なぜ成果があがらないのか
肉体労働者は能率をあげれば良い。決められたことを正しく行う能力があれば良い。その成果は例えば、靴のように生産物の量や質で評価できる。
一方、知識労働者が生み出すのは、知識、アイデア、情報である。しかし、それら生産物は、それだけでは役に立たず、自らの成果を他の人間に供給することが求められる。
知識労働は、量やコストによって規定されるものではなく、成果によって規定される。しかし、組織に働く者にとっては、以下の要因によって成果をあげることが困難である。
・時間はすべて他人にとられる。
・日常業務に追われ続ける。
・他の人が、自分の貢献を利用しないと成果をあげられない。
・組織の中に成果が存在しない。
つまり、客が製品やサービスを購入しなければ、組織としての成果があがらない。
従って、成果をあげるには特別の努力が必要である。
知識労働の生産性を向上させるには、「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うのか」を問うことである。最も効率的に生産性を向上させる方法は、 仕事を定義し直し、行う必要がない仕事をやめることである。
成果をあげる方法
①貢献に焦点を合わせる。
ほとんどの人が、成果ではなく、自らが持つ権限に焦点を合わせる。「組織の成果に影響を与える貢献は何か」を問うことが重要である。貢献に焦点を合わせることによって、成果が存在する唯一の場所である外の世界に注意を向けるようになる。つまり、顧客などの観点から、物事を考えるようになり、仕事のやり方が変わっていく。
②自らの強みを知る。
強みを知るためにフィードバック分析を行う。何かをする事を決めれば、何を期待するかを書きとめ、1年後に期待と実際の結果を照合する。こうして自らの強みを知れば、以下の事を行う。
・強みにに集中する。
・その強みを伸ばす。
・知的な傲慢を正す。
・自らの悪癖を改める。
・人への対し方の悪い点を直す。
・行っても成果があがらないことは止める。
・努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わない。
③自らの仕事の仕方、価値観を知る。
自らの得意とする仕事の仕方を向上させるべきである。また、自らの価値観に合わないことをしても、心楽しまず、成果もあがらない。
④時間を管理する。
時間を記録して分析し、仕事を整理し、重要な仕事に時間を割く。成果をあげるには、自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。
⑤最も重要なことに集中する。
成果をあげる人は、もっとも重要なことから始め、一度に一つのことしかしない。自らの強みを生かすには、その強みを重要な機会に集中するしかない。集中するためには、以下のポイントに基づき、優先順位をつけることが必要である。
・過去ではなく未来を選ぶ
・問題ではなく機会に焦点を当てる
・横並びではなく自らの方向性をもつ
・無難で容易なものでなく、変革をもたらすものに照準を合わせる