「確信」が持てる。実感がこもるからこそ、腹が座る。
「社員のやる気」こそ最大の資産
リーダーになったら、真っ先に社員に喜んでもらうことをすべきだ。「会社に行きたいな」と思ってもらえるような環境を整えることが何より大事である。ビジネスはお客さまに喜んで頂くことで成長していく。そのお客さまを喜ばせるために働くのは社員たちである。まず社員に喜んでもらって、彼らの「やる気」を最大化させることが不可欠である。
だから、会社を成長させたいのならば、まずは経営層から社員たちに「ギブ(投資)」するところから始める必要がある。そして、「社員のやる気」を高めることによって成果を上げてもらい、その成果に応じてさらに「ギブ」をするという好循環を生み出さなければならない。
無理やり人を動かすだけがリーダーシップではない
社員に「経営者目線」を押し付けようとするのは、単に社長の「甘え」「リーダーシップの欠如」に過ぎない。それよりも、ちょっと「悪知恵」を働かせた方がいい。
社員たちに楽しんでもらえる「ゲーム」を考えることで、「当事者意識」を持ってもらうことはできる。ちょっとした「悪知恵」や「ユーモア」を働かせることで、何も強制することなく、社員たちが自発的に意識と行動を変えるきっかけを与えることは可能である。
リーダーは「格好」をつけるな
ある人物が社長になったからといって、その人物の「人となり」に共感できるものがなければ、本当の意味で信頼することはできない。社員とオープンなコミュニケーションを取ることで、取り繕うことなく「我が身」をさらして、よくも悪くも自分なりの「人となり」を伝えること。
上っ面を取り繕うようなことをしても、部下たちはあっという間にリーダーの嘘を見破る。リーダーは格好をつけてはならない。この世の中に完璧なリーダーなどいない。それぞれが、欠点も含めて、あるがままの姿をメンバーの前にさらけ出すしかない。
格好をつけるのではなく、根源的なことに向き合うことが大切である。つまり、「人として正しいこと」を愚直にやり続けること。その道から外れないように、自らを律し続けることが大切である。リーダは、人間として信頼してもらわない限り、どんなに「正しいこと」を言っても聞きれてはくれない。