相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル

発刊
2024年1月24日
ページ数
208ページ
読了目安
239分
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新しく事業を立ち上げる時に最も必要とするスキルの解説書
起業や新規事業・プロジェクトを立ち上げるとき、1人では大抵の場合行き詰まる。周囲の協力を得て、事業を前に進める際に必ず必要となる「相談」という行動を、スキルとして詳細に解説している一冊。

いつ、誰に、どういったことを相談するのか。今は人脈がなくて、相談相手がいないという人にとっても、どのように相談相手を見つけて、活用していくのかという考え方を理解できます。

新規事業の立ち上げることを目的とした内容になっていますが、相談スキル自体は汎用的な部分があり、様々なケースで応用することができます。

相談することでネクストアクションにつながる

相談とは、自分1人の限界を突破し、仲間の力を借りてやりたいことを実現するビジネススキルである。新しいことにチャレンジする時、自分1人で考えて行動しても、次の選択肢を見出せなくなったり、考えても立ち止まったりしてしまう。そういう時こそ、相談をうまく使えば、周りの人たちの視点や経験に基づく情報を得て、一緒に考えてもらうことで、ネクストアクションへとつながっていく。

 

相談する際には、自分の「現在地」を把握しておくことが欠かせない。相談相手からすると、今相手がどう行き詰まっているのか分からなければ、的確なアドバイスはできない。その「現在地」によって、相談相手の選び方からタイミング、方法論まで変わってくる。

 

アイデアを前進させるための3つの段階

物事が進んでいく時には、次の3つの段階がある。

 

①見立て

未検証のアイデアや思いつきのことを指し、見立ての段階とは「自分1人だけで考えている状態」。

 

②仮説

事業やアイデアを実現していく上で欠かせない5つの要素について、一度でも検証を行なって一次情報を得ている状態。

  1. 目的:何のためにやるのか
  2. 顧客:誰のためにやるのか
  3. 商品・サービス設計:どんな商品・サービスをつくるのか
  4. マーケティング:顧客との関係性をどうつくるのか
  5. 制約:実現する上でどんな制約があるのか

 

③計画

5つの要素が一貫性をもって説明できる状態。

 

事業は、この3段階を常に行ったり来たりして前へ進んでいく。この3段階すべてにおいて「相談」というスキルを最大限に活用することが、事業を前進させ、やりたいことを実現する肝になってくる。

 

物事を前進させるための3つの相談タイミング

相談するタイミングは次の3つの段階である。

  • 「見立て」を仮説に進化させたい時
  • 「仮説」を磨き、5つの要素それぞれの精度を高めたい時
  • 5つの要素を一貫性を持って説明できるよう「計画」に昇華させたい時

 

相談のタイミングを見極めるには、次の3つのカテゴリーで考える。

①予防相談:物事が行き詰まらないようにする

  • 未検証の思いつきでいいはずの「見立て」が1つしか浮かばない時
  • 一次情報へのアクセスがない時
  • 計画に自信が生まれてきた時

 

②対処相談:物事が行き詰まってからする

  • 仮説や計画を練り上げていく過程で、自分と違う意見が出た時
  • 仮説や計画に対する反対意見に的確な返答ができない時
  • 1週間全く行動できていない時
  • 考えてもわからない状態に陥った時

 

③種まき相談:偶然を活かす

可能性の種をまくことで、思いもよらないアドバイスや人の紹介が生まれる。種まき相談では、あれこれ考えすぎずにタイミングを逃さないことが大切である。そのためには、常に自分が取り組みたいテーマや課題について考え、それを説明できる状態にしておくのが理想である。

 

ネクストアクションにつながる相談相手の選び方

相談相手は、次の4つに分けられる。

①気軽に相談できる人

曖昧な見立てしか話せないような状態でも、無条件に時間をとって話を聞いてくれる人。思い立った時に疑問や考えをすぐにぶつけられる人がいると、見立ての精度が上がってネクストアクションが見つかりやすくなる。見立ての段階では、できるだけ多くの人、様々な属性の人に相談し、多様な見方を知ることが重要である。

 

②専門性が高い人

見立ての精度が上がり、仮説段階へと進むと、特定の分野の専門的な知識や深い経験が求められることが増える。この段階で相談すべきが「専門性が高い人」である。この専門性は2種類に分けて考えると、誰に相談するか選びやすくなる。

  1. 実践知が豊富な人:一次情報を知って、行き詰まりを打開する際に相談する
  2. 見識が広い人:自分が見えていない選択肢がないか確認する際に相談する

 

③多面的に見てくれる人

解像度が上がっている「計画」段階の時に、批判的な目でしっかりと見てくれる共感者がいると、計画の外側に目が向き、視野が広がる。

 

④相談のための相談ができる人

相談したいタイミングに合った適切な相談相手がいない状況を打破するには、「相談のための相談」が効果的である。事業の目的や意義を具体的に話し、応援してくれる「ヨコの関係性」を築けていると、相談相手はその場で適切な人を紹介することができる。

 

相談において必ず共有すべき3つのポイント

相談で伝えるべきことは、次の3つに集約される。

  1. 目的:何のためにやるのか
  2. 原体験:なぜそれを自分がやろうと思ったのか
  3. 現在地:やりたいことに対して、今自分はどの位置にいるのか

 

「目的」と「原体験」を伝えることで相手に共感が生まれてヨコの関係になる。また、自分がどの「現在地」にいて、どんなアドバイスが欲しいのかを相談相手に伝えることで期待感のミスマッチもなくなる。結果として、行き詰まりを打破するためのネクストステップが見出しやすくなる。