Slackが見つけた 未来の働き方

発刊
2023年1月20日
ページ数
368ページ
読了目安
413分
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柔軟な働き方を取り入れて、従業員の生産性を高めるための方法
ビジネス用チャットツールを提供するSlackが、コロナ禍を機に「柔軟な働き方」へと変革した中で、働き方に関して調査し、学習した内容を紹介している一冊。

単にリモートワークを取り入れることが柔軟な働き方ではない。勤務場所や時間などの柔軟性を取り入れた働き方を構築する中で、生産性を高めるための様々な論点や方法が書かれています。

柔軟な働き方とは

柔軟な働き方とは、特定のルールや方針ではなく思考様式である。仕事=オフィス、勤務時間=9時から5時、という時代遅れの観念から自分を解放することだ。共同作業する方法をもっと柔軟に考え、その人に合ったやり方で任務遂行する自由と自律を従業員に与える。そうすれば「いつどこで業務を進めるか」ではなく、「どんなやり方で進めれば最大の成果を引き出せるか」に的を絞って考えられる。

 

柔軟な働き方に必要なもの

柔軟な働き方が過去に失敗に終わり、今でも時にうまくいかない最大の理由は、企業に正しい理解がないことである。次の2つの面で理解が足りていないことが多い。

 

  • What
    柔軟な働き方といっても多様な形があるが、柔軟な働き方を本当の意味で機能させるためのアプローチは「デジタルファースト」である。デジタルファーストとは、対面のコミュニケーションをデジタル技術で補う働き方から、デジタルでのコミュニケーションを対面のやりとりで補うという考え方に切り替えることを意味する。
  • How
    デジタルファーストは、各自のニーズに一番適した場所とスケジュールで働きながら最大の成果を残せるよう、従業員の自由と自律を認めることを意味する。それは、完全な自由や規則性のないカオス状態とは違う。
    変革を成功させるには「枠組みの中での柔軟性」を活用してデジタルファーストな働き方を目指す必要がある。新方針を足すだけではなく、社内文化、プロセス、インフラを根本から変えなければならない。

 

デジタルファースト型企業への変革に必要な7つのステップ

①「方針」を策定する

柔軟な働き方の目的と基本方針を経営陣で決めるプロセスは、従業員の理解を得て社内全体の足並みを揃えるための第一歩だ。柔軟な働き方、特に勤務スケジュールの自由は、時代遅れの概念を捨てて考え方を変えなければ成功しない。そのためには、まずは目的を理解して、経営陣で意識を合わせることから始める。

目的は企業によって異なるが、一般的には「人材」という1つのテーマに帰着することが多い。柔軟に働ける企業は優秀な人材を引きつける上、より多くの候補者から採用できるようにもなる。従業員のエンゲージメントを高めたり、定着させたりもしやすくなる。

 

②「ガードレール」を決める:方針を行動に落とし込む

全従業員から最大の成果を引き出すために公平な環境を整えるために、行動ガイドラインをつくる必要がある。多くの人が身に覚えがあるであろうダブルスタンダード状態を防いで、柔軟な働き方の方針を浸透させる枠組みをつくる。

柔軟な働き方を有効に機能させるには、リーダー層から方向性を打ち出し、正しい行動を示す必要がある。手本を示すには、象徴的なわかりやすい行動をとるといい。

 

③チームの「取り決め」を定める:個別の事情に配慮する

会社として重視することをトップダウンで伝え、その枠組み内でチームごとに最も効果的なやり方を見つけてもらう。ここで活躍するのがチームの取り決めだ。チームで働くためにメンバーに何を求めるかを明示した基準である。チームが違えば目標も制約も異なるので、あるチームに適したガイドラインが別のチームには意味をなさないかもしれない。大切なのは、従業員に枠組み内での自律を認め、最適な働き方と、個人とチームの能力を発揮するために必要なものを各チームに決めさせることである。

 

④メンバーを巻き込む:実践と変革を続ける体制

定着させたい行動と考え方の両方に、実験・学習・修正のプロセスを取り入れることが必要である。柔軟な働き方に関しては、どんな相手でも説得できる万国共通のデータやベンチマークはない。

 

⑤つながりを築く:社内文化を育む仕組み

柔軟な働き方に対する懸念事項で一番多いのが「会社の文化と従業員同士のつながりを蝕むのではないか」という点だ。柔軟な働き方でつながりを構築するためには、以下のことを考える。

  1. 課題を認識する
  2. 従業員が本当に求めるものを知る
  3. デジタル空間を本社にする
  4. 共有スペースの役割を再考する
  5. チームに決定権を与える
  6. チームに選択肢とツールを提供する
  7. トップダウンで文化をつくる

 

⑥リーダーを教育する:求められる管理スキル

大半のマネージャーには、柔軟な働き方の体制を取り入れたり、分散したチームを率いたりする能力が備わっていない。マネージャーは進捗管理を行う門番役から、共感能力を持って部下を率いるコーチへと変わらなくてはならない。業務遂行に必要なスキルセットだけでなく、メンバー1人1人についてもよく知る必要がある。

 

⑦成果に基づき評価する:「監視」から「信頼」へ

柔軟な働き方に切り替えると、多くの企業がかつてしていたような個人の生産性を一律の方法で測ることはできなくなる。勤務時間の長さ、パソコンの起動時間といった活動ベースのものさしから、成果ベースのものさしへの移行が求められる。確実に「作業が終わる」かを監視するのはやめて、目標を設定してチームをコーチングする方にシフトすべきである。