マーケティングとは
マーケティングで重要なのは「何を、誰に、どう売るか」というシンプルな問いに答えること。選んでもらうために構築すべき「顧客との関係のすべて」をどう考えるかである。
かつては、安くてよいモノであれば売れた。今は、企業市民としての社会制や環境志向なども勘案され、物語性なども考慮された上で「よさそうなモノ」が売れるようになった。顧客は買い物に失敗したくないため、想像力を総動員し、レビューも読み込み、商品を選ぶ。
つまり、実際に買ってもらえるのは必ずしもよいモノではなく、よさそうなモノなのである。もちろん、よくないモノはリピート購入されず、悪いクチコミなどが広がれば市場から退場を迫られる。
とは言え、まず1度は買ってもらわないと、それぞれの商品の本当のよさはわかってもらえない。その1度の機会をつくるためには、マーケティングによる誘引力が欠かせない。
マーケティング活動の流れ
- マーケティング調査
- 標的市場の選定
- マーケティング戦略の立案
- 商品開発・生産
- 販売・流通
- プロモーション活動
- 評価
販売した商品が売れたか、ユーザーに評価されたか。その結果を得て、また次の商品開発へ向かっていく。マーケティング活動とは、終わることなくスパイラルに上昇し続ける連環のようなものである。
マーケティング調査
商品開発を行う前に実施されることが多くのが、テーマ探しのマーケティング調査である。今のユーザー層はどんな商品を求めているのかを知る必要がある。しかし、「どんな商品が欲しいですか?」という漠然とした問いをユーザーにぶつけても有効な回答は得られない。そのため、回答の対象となる仮説はこちらで立てなければならない。
この20年程は、特にインターネットの進展などにより情報に対する環境が大きく変化している。時代の変遷(ニーズの多様化、ビッグデータやSNSの活用など)によって、マーケティング調査が役割を果たせなくなってきている。それでも、役立つ手法があることも事実である。
「観察調査」は、ユーザーが商品をどのように使用するか、売場でどんな行動をとるかなどを観察することからヒントを得ようとするものである。
- ビデオ撮影:ユーザーの会社や自宅に固定カメラを設置し、作業や使用風景を動画撮影する。
- アイトラッキング調査:ユーザーの瞳の動きを追う。
- 売場観察:商品の売場でお客様はどう行動するかを観察する。
- ショップアロング:お客様と一緒に店舗を訪れて、観察する。
- 通行量調査:通行する車や人をカウンターで数える。
- 商談同行:主にBtoBの営業において、セールスパーソンに同行して、商談のやりとりを観察する。
行動観察系の調査は、顧客のインサイトを引き出す上で重要である。ここから顧客の本音ともいうべきニーズをつかみ、商品開発に生かすことができれば成功確率は高まる。
商品開発のアイデアを出す
既存商品の改善であればやるべきことはわかりやすいが、全くの新基軸となる商品を自由に開発するような、何の制約もない場合は逆に迷ってしまう。アイデア発想の端緒となるポイントには次のものがある。
- 取引先などからきっかけをもらう:他者からのアドバイスをもらう
- クレームからはじめる:不満や要望を集める
- 失敗から学ぶ:失敗した商品を別の用途に活かせないか考える
- ヒット商品に便乗する:コバンザメ商品を作るなど
- 形状を変える:商品の形状を大きくしたり、小さくしたり、別々にしてみる
- サービスも一緒に売る:モノの価値に固執せず、サービス化によって価値を高める道はないか考える
- 空き地から考える:顧客の購買決定要素の2軸をとってポジショニングマップを作り、空いている場所から考える
- 事件から発想する:事件が起きることで需要が喚起されたり、市場が立ち上がったりすることがある
商品開発を考えるためのアイデア発想法には、次のものがある。
①ラテラルシンキング法(水平思考)
得たい結果や実現したい理想と、現状や課題のある状態とのギャップを埋める要素は何かを考え、それを1つ上の視点から過去の成功事例や発想を助けるチェックリストを参照しつつ埋めていく。
- フォーカスする:1つの特性や性質を決めてフォーカスする
- 変化させる:選んだ特性を6項目(代用、結合、逆転、除去、強調、並び替え)の変化を当てはめてみる
- ギャップを埋める:変化と現状とのギャップを捉え、それを埋める方法を考える
②デザインシンキング法
ユーザーにとっての不便や不都合を特定し、それを解決するために開発者がアイデアを出す。特長はユーザー視点に立って不便や問題点を発見しようとする姿勢である。
③ストレッチ法
企業の強みである保有資源を活用(ストレッチ)して、隣の新しいポジションへ販売していく。市場(顧客)と製品(技術)の2つの軸でポジションマップを作り考えると理解がしやすい。