勝者の先読み思考

発刊
2021年8月6日
ページ数
415ページ
読了目安
603分
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ビジネスを成功させるための実践的思考
米国でYouTube登録者数300万人を持つ起業家が、過去の経験をもとに、ビジネスで成功するための教訓と実践方法をまとめた一冊。
自分を知るところから始まり、優れたチームを結成し、事業規模を拡大するために知っておくべきことなど、豊富な知識と経験がまとまっています。

5手先を見通せ

戦略的なCEOになる道のりを振り返ると、少なくとも5手先まで見通す考え方の習得が、成功の秘訣であった。5手先までの先読みで良い理由は2つ。

  • 考え抜いた戦略と迅速な行動が最も効果を上げるスイート・スポットが5手先である。
  • 広くマクロ・レベルで見て、ビジネスの成功のためにマスターすべき5つの指手がある。

 

どんなに熱意があっても、5手先を見通した計画が伴わないと効果は上がらない。そして、差し手は順番に則って計画的に打つべきである。広く先の手を見通した計画性のある思考法にシフトすれば、今よりも上のレベルに進める。

 

ビジネスを成功させる5つの手

①自分を知ること

何が自分を動意づけるのか、自分が何者になりたいのかを理解することは、何よりも大切だ。なりたい自分を早速体現し、既に望みを実現したかのように振る舞おう。先見性のあるビジョナリーは、今この場所で現在という時間を生きているわけではなく、少なくとも5手先の未来を既に見通して、そこにある現実を生きている。「未来という現実」を原動力にしている人には、みんながついていきたくなる。

 

だが、現実には、自分が何者になりたいかを知る道のりは努力を要する。自分を探究するには、内面を深く掘り下げる必要がある。原動力について考えるには、「なぜ、何のためにやっているのか?」と問うことだ。

 

②論理的な思考力

成功の鍵は「問題への対応力の習得」である。人生では様々なことが起こる。それに対してどう行動するかは、問題との向き合い方で決まる。事を進めてうまくいかないことがあれば、何でも100%責任を引き受けること。その問題を生んだのは自分で、解決するのも自分であると、自分の役割を認識すべきだ。

決断時には、まず事前にインベストメント・タイム・リターン(ITR)の基本原則を適用すると、より良い決断ができ、資源を有効に活用できる。

I:インベストメント(コストはどれだけかかるか? 節約はできるか?)

T:タイム(時間はどれだけかかるか? 節約はできるか?)

R:リターン(決定したことを実行した場合、費用と時間に対して得られる利益の算出)

 

③優れたチームの結成

どんな分野の仕事でも、成功を長続きさせるには、良い人間関係が欠かせない。5手先読みの思考においては、自分1人でできるというエゴを抑えること。事業規模拡大を可能にするには、それに相応しいチームが必要だ。人材の確保と定着のために認識すべきことは次の通り。

  • 社員は、努力に対して適切な報いを求めている。
  • 際立った業績を上げる者は、会社の成功に貢献したいと考えている。
  • 影響力を持つ組織の一員であることを、社員は望んでいる。
  • 自分の行っている仕事を、仲間の前で評価されたいと思っている。
  • 社内で成長できる機会があるか、社員は知りたい。
  • 昇進や業績評価について、会社が社員に求める水準を明確に示して欲しいと思っている。

 

優れたアイデアがあり、才能豊かな人材がいれば十分という訳ではない。共通の理念と価値観のないチームは、潜在的能力を最大限に発揮できない。理念に基づいた原則を書き出して、繰り返し確認し、それを尊重し実践する姿を具体的に示さなければならない。

 

④事業規模の拡大戦略

成長戦略には、重視すべき4領域がある。それを理解すると、ビジネスを飛躍的に成長させる方法が、はっきりとイメージできるだろう。

  1. オペレーティング・システムの構築
  2. 事業開発/セールス
  3. イノベイティブな新戦略
  4. リーダーシップの育成

この4領域において、どのあたりでバランスを取るとうまくいって、どこに偏るとうまくいかないのか、検討する必要がある。

適切でイノベイティブな戦略とリーダーの育成に取り組めば、モメンタム(推進力)が生まれる。それを維持できるかが課題となる。

 

⑤求めるものを得るパワープレイ

ビジネスに、巨人ゴリアテはつきものだ。会社が今追うべきゴリアテを特定しよう。ゴリアテを倒せれば、その勝利の意義は大きい。ゴリアテ打倒の方法は次の通り。

  1. 自分の弱点を知る。
  2. ゴリアテの弱点を知る。
  3. 得意技を3つマスターする。
  4. ゴリアテになろうとしない。
  5. 領域を絞り込む。
  6. 小さい自分を大きく見せる。
  7. 最初は低姿勢を保つ。
  8. 迅速に動く。
  9. 他社と連携して、共通の敵と闘う。
  10. 歴史に学ぶ。
  11. 他社に闘ってもらい、ゴリアテを疲弊させる。
  12. 自分の手の内を全て明かさない。

 

ソーシャルメディアの活用は、劣勢を巻き返す切り札になる。自分が何に取り組んでいるかという発信と、ナラティブ(物語、言説)のコントロールをすること。