完全無欠の問題解決 不確実性を乗り越える7ステップアプローチ

発刊
2022年9月28日
ページ数
376ページ
読了目安
617分
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マッキンゼーの問題解決メソッド
マッキンゼーのコンサルタントが行っている問題解決のプロセスと手法を紹介している一冊。
複雑な問題に対して、どのようなアプローチで解決策を導くのかがわかりやすく整理されており、あらゆる問題解決に対して、考えを整理して、素早く解決策を導き出すことができます。

完全無欠の問題解決メソッド7つのステップ

問題解決とは、複雑さと不確実性が高く、明確な解決策が得られない場合、また良い答えを得るための努力に見合うだけの結果が得られる場合の意思決定のことである。

問題解決のフレームワーク「完全無欠の問題解決メソッド」は、世界的なコンサルティング企業、マッキンゼー&カンパニーで学び、発展させてきたものであり、7つのステップで構成される。完全無欠の問題解決アプローチの秘訣は、直線的な問題から、複雑な相互依存関係にある問題まで、ほぼすべてのタイプの問題を解決するために、同じ体系的なプロセスを踏むことにある。

 

①問題を定義する

問題定義が不十分なことが原因で、驚くべき数の問題が解決に失敗している。プロセスの最初のステップは、意思決定に関わる人の間で合意された「問題の定義」に到達することである。優れた問題定義文には次の特徴がある。

  1. 成果に焦点を当てていること
  2. 可能な限り具体的で測定可能であること
  3. 明確な時間的制約が設定されていること
  4. 意思決定者の価値観や境界線に明確に対処するように設計されていること
  5. 創造性や予期しない結果に対して十分な余地を許容するよう構造化されていること
  6. 可能な限り高いレベルで解決すること

 

②問題を分解する

問題が定義されたら、それを構成要素または細分化された問題要素に分解する必要がある。様々なタイプのロジックツリーを使って、問題を分析用のパーツに分解し、対立仮説を導き出していく。コツは、どのタイプのロジックツリーであれば、エレガントな解決策を明確に見せてくれるのかを判定することだ。

ロジックツリー構築における重要な原則は「MECE(相互に排他的、集合的に網羅的)」である。

  • 構成要素ツリー:早い段階で、基礎となる構造についてあまり知らない場合
  • 帰納的ロジックツリー:問題のエンドポイントは知っているが、構造やパーツ間の関係を理解していない場合
  • 演繹的ロジックツリー:問題の構造について明確な考えを持っている場合
  • 仮説ツリー:構造を十分に知っている場合、データ収集で検証するために明確な仮説を立てる
  • 意思決定ツリー:意思決定の本質が一連の連鎖的な分岐点で分析が可能な場合

 

ルールは、一般的な問題要素を持つツリーから、検証すべき明確な仮説を示すツリーに移動すること。漠然としたラベル名では、分析や行動につながらない。

 

③優先順位付けをする

優れた問題解決には「何をするか」と同じくらい「何をしないか」が重要である。適切な優先順位付けにより、より速く、より少ない労力で問題が解決できる。

ロジックツリーのどの枝が問題に最大の影響を与えるのかを見つけ出し、そうした枝に注意を向ける。ロジックツリーを整理するには、各レバーの引き起こす影響の大きさと、レバーを動かす機能との二軸マトリクスを使う。

 

④作業計画を立てる

プロジェクトの構成要素が定義され、優先順位が決まったら、事実関係のデータを集め、分析計画にリンクさせる。この作業計画とタイムテーブルには、特定情報の報告書がつけられて完了日が決められ、チームメンバーが割り当てられる。作業計画を立てるためのコツは次の通り。

  1. 非常に明確で検証可能な仮説に基づいていない限り、分析は行わない
  2. 明確に視覚化された「ダミー、チャート、図表」から逆方向に作業する
  3. 分析の順序には細心の注意を払う
  4. 誰がいつまでに何をするかについて非常に具体的に決める
  5. 作業計画は2〜3週間分。長い期間のプロジェクト計画の場合は、残りの期間を大まかに説明する

 

⑤分析をする

分析を速く、簡単にするため、単純なヒューリスティックス(ショートカットまたは経験則)から始めて、各問題の構成要素の大きさを理解し、優先順位を素早く評価する。

  1. オッカムの剃刀:事実に適合する最も単純な解決策を支持する
  2. 「大きさの程度」分析:様々なレバーの規模を推定する
  3. パレートの法則:80%の結果は20%の原因から生じる
  4. 複利の成長率:「72の法則」(72を成長率で割り、元本が2倍になる期間を計算)で複利効果を推定する
  5. S字曲線:市場に完全採用される可能性の割合をY軸に、採用後の年数をX軸にとって描く
  6. 期待値:単に結果の値にその発生確率を掛ける
  7. ベイジアン思考:条件付き確率を使う
  8. 類推による推論:以前見た特定の問題の構造と解決策が、現在の問題に当てはめられるか検証する
  9. 損益分岐点:売上高が現金支出を上回る水準を考える
  10. 限界分析:もうもう1単位追加した時の費用または便益を検討する
  11. 結果の分布:結果の分布を考える

 

⑥分析結果を統合する

データ収集、インタビュー、分析、モデリングから得た知見を統合し、論理構造に組み立て、説得力のあるストーリーテリングに仕上げる。

 

⑦ストーリーで語る

問題定義文と特定されたイシューにリンクする結論から、ストーリーラインを作成する。初期から定義された状況-複雑化-解決策というロジックにより成り立つ。全体をまとめる考え、議論を用いると説得力が増す。