リアルなモノや権利をNFT化する
現在、NFT市場は急速に拡大しつつあり、日本でも大企業や有名人などがNFTマーケットプレイスに出品している。NFTが脚光を浴びるようになったきっかけはデジタルアートだったが、今ではリアルなモノや権利がNFT化されて販売されるという、新しい動きが見られるようになっている。
- 楽座:日本のアニメの「セル画」に特化したNFTマーケットプレイス
- UniCask:ウイスキーの樽の中身を100口に分割してNFTとして販売
- Flyfish Club:レストランが会員権をNFTとして販売
これら以外にも、シェアハウスに1ヶ月住む権利や高級車のカーシェアリングの権利など、NFTの特性を活かした新しいサービスが日々登場している。
NFTが持つ価値を設計せよ
NFTの話題が徐々に広がり始めた2020年頃であれば、まだ出品数が少なかったこともあって「今ならNFT化すれば何でも売れるのではないか」という発想につながる傾向があった。しかし、新しいマーケットプレイスが次々に登場し、世界中から毎日すさまじい数のNFTが出品されるようになった今は、もう「NFTなら話題になる」という時代ではない。
また、NFT販売者にとって便利な機能を備えた、個性的なマーケットプレイスが次々に登場しているが、それらは基本的に「集客」まで行ってくれるものではない。そのため、他のNFTとは異なる価値を付加したり、効果的な情報発信をしたりといった工夫が不可欠である。
NFT界では、NFTの活用方法を「Utility(ユーティリティ)」と呼んでいる。今まではTwitterの投稿やデジタルアートをNFTにして販売すれば話題になった。しかし、昨今ではNFTだからこそ提供できる価値をユーティリティとして付加していくことが求められている。
その1つがコミュニティ内でNFTホルダー限定で価値ある情報を提供することである。NFTを購入した人に「買って得した」「掘り出し物を見つけた」「伸びしろに期待できる」と実感してもらえるようなアフターフォローが不可欠である。
NFTが持つ6つの価値
NFTの価値には次の6つがある。
- 資産性
ストックオプションのような仕組みに近く、アートやコミュニティの価値が認められれば売買益が得られる。 - 副業
社外における新たな働き口となる。コミュニティによっては報酬はNFTが一般的なため、自由に副業ができる。 - スキルアップ
未経験分野であっても、率先してコミュニティに参加して役割を見つけることで経験を蓄積できる。 - 利用価値
NFTホルダー限定の特典が得られる。一種の会員権のような役割を併せ持つ。 - メンバーシップ
SNS上でのPFPやコミュニティにおける新たなつながりにより、人生がより豊かになる。 - 差別化
NFTはどの分野でも転用可能な技術。掛け合わせるだけで差別化につながり唯一無二のサービスを設計できる。
NFTは1回売り切って終わりではなく、そこからが本当のスタートである。現在、NFTに取り組む多くの事業者は初期販売における完売を目標にして、完売後は消えていくことが多い。ところがNFT事業の醍醐味は、二次流通以降のロイヤリティが永続的に入ることである。だから、いかに新規の見込み客に初期販売よりも高い価格で買ってもらえるような仕掛けを準備して、二次流通以降の取引を活性化させるかが重要である。そのためには、長期にわたって「賛同者が集まる」仕組みづくりを模索する必要がある。
NFT事業ではコミュニティを作ることが不可欠
2022年現在、日本でNFTを売買している人口は、1万人強であると言われている。ネットやテレビで「NFT」を見聞きする機会が増えたものの、いまだにイノベーター層の域を脱していない状況である。その1番の理由は、今の生活においてNFTがなくても困ることはないからである。
日本のNFT市場はかなり小さいため、NFTを販売したとしても、1点も売れない状態がずっと続く。まずは、NFTを売買している人たちとのつながりを作り、お互いのNFTを買いあって応援し合うことがNFTを売るための近道である。おすすめは、Twitter上で実施する「#NFT買います」企画である。
NFTでの事業化を目指す場合、コミュニティの立ち上げは必須である。その際に1番おすすめはコミュニケーションツール「Discord」である。理由は次の3つ。
- 無料で使える範囲が広い
- 参加者の匿名性が担保できる
- NFTホルダー限定のチャンネルを作れる
Discordでは、特定のNFTを保有していることを認証した上での情報公開が実現できる。この機能によりNFTホルダーへ向けて様々な特典を提供する仕組みが作れる。