ワーク・ルールズ! 君の生き方とリーダーシップを変える

発刊
2015年7月31日
ページ数
560ページ
読了目安
723分
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Googleの人事のしくみ
Googleの人事部門のトップが、採用、育成、評価の仕組みまで、Googleの組織作りの方法について紹介している一冊。いかに優秀な人材を集め、パフォーマンスを引き出すかについて書かれています。

社員をオーナーのように扱う

地上で最も有能な人々は、物理的にますます自由に動き回り、テクノロジーを通じて結びつき、また何よりも、雇用主の目につきやすくなっている。こうしたグローバルな幹部要員は自由度の高い企業で働きたがるから、有能な人材はその手の企業に流れ込む。適切な環境を構築できるリーダーは、地上で最も有能な人材を引きつける磁石となる。

だが、そうした職場をつくるのは難しい。経営の中枢における権力の力学が自由とは逆方向に働くからだ。グーグルのアプローチはこの難局を打開する。グーグルは、権力と権威をマネジャーから社員へと譲り渡すよう意識している。マネジャーはチームに奉仕する。グーグルのリーダーシップの原則的なスタイルは、賞罰を与える事ではなく、障害を取り除いてチームを鼓舞する事にマネジャーが集中するというものだ。

必要なのは、社員は基本的に善良なものだという信念、そして、社員を機械ではなくオーナーのように扱う勇気だけだ。機械は与えられた仕事をこなすが、オーナーは会社やチームの成功に必要な事なら何でもやる。

 

社員に自由を与える

偉大な企業をつくりあげるには多くの方法があり、自由度の低いモデルでも高いモデルでも企業は成功してきた。グーグルは後者である。社員に自由を与えれば、私達を驚かせ、喜ばせ、仰天させるような事をしてくれるものだ。

そのためには、人の心をつかむミッションを見つけること、透明性を保つこと、社員に発言権を与えること、この3つの要素を文化にすることが大切である。

①ミッション
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というのがグーグルのミッションだ。この種のミッションが個人の仕事に意味を与えるのは、それが事業目標ではなく道徳だからだ。歴史上極めて大きな力を振るった運動は、道徳的な動機を持っていた。このミッションへの信頼が基本的に共有されているため、ほとんどのグーグラーは結束している。自分が世界に変化を起こしていると知る事ほど、モチベーションを高めるものはない。

重要なのは、このミッションを決して達成できない事だ。整理すべき情報もそれを使えるようにする方法も尽きる事がない。これが、絶えずイノベーションを起こし、新たな分野に進出するモチベーションとなる。

②透明性
グーグルの場合、新規採用されたソフトウェアエンジニアは、初めて出社したその日にほぼすべてのコードベースにアクセスできる。イントラでは、製品ロードマップ、新規事業計画、社員スニペット(週1回の状況報告)、社員とチームの四半期目標を見る事ができる。週に1度の金曜夜の全社員ミーティングでは、ラリーとセルゲイが会社全体のホスト役を務める。前週の情報の更新、製品のデモ、新入社員の歓迎等が行われるが、最も重要なのは、会社の誰からの、どんなテーマについての質問にも30分をかけて回答する事だ。

高い透明性の利点は、何が起きているかを全社員が知っている事だ。情報を共有していれば、社内の対立が避けられる。さらにオープンを原則とすれば、社員は自分達は信頼に値するし、優れた判断力を持っていると信じてもらっていると実感できる。

③発言権
発言権とは、会社の経営方針について、社員に対して実際に発言の機会を与える事を意味している。社員にアイデアを表明する権利を与える事は、質の高い意思決定を促し、組織効率を高める重要な要因である。

毎年恒例のプログラム「官僚バスターズ」では、グーグラーは最大のフラストレーション源を特定し、解決へ向けて努力する。第1段階で、彼らは570のアイデアを出し、55000回を超える投票をした。グーグラーの求める改革を実行すると、彼らは満足し、仕事はやりやすくなった。

 

ワーク・ルールズ

自由主導型の組織は、すべての社員の中から最高の洞察と情熱を活用できるため、弾力性に富み、成功を持続できる。そのための環境を手に入れるために、チームや職場を変える10のステップは次の通りである。

①仕事に意味をもたせる
自分の仕事から恩恵を受ける人と少しつながるだけで、生産性が向上し、人々をより幸せにできる。誰もが自分の仕事に目的を求めている。グーグルのミッションは人々を会社に引き寄せ、働き続けたいと思わせ、リスクを取って最大限のパフォーマンスをしようと駆り立てる。

②人を信用する
人間は基本的に善だと信じるなら、信念に従って行動する。組織やチームの人々と正直に向き合い、情報を開示して、仕事の進め方について発言権を与える。自分が経営する会社だと思って行動してもらう事を可能にする唯一の方法は、自分の権限の一部を手放して、社員がその権限を担えるように成長する余裕を与える事だ。

③自分より優秀な人だけを採用する
採用の質で妥協する事は間違いに他ならない。間違った採用は有毒だ。本人のパフォーマンスが損なわれるだけでなく、周囲のパフォーマンスとモラルと活力を堕落させる。採用はチームで担当し、客観的な採用基準を前もって決めて、決して妥協しない。

④発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない
批判と結果を結び付け、失敗に個人的にも経済的にも傷つけられたと感じる時、人は学習と成長を受け入れる事なく反論する。常に発展的な対話を心がけ、安心と生産性につなげていくこと。

⑤「2本のテール」に注目する
会社やチームで最も優秀な人を、じっくり観察する。環境とスキルと根気の組み合わせに注目して、彼らが秀でている理由を探す。最も優秀なプレイヤーを手本にチェックリストをつくって真似するだけでなく、彼らの社内の教師もやらせる。一方で、最も業績が低い人にも思いやりを忘れてはならない。

⑥カネを使うべき時は惜しみなく使う
社員が最も困っている時こそ、人生最大の悲劇や喜びに遭遇した時こそ、会社はカネを惜しんではいけない。最も人間的な瞬間に手を差し伸べる事は、会社が社員1人1人を気にかけている事を強調する。

⑦報酬は不公平に払う
ほとんどの仕事のパフォーマンスはべき分布に従う。チームが創出する価値の90%以上は最も優秀な10%の才能がもたらす。優秀なメンバーの価値は、平均的なメンバーをはるかに上回る。その差を本人が感じられるようにする。

⑧ナッジ(きっかけづくり)
私達は常に周囲の環境からナッジを受け、周囲の人にナッジを伝えている。これを利用して、チームをより幸せに生産的にする。

⑨高まる期待をマネジメントする

⑩楽しむ