話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術

発刊
2024年4月26日
ページ数
352ページ
読了目安
337分
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話し方の科学
スピーチライターの著者が、話し方の要素を分解し、体系化。それぞれの要素を具体的に解説し、話して相手に伝えるために必要な考え方と技術を紹介しています。

スピーチやプレゼンから1on1まで、それぞれの状況に応じて、どのような話し方をすれば、相手に伝わるのか。
話し方の原則と具体的なメソッドを理解することで、「話して伝える」という根本的な部分を学ぶことができます。

「伝わる」3つの原則

そもそも人に何かを「話して伝える」ためには、話し始める前の段階で考えるべきことがある。加えて、「話す」という行為の特徴を正しく認識する必要がある。これが戦略の基本にあたる「3つの原則」である。

 

①「話す目的」を明確にする

目的とは「話すことで実現したい事柄」を指す。これがはっきりしているかどうかで、話の質に大きな差が生まれる。多くの場合で、「話が長い」状態に陥る原因は「目的意識の不足」にある。話すこと自体が目的化してしまうと、決して人の心を掴むような話にはならない。基本となるのは、その都度「どんな目的で話すのか」を擦り合わせること。目的を定めるべきタイミングは「話し始めるより前」である。

 

②「対象者」を分析する

対象者とは「話しを聞いてくれる人」を指す。聞き手の属性や状況、コミュニケーションのスタイル、持っている知識量などの見当をつけることである。どんなに強い目的意識を持っていても、ターゲットに伝わる言葉でなければ、達成されるコミュニケーションにはならない。対象者の属性を理解できて初めて、適切な言葉の難易度や解釈を定めることができる。

対象者分析を行い、話していくことにおいて大切なことは「相手ありき」で考えること。相手の立場に立って話し方を磨くことが大切である。

 

③「話し言葉」の意識を持つ

話し言葉は、音声情報として伝わるため、アウトプットは時間と共に消えていく。つまり「話す」とは、瞬間的に言葉の解釈をしなければならない、シビアなコミュニケーション形態である。自分が話した情報が「すべて相手の記憶に残っていると思わないこと」が重要になる。その前提に立つと、余分な言葉や段落を思い切って削除したり、一番伝えたいことの記憶への定着を助ける言葉や表現を探していけるようになる。

 

具体的なメソッドにおいては、話し方は明確に「言葉」と「音声・動作」の2つの軸に分けられる。この両面からアプローチし、理解・実践していくことが重要である。

 

「言葉」の戦略

目的と相手が定まったことを前提に、話の根幹となる「内容」をつくっていく。

 

①言語化

話す目的を達成する上で欠かせないものが「コアメッセージ」である。コアメッセージとは、話す目的を明確にした上で、具体的なフレーズに落とし込んだもの。「つまり何が言いたいのか」を一言で示す。コアメッセージがあると、伝えたいことを聞き手の記憶に残すことができ、話全体もまとまったものになる。

コアメッセージを作成するにあたっては「文字数を減らす」ことを意識する。短ければ短いほど記憶に残りやすくなる。質の高いコアメッセージには「行動依頼(行動に関わる具体的なお願い)」パターンと「価値観提供(何かの事柄についての考え方を持ち帰ってもらう)」パターンがある。

 

②構成

「どんな順番で」「何を」「どのくらい」話すか。理想的な構成は、時と場合によって変わり、一概に正解となる構成があるわけではない。目的とコアメッセージが明確にあったとしても、話全体の中のトピックの比率によって、印象は大きく変わる。比率を考える上でのシンプルなルールは、「目的」と関連性の高いトピックの比率を多くすることである。

 

③ストーリー

聞き手側は、コアメッセージに対して、裏付けを欲する。自らの過去の行動や経験を踏まえて語ることができれば、話に説得力が増す。ストーリーを語り、本当の意味で聞き手の心を動かすには「自己開示」が必要である。自分の悩みや弱点、または強みなど、ありのままの自分を他者にさらけ出すこと。弱みの開示をうまく使えると、聞き手に共感してもらったり、応援してもらったりすることにつながる。

 

④ファクト

数字やデータ、過去にあった事実など、ファクトの扱い方次第で、話にわかりやすさや明快さが生まれ、たくさんの人に自分ごととして捉えてもらうことができる。ストーリーが熱意と共感を生むものだとしたら、ファクトは信頼と納得を生む。

 

⑤レトリック

話を立体的にして「自分以外の視点が明らかに入っている」ということを上手に表す方法が「会話文(他者の発言)」を挿入することである。自分の主張が「複数の意見」によって底上げされることになり、話を聞いてみようかなと思わせる力が増す。

 

「音声・動作」の戦略

話し言葉は音声によって相手に届く。また、動作によって強調されて伝わる。音声と動作の意識は自分の思う3倍以上やって初めて、聞き手には普通に聞こえる。

 

①発声

音声の質を考える上で欠かせないのが「抑揚」である。抑揚は次の5つの要素に分解して考える。

  1. 声の大小
  2. 声のスピード
  3. 声の高低
  4. 間の確保
  5. フィラー(「えー」「あのー」など無意識の言葉)の削減

 

②沈黙

間は前に話したことを理解させる時間であり、後に何を話すのかを期待させる時間である。特に重要なのは、1つ目の句点の部分での間。プレゼンなどでは、2秒程度の間を取るといい。