瞑想で幸福度を高める
多くの研究が示すのは、人は幸運にも不運にも順応する力がとても高いということだ。しかも1人1人の中で幸福感のレベルはあまり変化がなくて、大きな不運や幸運に遭遇しても、結局はいつものレベルの幸福感に落ち着いていくと考えられている。
双子を対象にした研究では、幸福感の約半分は遺伝的要素に関係していると報告されている。社会経済的地位、教育、家族の収入、既婚未婚、信仰心など、遺伝的要素以外の要因が生み出す幸福感の違いはせいぜい3%しかなかった。つまり、人は主に遺伝子によって幸せの設定値を決められた状態でこの世に生まれる。
ではどうすればいいか。私達は、陽気さや落ち着きといった心の資質も、身体的資質と同じようにトレーニングによって高めることができる。オンデマンドでJOYにアクセスする能力といったメンタル・スキルを育むことができ、そのおかげで人生のあらゆる面を改善することができる。そのメンタル・トレーニングが瞑想である。
JOYにアクセスするための3ステップ
JOYとは楽しい気分のことで、その瞬間の感情なのに対して、幸福とはもっと実質的な影響で、長期間にわたる心と身体の健康であり、自分がうまくいっているという感覚だ。JOYは幸福を築くためのブロックで、幸福な生活は多くの喜びの瞬間からなっている。
外部からの刺激とは関係なくJOYにアクセスできるようになるためには、心を鍛える必要がある。それが幸せの設定値を上げる秘訣でもある。そのために必要なスキルは3つ。
①楽に構えてJOYにアクセスする
心が楽に構えている状態にあれば、JOYにアクセスしやすくなる。くつろいで楽しむ。このタイプの喜びを育てていくことで、感覚やエゴの刺激からくる満足に頼らないで済むようになる。そうすれば、いつでもどこでもJOYにアクセスできるようになる。
②JOYに心を傾ける
JOYに気づき、すべての注意をそれに集めることを学ぶ。今はまだ気づいていない喜びを見つけて味わうために、どこを探せばいいかを学ぶ。穏やかな呼吸にも、日々の活動の楽しみの中にも喜びはある。それを招き入れる。喜びに気づいて招き入れることは、日々の習慣であると同時に、瞑想トレーニングの1つでもある。
③心を高める
健全なJOYで心を高めることを学ぶ。特に優しさや寛容、愛情に満ちた優しさ、深い思いやりから生まれる喜びがいい。
楽に構え、心を傾け、高めるというトレーニングをすれば、日常生活のほとんどの場面において、オンデマンドでJOYにアクセスできる能力が高まっていく。
オンデマンドなJOYの恩恵の1つは「喜び」だ。瞑想を実践すればするほど、日々に喜びの瞬間が増えていき、長く持続するようにさえなる。四六時中経験できるわけではないが、感じられることはわかっているし、感じる量が増えていけば気分が良くなりやすい。
ひと呼吸からでも恩恵を得られる
瞑想でJOYを得る第一歩は、楽に構えることだ。気軽に始めて慣れてくれば、瞑想は必ずしも難しいものじゃないとわかるようになる。楽に構えることで、そこからJOYの感覚が生まれ、そのJOYにとどまることで、心はさらにリラックスし、その状態が長く続くことで、好循環が生まれる。
瞑想は極めるのに長い時間がかかるが、習うのは簡単で、短期間で人生が変わるほどの変化が始まる。瞑想から何らかの恩恵を受けるのに、最短でどれだけやればいいか。答えは「ひと呼吸」だ。
深呼吸を1つした後、少し落ち着いてよりリラックスしていることに気づいて欲しい。まさに最初のひと呼吸から恩恵を受けられるのだ。お勧めなのは、何かを待っている時に、いつでもマインドフルなひと呼吸をすることだ。これを何回か繰り返せば、JOYは強くなり、感知する能力も高まる。