価値共創の考え方を理解する
Instagramは「大切な人や大好きなこととあなたを近づける」というミッションに基づき、各ユーザーにとって興味がある投稿のみ表示する。この仕組みはアルゴリズムと言われており、「価値共創マーケティング」の概念が反映されている。
ブランド発信の一方的なコミュニケーションだけではなく、消費者と一緒にブランドの価値を創り上げることを推奨している。ここでいう「価値」は、使用を続けるたびに使用者の中に積み重なる文脈価値を指す。この理念を理解した上で正しくコミュニケーションを行うことが大切である。
アカウント運用の目的を決める
Instagramアカウントの運用は、購入前後に効果を強く発揮する。商品やサービスの状況や課題に合わせて、どちらの目的に重きを置いた運用が最適かを考える必要がある。
・購入前のコミュニケーションに重きを置くべき基準
- 商品やサービス認知がない
- 認知はあるが実際の商品やサービス特性が伝わっていない
- 新製品または革新的なサービス
- 数量限定や季節限定商品
・購入後のコミュニケーションに重きを置くべき基準
- 一定数の購入者やファンがいる
- リピート購入や顧客単価向上が期待される商品
- サブスクリプション型サービス
- クチコミや評価が影響力を持つ商品やサービス
「買ってもらうまで」の消費者に情報を届けるフェーズでは、商品やサービスをいかに思い出してもらえるかを重視した想起率向上、「買ってもらってから」の顧客の愛を深めるフェーズでは、継続購入や推奨にも繋がるブランドの好意度向上を置くことができる。
ターゲットを定める
Instagram上で行われるブランドからユーザーへのコミュニケーションは投稿を中心に行われるため、投稿画像やテキストから、ブランドや商品を自分ゴト化して共感してもらうための切り口やメッセージ性が非常に重要になる。広く誰にでも当てはまるようなコミュニケーションやメッセージは凡庸化してしまうため、選択と集中が必要である。誰に向けてアカウントを運用して、どうなって欲しいかを考えることがポイントである。
年齢層や性別で分類するだけではなく、どういった興味関心やライフスタイルなどを持っている人たち(トライブ)なのかなども考慮する。「◯◯好き」を掘り下げることにより、細かいトライブになり、解像度が上がる。
- 商品やブランドのカテゴリーに関するハッシュタグを検索
- ハッシュタグ内をいくつか深掘りしてどんな内容が投稿されているか洗い出す
- 洗い出したトライブ内から相性の良いトライブを探し、ターゲットとして定める
エンゲージメント率を評価指標にする
売上向上や顧客獲得は様々な要因の重なりで成り立っているため、Instagramからの直接的な影響を測ることは困難である。そこで、KPIを設定して、PDCAを回していく。KPIに定めるべき指標はエンゲージメントである。エンゲージメント率の算出方法は、目的に合わせて3つのパターンがある。
①「フォロワー数」を分母にする場合:フォロワー内のファンがどれぐらいいるか評価する
(「いいね数」+「コメント数」+「保存数」)÷ 投稿時点でのフォロワー数
②「リーチ数」を分母にする場合:投稿の質を評価する
(「いいね数」+「コメント数」+「保存数」)÷ リーチ数
③「インプレッション数」を分母にする場合:接触の量と質を評価する
(「いいね数」+「コメント数」+「保存数」)÷ インプレッション数
投稿を設計する
Instagramアカウントには一貫性、統一性を持ったテーマ性が重要である。ファッション、料理、旅行など明確なテーマを設定することで訴求がしやすく、トライブを中心としたターゲットにも自分ゴト化されやすくなる。
企業やブランド側は、自分たちの伝えたいことを加工するのではなく、ユーザーにとっての情緒的な価値や、意味付けから自分たちの強みを伝える切り口を考えなければならない。
まず、アカウントタイプごとの特徴に合わせて、投稿カテゴリーを3〜4程度設計する。
・世界観訴求型
「商品情報×◯◯」:シーン、お楽しみ・お役立ち、開発秘話やコラム
・関連情報発信型
「商品カテゴリー関連情報×◯◯」:HOWTO、トレンド情報、知識、お悩み、モーメント
・興味関心コンテンツ型
「ターゲットが求める情報」:トレンドアイテムのまとめ、ノウハウ、モーメントに合わせた情報
ユーザーはタイムラインだけでなく、発見タブやハッシュタグ検索結果やリールタブに表示された投稿を見つける。数多く表示される投稿から手を止めてもらうためには、以下の条件が満たされている必要がある。
- 数多く表示される投稿内で目を引く画像であること
- アクションをしたくなる投稿内容であること
- フォローしたくなるアカウントであること
いいね、保存、コメント全ての指標を高め、エンゲージメント全体を意識する動きが必要である。