考え方を考える
新しいアイデアを出すためには、決まったプロセスに沿って物事を考えるのではなく、常に「考え方を考える」という姿勢が最も大事である。新しい考え方のプロセスが創造できれば、生まれてくる考え方も当然、新しくなる。
ただ、全く型がないと、考える際にもどこから手をつけていいかわからなくなる。この考えるための基本フレームを「リボン思考」と呼ぶ。リボン思考は、次の3ステップで構成され。
- インプット:事実について考える
- コンセプト:解釈について考える
- アウトプット:解決策について考える
これらのステップを常に頭の中で意識することで、今まで漠然と考えていたことが、「どの段階で考えているのか?」が明確になり、これまで以上に「考え方を考える」ことを意識できるようになる。
インプット
新しいものを考え出すプロセスの中でも特に重要なのは、良質なインプットである。「何を集めるか? どう集めるか?」という段階から楽しいアイデアを盛り込んでいくと、独創的なアウトプットにつながる可能性が高くなる。
①そもそも何を調べるか?
大事なのは「問い」である。「問い」の内容によって、調べる内容や対象も異なる。凡庸な「問い」からは、凡庸な発見しか生まれない。「問い」には4つの種類がある。
- クローズド・クエスチョン:YES/NOで答えられる質問
- リミテッド・クエスチョン:想定範囲内の答えで答えられる質問
- オープン・クエスチョン:自由に回答できる質問
- リピート・クエスチョン:なぜ? どうして?と深掘りする質問
インプットにおける問いの原則は、オープン・クエスチョンである。聞いた側が想定していない、新しい発見に出会える可能性がある。また、良い素材発見のためには、リピート・クエスチョンで意識的に掘り下げることも大切である。
②どうやって調べるか?
ネットで検索して終わりといった誰もが思いつくような方法ではなく、調査自体にオリジナリティを持たせることで、アウトプットのオリジナリティを一気に高めることができる。アイデアの種を探すという点において、テーマに関する思わぬ気づきを得るための「探索型調査」が重要になる。代表的な調査の方法は3つ。
- デスクリサーチ:文献・書籍や既存材料、インターネットなどを活用した情報収集と分析
- 定量調査:主にアンケート調査で集められた多数のデータを数値化し、グラフ等に表現して分析
- 定性調査:調査対象者の発言や行動等、数値化できない情報の収集を目的とした調査
既存の方法では、既存の発見しかできない。「見方=問い方」の発明が求められる。できるだけ複数の調査を組み合わせて、調査自体をクリエイティブなものにしていくといい。
コンセプト
コンセプトとは「一言でいうと何なのか?」ということ。コンセプトを明確にすると、アイデアがそれに従ってさらに大きくジャンプし、解決策アイデアは競合と同質化しづらいものになる。優れたコンセプトは、次の3つの「K」を兼ね備えている。
- 共有力:言いたいことがわかりやすく明確であること。向かうべき方向がイメージしやすく、記憶に残りやすい
- 期待力:コンセプト自体に驚きや、ワクワクを期待させる力がある
- 起点力:活動やアイデアの起点になっている。コンセプトを聞いただけで、様々な領域のアイデアが湧いてくる
良いコンセプトを考え出すポイントは、既存の枠組みではなく、枠組みそのものを新たに創造できるかが大切になる。そのためには、とにかく頭に汗をかきながら「考える」しかない。次の4つの思考モードを組み合わせ、「今どのモードで考えているのか」を常に意識することが大切である。
- 俯瞰する:物事を客観的に捉える。視野を広げ、立ち止まって、事柄を取り巻く状況を俯瞰する
- 分類する:複雑に見えるものを分類・整理し、物事を分けることでシンプルにして理解を深める
- 掘り下げる:物事の背景や根源的な部分に思いを巡らせ、真実をより深く追求する
- 混合する:一見関係ないようなもの同士、過去の記憶や情報などを組み合わせる
アウトプット
アウトプットのプロセスでは、絞り込んだコンセプトを「広げて具体化する」という作業を行う。その際、単に広げるだけではなく、考えをもう一段ジャンプさせることが重要になる。アウトプットのフェーズでは、次の4つを行う。
- コンセプトの持つ意味合いを、より具体的にする
- コンセプトを起点に、アイデアをさらに広げる
- コンセプトから、アイデアをもう一段ジャンプさせる
- コンセプトを基準に「やらない」ことを明確にする
アイデアを広げるためには、コンセプトを土台にして、とにかく量を出すことである。その際、コンセプトとの適合度を常に意識し、ストーリーを語れるようにすることが大切である。