中小企業のブランディングとは何か
中小企業の究極の戦略は「ブランディング」である。ブランディング戦略において何よりも大切なのは、小手先の見せ方やテクニックではなく「品質」である。仮に広告のキャッチコピーやホームページの見せ方の集客テクニックを使っても、品質が良くなければお客様は離れていく。
真のブランディングとは、中小企業だからこその独自の武器、強みを活かした高い品質の商品・サービスを開発し、創り上げていくことである。そのクリエイティブなプロセスの中に仕事のやりがいが生まれ、社員の幸福、お客様の幸福が存在する。
「価値」というのは、お客様に歩み寄ろうとする企業努力から生まれる。企業価値と企業努力の結晶が「商品」である。その商品に「価値」があると感じるからこそ、お客様はお金を払ってくれる。その企業価値を端的に表したのが「経営理念」である。
中小企業が企業価値を高めるためには、その会社だけの武器が必要になる。自分たちだけが持っている武器を磨き、経営理念に根ざした価値に高めて、お客様に提供するという姿勢がマストである。
物だけなら価格の勝負になる。しかし、そこに「想い」がこもることで価値になり、価値があるから高くても買ってくれる。製品に「想い」が宿ることで、付加価値が付き、高く売れる。これがブランディングである。
まずは自分たちだけの、誇りと想いを詰め込んだ商品・サービスを1つでも開発すること。大変だが取り組めば「高品質、高価格、高付加価値」が実現することは間違いない。
ブランディング経営の進め方
①自社のブランディング経営の現状を検証・認識する
薄利多売に陥っていないか、価格競争に巻き込まれていないか、商品が本当に素敵なものであるか、商品にオリジナリティがあるかなど、自社の現状のどの部分に課題があるかを認識する。
②ブランディング経営のための方針を決める
次の5つの戦略のどこから始めるかを判断する。
- 新商品開発戦略:ゼロから新しい商品を開発する
- ブラッシュアップ戦略:現在の商品のUSP(自社の強み)を創出する
- リレーションシップ戦略:クオリティをどのように伝達していくか告知戦略を考察する
- 高価格設定戦略:高付加価値を実現する価格を設定する
- 新ブランド開発戦略:現在のブランディング戦略を維持しながら、新しいブランドを創出する
③プロジェクトチームを組織する
基本的には有志でメンバーを集める。人数は多くても7、8人まで。理想は、現場を知っている幹部がリーダーになることである。
④経営理念を創る
ブランディングに入る前に「自分たちはお客様に対してこういう商品・サービス・価値を提供していきます」といった想いを言語化して、経営理念を創る。経営理念はブランディングを考える時の土台となる価値になる。
⑤ブランディング・コンセプトを「見える化」する
「商品・サービス」でブランディングするか、「人財」でブランディングするかを決める。コンセプトは曖昧なものではなく、キーワード化し「見える化」することがブランディングの具体化の最初の一歩になる。
⑥ブランディング・シーズを見つける
シーズとは、自社の独自な商品・サービスの中でも特に尖らせたい箇所、強み、ウリに当たる部分。尖らせる部分となるブランドファクターをキーワード化し、「見える化」することが大事である。まずは何をもって磨き上げ、尖らせるか、チームで色々なアイデアを出すところから始める。
⑦ベンチマークを中心としたマーケティングリサーチを実施する
シーズを具現化する作業に入る前に、競合他社の商品やサービスをマーケティングしておく。ターゲティングを決めるためにも、マーケティングは大切である。
⑧ブランディング・シーズを徹底的に磨く
シーズを言語化した「キーワード」を商品やサービスに具体的に落とし込んでいく。ギリギリまで妥協なく高品質を追求し「もうこれ以上のモノはできない」という完成度を目指す。
⑨ブランディング・クオリティのPDCAを実直に回す
商品・サービスの品質を高めていくにあたっては、「検証」と「改善」が大事になる。
⑩高品質のオリジナル商品・サービスを具現化する
注意すべきは、プロジェクトメンバー全員が納得する商品・サービスになっているかどうか。納得感、感動が全員に共有されて初めて、商品に「想い」がこもる。
⑪価格主導権を活かし、売価を決定する
基本は、原価率が30%。理想は25%である。自分たちで価格主導権を持つ商品を創ることが、ブランディング経営の目指すとことである。
⑫見せ方・伝え方に徹底的にこだわった販売戦略を確立する
商品の見せ方にはコストを惜しまず、お金をかける。こだわりを伝えないと意味がない。
⑬マーケティングを展開する
「顧客感動」の上の「顧客感激」までいくような商品・サービスを創り上げる。感激すると、人は人に言いたくなる。つまり、口コミが生まれ、これが1番の広告になる。