パーセプション 市場をつくる新発想

発刊
2022年11月3日
ページ数
268ページ
読了目安
328分
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推薦者

市場をつくるために必要な考え方
どれだけ会社名や商品、サービスの認知度を高めても、それが消費者にどう捉えられるかによって、成果は異なってくる。商品やブランドに対する受け手側の客観的な認識「パーセプション」の重要性を説き、それをどのようにコントロールすれば良いのかを様々な事例をもとに紹介しています。
商品やサービスのマーケティングを考える上で、今後ますます重要になる考え方が書かれています。

認知から認識へ

従来、マーケティングや広報活動で最も重視されていたのは「認知」だ。しかし、モノが溢れコモディティー化が進む昨今は、認知を獲得するだけでは消費者の心は動かせない。そこで、認知を上げる活動に加えて重要になっているのが、世の中から商品・ブランドに向けられる認識「パーセプション(客観的な認識)」の正しいコントロールである。

パーセプションとは、平たく言えば「モノゴトの見え方や捉え方」である。物理的なモノや事象は、それ自体は存在するもの。しかし、その見え方や捉え方は、人によって違うことが多く、時代によっても移り変わる。トレンドの発生や移り変わり、衰退の裏には、常にパーセプションの変化が潜んでいる。このパーセプションをコントロールすることで、トレンドを生み出すこともできる。

 

この時代における情報発信は、もはや認知を争う戦いではない。認識の戦いだ。世の中のトレンドの裏側で、消費者のパーセプションの変容はなぜ起こるのか。企業は、商品やブランドにとって好ましいパーセプションをどう維持すべきなのかを考える必要がある。

 

パーセプションを形成する5つの要素

パーセプションの形成過程を分解すると、5つの要素がある。

 

①事象

すべてのパーセプションには、それに至る事象や事実が介在する。パーセプションを持ったり持たせたりするには、その真偽はともかくとして、何らかのファクトを伴う具体的な事象が必要となる。

 

②リテラシー

物事を認識するリテラシーは、当事者が育った社会環境や文化的背景によって異なってくる。たとえ同じ事象でも、受け手のリテラシーによって期待値や納得感が変わる。

 

③グループ

何かを見聞きした次にそれが何か、なるべく早く効率的に理解したいという心理が働く。この助けになるのが、グルーピングやカテゴリーの発想だ。既知のものと同じ仲間だと分かれば理解も早い。どのグループ所属と思われるかによって、パーセプションも変わってくる。

 

④タイミング

大きな社会の潮流や時流は、企業や商品へのパーセプションに影響を与える。世の中の空気がどうなっているか、どっちを向いているか、どれだけ賛同者がいるのかといった要素はパーセプション形成に大きく関わってくる。

 

⑤コントラスト

物事は常に相対評価される。コントラストが与えられることで、丸いと思っていたものが四角に見えたり、老けていると感じた人が若く見えたりする。

 

パーセプション形成は、必ずしもこの5つの要素が揃うことが条件ではない。1つの要素だけで起きる可能性もある。

 

パーセプションをつくる

パーセプションを新たにつくることは、市場創造そのものである。「世の中のどこに新しいパーセプションをつくる余地があるか」。その問いから発想することは、新しい市場やビジネスを創出するチャンスとなる。

 

パーセプションをつくる領域では、次の3つの要素が関係していることが多い。

①「事象」とのサイクルでつくる

人の行動はそう簡単に変わるものではない。信頼できる情報に十分に触れて、その結果ジワジワと自分のモノの見方が変わっていき、最後に具体的な行動に変化が現れる。

パーセプションは、イメージ(印象)とは違う。イメージは実態とかけ離れていてもつくれるが、パーセプションはファクトが必要になる。よって1からパーセプションをつくるには、新たな「事象」が必要になる。そして、事象とパーセプションのサイクル(循環)でパーセプションを大きく育てられる。事象とパーセプションは鶏と卵の関係にある。まずは狭く小さい範囲でもいいので、事象をつくることが大事である。それを基にパーセプションを育て、さらに事象を積み重ねるサイクルによって、パーセプションは確固たるものになる。

 

②「リテラシー」のギャップからつくる

パーセプションは、あくまで受け手側が持つ認識である。それは、同じ事象であっても、受け手の育った環境や文化的背景、経済的な格差を含めたバックグラウンドによって認識は異なる。この与えられた材料から必要な情報を引き出し活用する能力をリテラシーという。対象層のリテラシーのギャップに着目することで、新たなパーセプションをつくることができる。

 

③「コントラスト」を活用してつくる

物事は常に相対評価される。相対的になることで、「コントラスト」が際立ち、新しいパーセプションの形成につながる。強いコントラストは、ある意味、全く新しいパーセプションを生み出すチャンスになる。