Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。

発刊
2019年5月29日
ページ数
224ページ
読了目安
228分
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推薦者

創業1805年のくず餅屋のマネジメント論
東京・亀戸に200年以上続く「くず餅」の船橋屋8代目が、社員を幸せにして、顧客にも喜ばれる経営を紹介している一冊。組織を活性化させるために行なっている様々なことが書かれています。

「こうすべき」が迷いを生む

世の中には「こうしなくてはいけない」ということなどない。「こうあるべき」などという組織もない。今置かれている状況を素直に受け入れて、ここにいる自分とその仲間がワクワクすること、そして自分を取り巻く社会やお客様にとって幸せになることだけを突き詰めていけばいい。

この考え方を一言で表すと「これでいいのだ」という言葉になる。これは「Being Life」と表現される。「今の自分、今の自分が置かれている状況」を自然に受け入れるということである。

経営者は多かれ少なかれ「べき」にとらわれている。理想像に固執するあまり、もっともっとを追い求め、今に心を置くことができなくなる。このような状態を避けるためにも、「Being Life」を意識しなければならない。

関わる人を幸せにすることを目的に経営する

個々人が充足感を感じ幸せの在り方を大切にする経営こそ「Being management」である。この「Being 経営」は「もっともっと」という欠乏感にフォーカスした目標から解放されて、今、目の前にいる人たちの「幸せ」に重きを置いた組織経営なので、リーダーにも苦悩や迷いがない。組織のメンバーや周囲の人々もワクワクした状態なので、好循環が生まれる。

拡大・成長というのは、会社が存続する上では必要不可欠だが、あくまでもそれは結果であり、その会社の存在意義ではない。自分たちの存在意義とかけ離れたことを経営方針として、「もっともっと」と欠乏感の充足を追い求めると、会社全体は苦悩の集団と化して、最終的には機能不全に陥る。

経営方針で迷うことがあれば、「どっちの選択の方が、ワクワクと胸が躍るようなイメージができるか」を自問して、自分たちの進むべき道を探る。「今、ここ、自分」を大切に、「それは幸せにつながるか否か」ということを経営の基準に据えるようになってから、「船橋屋」はあらゆることがうまくいくようになった。社員・パートのモチベーションが劇的に向上した。PDCAサイクルを厳重に管理しなくても、自主的に自分たちから次々とアイデアを出して実行、運営してくれるようになり、職人も率先して人材育成の様々な取り組みをしてくれるようになった。

自らの心に素直に従って「ありのまま」を目指していくことが「Being経営」の真髄とも言うべき点である。

Being経営の組織論

「船橋屋」では、「リーダーズ選挙」により、執行役員や幹部を、正社員と勤続5年以上のパートの方たちによる匿名の投票で選ぶ。これは「幸せ」という判断基準に基づく制度である。経営者がトップダウンで幹部を選出するよりも、働く人たちが納得して選んだ人間を幹部にした方がはるかに楽しく、ワクワクしながら「幸せ」に働ける。

この選挙を導入したのは、オーケストラ型組織を目指すためである。トップがリーダーシップを発揮して、みんなを引っ張っていくようなものではなく、ビジョンを共有した「仲間」が自発的に動く。

オーケストラで重要なのは、コンサートマスター(まとめ役)の資質である。このコンサートマスターを選ぶのが「リーダーズ選挙」である。そして、このオーケストラ型組織の指揮者であるトップは、2つの重要な仕事をしなければならない。

①「この組織がどう進み、どのような形になるのか」というビジョンをしっかりと確立して、組織の仲間たちに刺激的でワクワクする形で示す

②描いたビジョンを完全に共有できるナンバー2、コンマスを選び「コンマスがリーダーシップを発揮しやすい環境を整えながら強い組織をつくっていく

参考文献・紹介書籍