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逆境に打ち勝って2つの大きな事業を成し遂げた経営者の実践的な哲学
二つの日本発グローバル企業である京セラとKDDIを創業した著者、稲盛和夫氏が語るシンプルで奥が深い人生と経営の哲学。
迷ったときや苦しい局面でも常に、「人間として正しいかどうか」という親から子へと語り継がれてきたようなシンプルで原始的な教えに立ち返って判断・行動してきた稲盛氏の人生と経営の哲学。実際に経営者として直面した課題と対処方法の実例や、1人の人間として経験を通じて学んだこと、などが含まれ、実践的で心に響く一冊。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
シンプルな方程式の3つの要素のうち、「考え方」がもっとも大事であり、この考え方次第で人生は決まってしまう。常に前向きで建設的、感謝の心、協調性、努力、といった小学校の教室の標語のような道徳律を体の奥までしみこませて血肉化することが、成功の王道である。
思念が業をつくる
20年や30年といった長いスパンでみると、思ったことが原因となり、その結果が現実となって表れてくる。著者が大卒で入社した会社はいつつぶれてもおかしくないオンボロ会社で同僚たちは次々に辞めていって自分1人が残されたが、成功したいと強く願望して寝ても覚めても研究に没頭し新しい材料をつくることに成功。
その後の好循環につながった。どんな仕事でも一生懸命打ち込めばいい成果が生まれ、そこから次第に楽しさ、面白さが生じて好循環になり、少しずつ思いが現実となる。
現実になる姿がカラーで見え、すみずみまでイメージできれば実現できる
DDI(現KDDI)が携帯電話事業を始めたとき、早くから「これからは子供からお年寄りまで”いつでも、どこでも、誰とでも”という携帯電話によるコミュニケーションの時代がやってくる。」と明言していた。
携帯電話の普及速度、値段や大きさ、将来の料金設定までイメージが事前にくっきり見えていた。京セラの半導体関連事業を通じて、半導体の技術革新の速度・サイズ・コストの変遷について十分な経験値をもっており、そこから類推できた。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に思い切って実行する
新しく難しい仕事に取り組むとき、頭脳の明晰さよりも無邪気に喜び賛同してくれるタイプの人間を集めて構想する。具体的に計画に移すときは、悲観論を基盤にあらゆるリスクを想定し厳密にプランを練ったうえで実行する。
一歩一歩、創意工夫を継続することが平凡を非凡に変える
京セラでは、なまじ先が見えて今日をおろそかにする才子よりは、平凡で転職する才覚もない鈍な人材が残ったことになるが、10年、20年後には立派に各部署の幹部となりリーダーとなっていった。
感謝の心が幸福の呼び水、素直な心は進歩の親
困難があれば成長機会を与えてくれてありがとうと感謝すること。また、「素直な心」とは自らの至らなさを認め惜しまず努力する謙虚な姿勢、人の意見をよく聞くこと、である。松下幸之助は「生涯一生徒の気持ち」を忘れず貫いた。
運命<因果応報の法則
人生の「見えざる手」は2つある。「運命」と「因果応報の法則」である。大事なのは因果律が運命より若干強いため、20年30年という長いスパンで見れば、もって生まれた運命でさえも因果応報の法則によりおのれの力で変えることができる。