「何を言うか」が大切
私たちが何か言葉を発する際、「どう言うか」を考える前に、そもそもの「言う内容」を考える。言語化力とは、この「言う内容を言葉にする力」のこと。「モヤモヤを言葉にする力」である。「モヤモヤ」とは、頭の中の「曖昧なイメージや感覚、概念」である。
「言語化力」は、会議、商談、プレゼン、レポートなど、仕事上のあらゆる場面で必要とされる。「言語化」がうまくできなければ、「この人は何も考えていないな」「あの人は何が言いたいのかよくわからない」と、社会人としてのレベルをかなり低く見積もられてしまう。
他人が本当に評価するのは、意見を求められた際「何を言うか」である。その意見に「新しい気づき」があるかどうかが、コミュニケーションを通して評価が上がる大きなポイントになる。
普段感じてるモヤモヤを言語化せよ
「言語化ができる人」と「言語化ができない人」の差はどこで生まれるのか。まずは「日々の何気ない日常の中でも、自分は必ず何かを感じている」という事実に気づけるかどうかである。「気がつく」だけで、言語化できるようになるかの50%は決まると言っても過言ではない。
多くの人は、普段の生活の中で、多くのことを感じているのに、そのほとんどがモヤモヤした無言語の状態で頭の奥にそっと記憶されていき、そのまま「無意識下」に放置されている。そして、そのままでは自分自身でも何を感じたか理解していない。
このモヤモヤを自分でも理解し、誰かに伝えられる状態にする行為こそ「言語化」なのである。
何かを書き出すことが言語化するきっかけになる
言語化力を磨く上で一番重要なポイントは「とりあえず何かを書き出してみることで、一度客観的に自分の思いや意見を知る」と言う点である。今まで言語化されていなかった深い思いや意見を言語化するきっかけを、「書き出す」という行為によって、つくり出す工程が非常に大事である。
自分の頭の中で眠っていた様々な思いや意見、その理由を書き出してみて、一度ずらりと「言葉」の状態で眺めてみる。そうすることで、自分にとって特に大切にしたい思いや意見がどれなのかに、改めて気づくことができる。
瞬時に「言語化」できるようになるトレーニング
「頭に思いついたこと」をA4一枚の「メモ」に次々と書いていく。制限時間は「1枚2分」、これを毎日3枚書く習慣にする。
①A4コピー用紙を「縦に」使用する
A4コピー用紙なら、思いつくままに自由に気兼ねなく書き出せる。文字の大きさなどにこだわらずにどんどん書き出す。
②一番上に「問い」を大きく書いて四角で囲む
「1枚に1つの問い」をルールにして取り組む。トレーニングの肝は、自分の中に眠っている「モヤモヤした思いや意見」を言語化して書き出すこと。その時間は、自分自身と深く向き合う時間になる。1つの決めた「問い」に関して、自分はどう感じるか、どんな意見を持ったかを、自分自身に丁寧に聞いていき、言葉に書き出していく。
③メモを2分割して「思考」と「理由」に分ける
用紙の真ん中に線を引いて、用紙を上下に分割する。上には問いに対する「思考(思ったこと、感じたこと)」を書き出す。下には「理由(そう思った理由、そう感じた理由)」を書き出す。自分が思ったり感じたことに対する「理由」まで言語化することで、自分でも知らなかった自分の思いや意見に気づく。
④まずは「思い浮かんだこと」を1行書いてみる
自分自身が決めた問いについて「思いついたこと」を何でもいいので、まずは1行書き出す。
⑤1行書いたことを深掘りする
「最初に書き出したこと」をきっかけに芋づる式に無意識の思いや意見をどんどん引っ張り出していく。この際のコツは、1行書き出した内容に対して「それはつまりどういうこと?」という意識を常に持ちながら、徐々に「言葉の解像度」を上げていくことである。
⑥「思考」の最終行から「理由」を書き出す
「思考」ブロックで最後に書き出したメモを「丸」で囲む。そこから、「そう思った・そう感じた理由」を下の「理由」ブロックに書き出していく。さらに芋づる式に「理由」についても言葉を深めていく。
「言葉の解像度」を高める方法
①「同じ問い」や「言語化した思い」をさらに深掘りする
「同じ問い」に別の日に再度取り組んで深掘りする。最低でも5回ほど深掘りを繰り返せば、言語の解像度が高い状態でストックされ、どんな時でも「瞬時に言葉にできる」ようになる。
②同じ問いに「別角度」で取り組む
「それまで考えなかった方向はないか」を意識して取り組む。
③あえて「反対意見」を考える
問いの深掘りをする際に、自分の「思いや意見」を無理やり否定しようと考えると、最初の時には思いも寄らなかった意見を自分が持っていたことに気づくことができる。