徹学
①自分を知る
人と違うことをする。自分の山を見つける。AかBかではなく、Cを探す。そのおかげで、視野が広がった。ある時点から「人に認められなくてもいい」と思うことにした。自分らしいデザインを追求する。そうすれば、今までにいなかった人になれるのではないだろうか。そう考え、発想し、形にしていくにつれて、色んな人から声をかけてもらえるようになった。「おもしろい」と思ってもらえる立場になっていくことが、大事だと思い始めた。
②人気者でいこう
これから先は技術だけでは食べていくことができなくなるだろう。それはグラフィックデザインだけでなく、すべての仕事に言えること。デザインの技術の優劣よりも、「考え方をしっかりと持っている人」に仕事は集まる。
「人気者で行こう」というのは、トータル的な人間力。その人がどのようなキャラクターの持ち主で、どういうおもしろい話ができて、どういう知識や経験があって、人を惹きつける力があるのか。この先、大事になってくるのはそのような力だ。
③「感動させる」までやろう
「仕事」は、いつか完成する。内容の良し悪しに関係なく、締め切りが訪れるとクライアントはOKサインを出してくれる。「OK」と言われると「良かったんだ」と思ってしまいがちだが、それは時間的な折り合いをつけているだけのこと。
次に依頼が来た時にようやく、その仕事が本当の意味でうまくいったということがわかる。そのためには「完成した」ということで満足していてはダメで、「感動した」まで思ってもらわないと成功にはならない。
④個性
多くのクリエイターの悩みは、「自分の個性とは?」という問いに集約される。オリジナリティとは何なのか。
自分の個性とは、「その人が今日まで歩んできた日々」。子供の頃に読んだマンガ、親に連れて行ってもらった場所、一昨日観た映画、今朝見た景色、その時に印象に残っているモノ、人、感情。それら好きなものを並べると、その人の個性が見えてくる。
そして、デザイナーはアイデアを仕事にしているのだから、そのような瞬間がいつ訪れてもよいように、日々ストックしておく必要がある。知識にプライドを持ち、自分が「おもしろい」と思ったものを引き出す。
⑤「できない」を受け入れる
できないことを、しっかりと自分で理解する。「苦手なことを知ること」は大事だ。できないことを認めることは、できることを研ぎ澄ます作業につながる。選択肢が十あるとして、その中でできないものを捨てていけば、自分のできることが絞られてくる。「捨てる」には、覚悟が必要だ。
⑥新しい答えを作る
赤と青で、自分は青が好きだけれど、「赤の方が確実に売れる」とクライアントに言われた時、どちらを選択するのか。「僕は赤よりも青の方が好きなので、青にしたいです」と言うのも違う。アートディレクターとして探さなければいけないことは、赤でも青でもない、誰もが納得できる色。クライアントも、自分も納得できる色。
「こうしてください」と言われて「はい、わかりました」と反射的にやってしまったら、それは自分が作る意味があるのだろうか。だから「ちょっと1週間考えさせて下さい」と言って違う答えを出すことが、自分がやる意味だ。1週間考えて、赤でも青でもない、ベストな色は何か。それを相手が納得して、感動するものを考えなければいけない。
⑦お金のことは考えない
あらゆる思考の中で、お金は妨げになる。それよりも「人」で考える。予算のことを一度忘れてみると、おもしろいアイデアが生まれる。お金よりも、人の顔が浮かぶ。人から「タダでやって」と言われたら無料でやるし、「百万円でやって」と言われたら百万円でやる。
「まずはやってみる」という癖をつけておいた方がいい。失敗してもいいと思って、まずはやってみる。前に進めない人は、やめることもできないのだ。
⑧プレゼンテーションしよう
やりたいことで生きていくためには、「説得する」という作業をしていかなくてはならない。やりたいことで生きていくためには、ルールの中だけで生きてはいけないし、疑問を持って自分の個性を育み、それをプレゼンテーションする必要がある。それらが「やりたいこと」とつながっていく。
⑨疑問を持つ
自分が置かれているポジションすべてに、疑問を持つべきだ。新しいことをするなら、学校で教わることは、すべてやらない方がいい。学校で教わることは、すべてみんながやっていることだと思った方がいい。それ以外のことをやらないと、他の人と違うものを作ることはできない。
そのためには、まずルールを破るところから考えていく必要がある。与えられているすべてに疑問を持つことができなければ、新しいことや他の人と違う生き方はできない。