藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方

発刊
2015年12月26日
ページ数
690ページ
読了目安
309分
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21世紀に必要な働き方
「正解」なき「成熟社会」において求められる人材の価値とは何か。あらゆる仕事がコモディティ化していく中で、これからのキャリアの積み方と、求められる能力の鍛え方を紹介している一冊。

自分の仕事の付加価値を考えよ

稼ぎをアップしたい人、自分の願うような働き方をしたい人が意識すべきは「年収」ではなく「時給」である。時給こそ、あなたの仕事が1時間あたりに生み出す付加価値そのものだからである。

ニッポンで働く普通の人の「時給」格差は、800円から8万円と100倍の差がある。一流コンサル会社であれば、シニアコンサルタントに支払う金額を時給に換算すると約8万円。優秀な弁護士なら時間3万円くらいはとれる。サラリーマンや公務員の年収は、年間総労働時間で割ると、時給3000円〜5000円となる。

この100倍の差は「希少性」から生まれる。誰にもできない付加価値の高い「レアな仕事」は、2つの仕事を組み合わせる事で創造できる。意外な要素を掛け算で「つなげる力」、つまり「情報編集力」がモノを言う。そして、今の仕事を漫然と続けていても、付加価値は上がらない。

 

21世紀に働く人に必要な2つの基礎知識

①時給換算で自分の仕事の付加価値を計算すること
②「100人に1人」を3つ掛け算することで、希少な人材になること

これからの時代を生き抜いていくためには、情報編集力を身に付け、今やっている仕事で何かしらのイノベーションを起こし、100人に1人の存在になること。その掛け算で希少な付加価値を生み出すこと。

 

キャリアを掛け合わせよ

人は何かをマスターするのに1万時間かかる。逆に1万時間頑張れば、その分野で100人に1人になれる。天才でない人が「希少性」を高めたければ、キャリアを3つ掛け算すること。3種類の「100人に1人になる努力」を掛け合わせると、100万人に1人という「レアカード」を持つ事になる。このキャリアを3つ掛け合わせて希少性を獲得する方法を、人生の基盤となる「信任(クレジット)」を形づくるための「三角形モデル」と呼ぶ。20代、30代、40代と1万時間ずつかけて、じっくり「掛け算」していけば、必ずオリジナルな「錦の御旗」が見えてくる。まずは三角形の「底辺」をつくる。これがライフラインとなる。

三角形の左下=「経済がどうなろうと食っていけるプロの仕事」
三角形の右下=「前者と掛け算すると相乗効果のある仕事」

三角形の頂点は、抽象的な目標ではなく、現実的な仕事や状態を指す。三角形の面積=「信任」の総量のうち、通常は一部を現金化する事になる。これが「報酬」と呼ばれる。

「信任」とは、人生を通した諸活動で得られる「使用可能な通貨」だと考えてよい。若いうちは「信任」を貯金のように貯めていく時間が必要である。「信任」は大きければ大きいほど、自由度が大きくなるし、大きな仕事を任せられるようになる。どのように「希少性」を維持しながら、信任を運用し続けていくかが大事である。

 

情報編集力を鍛えよ

成熟社会に入り、あらゆる場で「正解」がない問題の方が多くなっている。こういう時代に重要になるのは、情報を「処理」する能力ではなく、「編集」する能力である。自分の頭の中で、知識・技術・経験のすべてを組み合わせて、その時の状況の中で最も納得できる「解」を導き出す能力。この「納得解」は、関わる他者も納得できるものでなければならない。

自分の頭の中で考えている事を、相手もまた自らの頭の中で考え、納得する。その時、自分の頭と他の人の頭を「つなげる」という事にもなる。重要なのは、自分一人だけで解決しようとしないこと。他の人の知恵や技術もたぐり寄せて使いながら「納得解」を紡ぎ出す事である。

 

遊びの要素を大切に

情報編集力を鍛えるには、世の中の変化に合わせて頭も変化させなければならない。

コツ①:クリティカル・シンキング
常識・前例を疑い、否定する事から考え始める事で、自分の考えを形成する。

コツ②:イマジネーション
考え始める時、めいっぱい想像力を働かせる。

この2つのプロセスでは「遊び」の要素が大切になってくる。常識中の常識だと思われているような事すら疑い、多様な「常識」のあり方を自由に想像する。こういった発想を頭の片隅に置く事で、物事を批判的に見直し、客観的かつ論理的に考える。