ブランディング経営

発刊
2022年9月20日
ページ数
240ページ
読了目安
259分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

中小企業のためのブランディング戦略
中小企業が生き残るには、自社で価格主導権を持つオリジナルな商品を開発し、ブランディングすること。
中小企業診断士の著者が、中小企業のブランディングの本質を解説し、様々な事例をもとに、中小企業のブランディング戦略を紹介しています。
外部環境が厳しい中、下請けを脱し、いかに自社商品・サービスを作って選ばれる会社になるかというビジネスの王道の戦略が書かれています。

中小企業のブランディングとは何か

中小企業の究極の戦略は「ブランディング」である。ブランディング戦略において何よりも大切なのは、小手先の見せ方やテクニックではなく「品質」である。仮に広告のキャッチコピーやホームページの見せ方の集客テクニックを使っても、品質が良くなければお客様は離れていく。

真のブランディングとは、中小企業だからこその独自の武器、強みを活かした高い品質の商品・サービスを開発し、創り上げていくことである。そのクリエイティブなプロセスの中に仕事のやりがいが生まれ、社員の幸福、お客様の幸福が存在する。

 

「価値」というのは、お客様に歩み寄ろうとする企業努力から生まれる。企業価値と企業努力の結晶が「商品」である。その商品に「価値」があると感じるからこそ、お客様はお金を払ってくれる。その企業価値を端的に表したのが「経営理念」である。

中小企業が企業価値を高めるためには、その会社だけの武器が必要になる。自分たちだけが持っている武器を磨き、経営理念に根ざした価値に高めて、お客様に提供するという姿勢がマストである。

物だけなら価格の勝負になる。しかし、そこに「想い」がこもることで価値になり、価値があるから高くても買ってくれる。製品に「想い」が宿ることで、付加価値が付き、高く売れる。これがブランディングである。

 

まずは自分たちだけの、誇りと想いを詰め込んだ商品・サービスを1つでも開発すること。大変だが取り組めば「高品質、高価格、高付加価値」が実現することは間違いない。

 

ブランディング経営の進め方

①自社のブランディング経営の現状を検証・認識する

薄利多売に陥っていないか、価格競争に巻き込まれていないか、商品が本当に素敵なものであるか、商品にオリジナリティがあるかなど、自社の現状のどの部分に課題があるかを認識する。

 

②ブランディング経営のための方針を決める

次の5つの戦略のどこから始めるかを判断する。

  1. 新商品開発戦略:ゼロから新しい商品を開発する
  2. ブラッシュアップ戦略:現在の商品のUSP(自社の強み)を創出する
  3. リレーションシップ戦略:クオリティをどのように伝達していくか告知戦略を考察する
  4. 高価格設定戦略:高付加価値を実現する価格を設定する
  5. 新ブランド開発戦略:現在のブランディング戦略を維持しながら、新しいブランドを創出する

 

③プロジェクトチームを組織する

基本的には有志でメンバーを集める。人数は多くても7、8人まで。理想は、現場を知っている幹部がリーダーになることである。

 

④経営理念を創る

ブランディングに入る前に「自分たちはお客様に対してこういう商品・サービス・価値を提供していきます」といった想いを言語化して、経営理念を創る。経営理念はブランディングを考える時の土台となる価値になる。

 

⑤ブランディング・コンセプトを「見える化」する

「商品・サービス」でブランディングするか、「人財」でブランディングするかを決める。コンセプトは曖昧なものではなく、キーワード化し「見える化」することがブランディングの具体化の最初の一歩になる。

 

⑥ブランディング・シーズを見つける

シーズとは、自社の独自な商品・サービスの中でも特に尖らせたい箇所、強み、ウリに当たる部分。尖らせる部分となるブランドファクターをキーワード化し、「見える化」することが大事である。まずは何をもって磨き上げ、尖らせるか、チームで色々なアイデアを出すところから始める。

 

⑦ベンチマークを中心としたマーケティングリサーチを実施する

シーズを具現化する作業に入る前に、競合他社の商品やサービスをマーケティングしておく。ターゲティングを決めるためにも、マーケティングは大切である。

 

⑧ブランディング・シーズを徹底的に磨く

シーズを言語化した「キーワード」を商品やサービスに具体的に落とし込んでいく。ギリギリまで妥協なく高品質を追求し「もうこれ以上のモノはできない」という完成度を目指す。

 

⑨ブランディング・クオリティのPDCAを実直に回す

商品・サービスの品質を高めていくにあたっては、「検証」と「改善」が大事になる。

 

⑩高品質のオリジナル商品・サービスを具現化する

注意すべきは、プロジェクトメンバー全員が納得する商品・サービスになっているかどうか。納得感、感動が全員に共有されて初めて、商品に「想い」がこもる。

 

⑪価格主導権を活かし、売価を決定する

基本は、原価率が30%。理想は25%である。自分たちで価格主導権を持つ商品を創ることが、ブランディング経営の目指すとことである。

 

⑫見せ方・伝え方に徹底的にこだわった販売戦略を確立する

商品の見せ方にはコストを惜しまず、お金をかける。こだわりを伝えないと意味がない。

 

⑬マーケティングを展開する

「顧客感動」の上の「顧客感激」までいくような商品・サービスを創り上げる。感激すると、人は人に言いたくなる。つまり、口コミが生まれ、これが1番の広告になる。