戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則

発刊
2021年8月20日
ページ数
294ページ
読了目安
317分
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世の中を動かすために必要な6つの法則
PRの究極の目的は「人の行動を変える」こと。情報が溢れ、消費が飽和している時代にあって、いかに人々の意識を変えて、市場を創り出せばいいのか。

日本を代表するPRの専門家が、最新の様々な事例を紹介しながら、効果的なPRの法則を解説しています。

戦略PRとは

情報洪水と消費飽和の時代には、「買う理由」そのものを世の中に創出する必要がある。商品のスペックよりも、「なぜそれを買う必要があるのか」という理由の方が消費者にとっては重要だからだ。

買う理由をつくるということは、いわば世の中の「いい××」を再定義すること。これが「属性順位転換」であり、新たな市場創造にも直結する。この下地をつくるのが戦略PRである。

 

戦略PRの目的は「ビヘイビアチェンジ(行動変容)」。なんらかの情報を世の中にばら撒くことではなく、人の行動を変えることが目的である。そして、人の行動を変えるための戦略を立てるために必要なのが「社会関心」である。商品そのものをPRするのではなく、社会関心(みんなの気になること)に目を付ける。世の中に新しい関心をつくりあげたり、潜在的な関心に目をつけたり、社会関心をいかに「料理」するかと言う発想が必要になる。

 

社会関心を「料理」する方法

①商品便益:商品やサービスが提供する機能、既存品や競合との差別化ポイント

②世の中の関心事:世間や第三者が気になっていること、世間の話題

③生活者の関心事とメリット:商品やサービスを使う人が抱えている問題、その解決

 

これらの3つの要素を結ぶ真ん中に「関心テーマ」がある。この三味が一体となる「テーマ」を見出す。ポイントは、3つの要素をつなげて「間を取る」ことにある。

 

ここで2つの軸がポイントになる。

・「顕在度」の軸:それが社会でまだ潜在的なのか、顕在化しているのかを示すモノサシ

・「関与度」の軸:その問題に対するターゲットの関与の度合い

 

PRする関心テーマが「顕在していてターゲットが高関与」な状態が理想だ。そこにどう持っていくか。

 

シナリオ①:顕在化している社会関心にのって関与度を高める

既存の関心から出発するので、メディアの興味は誘導しやすい反面、関与度を上げるにあたっては差別化された文脈や新たなデータなどが必要になる。

 

シナリオ②:関与が高い潜在的関心を顕在化する

ターゲットの関与が高い領域で、まだあまり知られていないことを話題化する。「登場感」が重要になるので、関心テーマのネーミング開発が行われる場合が多い。いかに斬新なネーミングやテーマ設定ができるかが重要となる。

 

シナリオ③:潜在的な関心を、関与度を高めつつ、一気に顕在化する

広告やプロモーションが包括的に連動することが必須で、ムーブメントづくりがこれに近い。大規模な投資も必要であり、あまりケースとしては多くない。

 

戦略PRを成功させるための6つの要素

①「おおやけ」の要素:「社会性」の担保

戦略PRにまずもって重要なのは「社会性」である。重要なポイントは大きく2つ。「社会インサイトの見極め」と「ソリューションの有言実行」だ。社会を深く洞察し、多層な社会課題をとらえることができるか。それに対するソリューションが明確に提示され、かつ有効性を持ったものか。

ここでは「自身(企業・商品・ブランド)」と「おおやけ」との距離感が大事になる。あまりに大きすぎるイシュー(社会問題)は危険だ。身の丈に合っているかどうかは、PR戦略を立てる上で重要なポイントとなる。それには自分たちのフィールドを起点にしていった方が良い。

 

②「ばったり」の要素:「偶発性」の演出

人はセレンディピティの結果だと信じた対象には、価値を見出す。自然な形で出会った(と思える)コンテンツに価値を見出す。プッシュ的な広告キャンペーンではなく、もっと自然な形で生活者や社会に寄り添っていく。このばったりコンテンツの主戦場はソーシャルメディア上になる。偶発性を演出する第一歩は、とにかくコンテンツ企画にある。

 

③「おすみつき」の要素:「信頼性」の確保

おすみつきとは、第三者「支持」や「推薦」をもらうことだ。おすみつきを与えるのが「インフルエンサー」だ。その役割を分解すると「事実のおすみつき」と「共感のおすみつき」の2つの領域に分かれ、それぞれインフルエンサーの役割が異なる。

 

④「そもそも」の要素:「普遍性」の視座

戦略PRの大きな特徴の1つは社会性にあるが、何でも話を大きくすればいいというものではない。世の中には、みんなが忘れている原点や普遍的な何かが潜んでいるかもしれない。本当に大切なことがおざなりにされて、表面的なトレンドや議論が横行しているかもしれない。それをPRチャンスに変える。

 

⑤「しみじみ」の要素:「当事者性」の醸成

「感情に訴え、当事者意識を持たせる」ことがビヘイビアチェンジには欠かせない。このしみじみ感を作るのが、「ストーリーテリング」「受け手の自己投影」「インサイト(生活者の本音)」だ。

 

⑥「かけてとく」の要素:「機知性」の発揮

「あ、やられた!」と思わせた瞬間こそが、施策のキモであ李、PRを最大化させる効果の起点となる。そのアイデアが、今まで見たことのないクリエイティブなもの(創造性やオリジナリティ)かどうかだ。

参考文献・紹介書籍