ミスを減らすだけでは問題解決にならない
私達は、パフォーマンスを向上させるためには2つの事をしなくてはならない。
①目に見えるミスを減らす
②目に見えない問題を見抜く(洞察力)
私達は、ミスを減らす方法を模索しがちである。しかし、ミスをなくすように務めるだけでは効果に乏しい。良い仕事をするには「目に見えない問題を見抜く」力を養わなければならない。
問題発見への3つのプロセス
見えない問題を見抜くための「発見へのプロセス」は次の3つである。
①「出来事の矛盾」から発見へのプロセス
引き金:出来事の矛盾
思 考:説得力のない「心のよりどころ」をもとに話を再構築
結 果:私達の理解の仕方が変わる
②「出来事のつながり」「偶然の一致」「好奇心」から発見へのプロセス
引き金:出来事のつながり・偶然の一致・好奇心
思 考:新しい「心のよりどころ」を追加する
結 果:私達の理解の仕方が変わる
③「やけっぱちな推測」から発見へのプロセス
引き金:「やけっぱちな推測」
思 考:説得力のない「心のよりどころ」を捨てる
結 果:私達の理解の仕方が変わる
私達は3つの発見プロセスの中で、可能性のある「考えの根拠」を構築する。つまり、私達の思考は、何か新しい「考えの根拠」に気が付いた時に刺激を受ける。
「見えない問題を見抜く力」を発揮できない4つの理由
「見えない問題を見抜く力」を発揮する機会を見逃してしまう事につながる理由は次の4つである。
①誤った考えに固執している
②経験不足
③消極的な姿勢
④具体的な考えにとらわれた推論
私達が「見えない問題を見抜く力」を発揮させるためには、その力に対して心を開く事である。次に人が「見えない問題を見抜く力」をどうやって獲得していくのかという事を理解する事である。
見えない問題を見抜く5つの方法
見えない問題を見抜く力には5つの方法がある。私達のアイデアのほとんどは、こうした方法の混合によって生じている。
①出来事のつながりから見抜く方法
大半の人々は「点と点を結び付ける」事で、そこからアイデアを見つけ出して問題を解決する。私達は新しい情報の数々を他の情報や、既に持っている情報と組み合わせる事で、新しい発見をする。私達は新しい事実のつながりをもたらすかもしれない、多くの異なるアイデアに触れる事で「見えない問題を見抜く力」を高める事ができる。
②出来事の偶然の一致から見抜く方法
出来事の偶然の一致とは、無視されるはずの出来事が同時に生じる事である。何か出来事の偶然の一致に気が付く時、私達はそれがなぜそういう結果になったのかわからないかもしれない。偶然の一致を観察するという事は、明らかな因果関係がないと思われる出来事にしても、それらを見極めるという事である。偶然の一致は、人々が証拠を探し出すための方法へと導く。私達の理解を変え、私達が気付くものも変え、私達が興奮するものも変え、私達を発見への道筋に乗せてくれる。
③好奇心から見抜く方法
人がいくつかのアイデアを頭に思い浮かべるのは、1つの出来事がきっかけとなり、また「今、何が起きているのだろう?」と反応したくなるような観察からである。こうした好奇心をそそるような調査によって、人は素晴らしい発見をする。好奇心は、偶然の一致と次の点で異なる。好奇心とは同じパターンが重複する事よりも、ある1つの出来事や観察によって引き起こされるという事である。
④出来事の矛盾から見抜く方法
私達の矛盾した出来事を見抜く力は「こんなものあり得ない」という感情的な反応を引き起こすものである。自分にとって無意味に感じられるようなアイデアが閃く時、私達には不信感という反応がほぼ無意識のうちに生じる。出来事の矛盾を見抜く力が働くおかげで、私達はより良い方向へ向かう事ができる。今、自分自身に語りかけているストーリー(物事の流れ)に何か深刻な誤りがあるという事を、出来事の矛盾を見抜く力が教えてくれる。
⑤絶望的な状況における、やけっぱちな推測による方法
心理学実験室の中で、ある目的を遂行させる途中で、何らかの障害を与えると、何人かは状況に行き詰まり、お手上げ状態になる。そして、他の何人かは悩み、戸惑いながらも、そこから解決のための思いがけないアイデアを閃く。この「やけっぱちな推測」には、逃げられない罠から抜け出すための方法を見つけ出す事が必要になる。