自分の人生は自分で考えよ
「若いうちは先のことなんか考えず、自分が夢中になれることにのめりこめ」というのは無責任なアドバイスだ。若いうち夢中になっていたことが現在につながったり、たまたまいい結果を生んだりした幸運な人が、自分の経験を一般論化して話すケースが多い。うまくいかなかったその他大勢の人は黙っているのである。
自分の人生だから自分で設計するのが当然。自分が考えなくてはならない。学校の成績だけで人生が決まるわけではない。まず何が好きか、何をやりたいかを自分で考えるのである。まずは自分の関心のある問題に関われる立場に近づけるように自分をつくることを考えることが大事である。
一度目標を持ったら、その実現のために必要なことからやっていかなければならない。目の前に出てくる魅力的なことに心を奪われると、ハードル越えのタイミングを逸してしまい、肝心の目標から遠ざかってしまう。
10対40。中高時代の6年間、大学時代の4年間の計10年間と、次の40年間のどちらが人生で大事か。答えは明らかである。学生時代を満喫してその後あまり関心を持てない仕事を40年間も続けるのは残念である。まず自分の思う姿を思い浮かべ、それにたどり着く道をおおまかにデッサンしてみるのである。
夢や理想を持っても、その実現のために計画し実行していかなければならない。目標や志を持ったらそれに向けて今の自分が何をしたらいいか考えるのである。その際、大事なことは自分の尺度で考えること。冷静にこの自分が今何をどれだけすればいいか常に考える、あるいは状況判断をするくせをつけることは社会に出ても役に立つはずである。
何を勉強すべきか
将来どんな道に進んでも役に立ち、必要となる2つの武器「英語」と「コンピューター」を中高生の時から身につけると良い。この2つが自由に使えるかどうかで大学生活も社会人生活も全く変わってくる。
何を勉強するかは、時間、場所のモノサシで考えて、将来でも役に立つような社会の基本的な枠組みや世界のどこでも役に立つ技能を学ぶといい。時間のモノサシとは、あと何十年経っても役に立つかということ。法律や経済金融などの社会の基本的な枠組みはそんなに変わらないので、こういう勉強の成果は長持ちする。経済、金融、簿記などの仕組みは基本であり、学生時代に勉強しておくことが有用である。さらにこれからの時代、理系や文系の枠にとらわれすぎないことが大事である。文系を自認する人もAI、IT、量子力学などの新しい科学に食わず嫌いで背を向けるのは損である。
場所のモノサシというのは、世界のどこに行っても自分の武器になる学問や知識かということ。たとえ語学を専門的に勉強しても、その国に行けばみなが話しており、珍重されない。翻訳や通訳はかなりの部分はAIでこなせるようになっていくだろう。語学を学ぶのであれば専攻でなく副専攻として勉強するのがいい。
選択肢を考える力を身につけよ
最近では、与えられた課題を解決するというより、状況を分析して問題、課題を発見していく能力が大事だという議論が行われている。置かれた状況をそのまま受け止めるのでなく、何か改善すべき点はないか考えるのである。こういう積極的な発想は大事である。しかし、実際の社会ではそれだけでなく次々に起きてくる問題に対応しなければならない。その場合、色々な解を考え、それらを比較しベストなもの、問題がないものを選んでいく。
ある問題について解のオプションをいくつか考え、それぞれのメリットとデメリットを考える癖をつけること。それこそが社会に出てからも実際に直面する意思決定の方法である。
大学入試までは記憶力がものを言うが、オプションをつくるにあたり大事なのは「想像力」や「創造力」である。どんな事態が起きうるか想定することから色々な対策オプションが浮かんでくる。事態を想定するにも、各オプションのメリット・デメリットを検討する際にも想像力が重要である。また普通に想定されるオプション以外のものを工夫する力が創造力である。
アイデアと努力が大切
大きな組織の中で、「アイツはなかなかいいぞ」と思われるためには、どれだけ人と違うアイデアを出すか、また日頃どれだけ仕事に熱意と時間をかけられるかである。
いつでもとにかく何か言わなければと思う必要はない。しかしここぞという時は、自分の意見をきちんと述べるべきである。その時、選択肢の考え方が役に立つかもしれない。今議論されている以外にこういうことも考えられるのではないかというような示唆である。ほんのちょっとでも独自の視点を出せればそれなりに評価される。
発言するのは「他の人が言っていないこと」であるべきである。また短く言う必要がある。早く短く要点だけを話す意識が必要である。