修羅場のケーススタディ

発刊
2021年6月18日
ページ数
240ページ
読了目安
215分
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中間管理職が組織の中で生き抜くための裏技
非現実的な計画を押し付けられる、上司からハシゴを外される、部下からの反発でチームが崩壊するなど、中間管理職が直面する様々な修羅場をどのように乗り切れば良いのか。
30のケーススタディをもとに、中間管理職が組織の中で生き残るための方法が紹介されています。

意思決定できない日本企業

典型的な日本型企業のダメになるパターンは、ほぼ例外なく「意思決定負け」と言っていい。

「そんなことやって、もし〇〇が起こったらどう責任取るんだ」「過去前例がないのに、そこまでやる必要はあるのか」「もう少し情報が揃わないと判断がつかないよ」

決められない状態が続くうちに事態はさらに悪化し、いざ決めようと思った段階では時すでに遅し、というのがよくある風景である。こうした意思決定負けの背景には、長らく日本企業が右肩上がりの市場成長の恩恵を受け、ドラスティックな経営判断をせずとも、事業成長できてきたという点が挙げられる。そのため、経営トップだけでなく現場レベルにおいても、何かを決める・決め切るという力が圧倒的に不足している。

 

さらにリアルビジネスにおいては、決め切ったことを実行に移す、つまり周りの人に納得してもらい、動いてもらう必要がある。いくら正論を述べようと、あるいは泣き言を並べようと、問題は決して解決することはない。時には禁じ手と呼ばれるような方法を使ってでも人を動かし、その状況を切り抜ける必要がある。

 

修羅場を乗り切るにはどうしたらいいのか。結局は「リーダーがいかにリーダーシップを発揮するか」にかかっている。経営トップはもちろんのこと、各部門やチームを率いる管理職を含めたあらゆる層のリーダーたちが、危機や問題に直面した時にどのように考え、行動するか。それが会社の未来を決定づける。しかし、従来の日本企業では、表向きはリーダーの肩書きがついていても、実際はリーダーシップを発揮している人はごくわずかというのが現実だった。

 

ポジションを取れ

リーダーに突きつけられるのは「何を変えるべきか」「何を生み出せばいいか」といった「What」の問いである。さらには「そもそも、なぜそれをやらなければいけないのか?」と「Why」から始まる本質的な問いについて考えることも求められるようになった。「What」や「Why」の問いには正解がない。非連続な環境変化の中では、過去の成功体験や従来の常識は役に立たない。正解がわからなくても、選択という意思決定をしなければいけない。

 

ここでまず必要となるのが、「ポジションを取る」ということ。何事においても「自分はこう思う/こう判断する」という意思表示を明確に行うことである。「AとBという選択肢がありますが、私はAだと思うので、それでいかせて欲しい」と言えるかが問われる。

さらに、意思決定したとしても、その先には「決めたことをやり切る」というハードルがある。何かを変えたり、新しい取り組みにチャレンジしようとすれば、必ず反対する人や抵抗する人が現れる。こうした修羅場において真正面から突撃すると、多くの場合、痛い目を見る。

組織人には組織人の戦い方がある。上の人間をうまく操ったり、社内で使える人間を見極めて自分の手足となって動いてもらったりと、ある種の裏技を駆使しながら物事を進めていくしたたかさも必要である。

 

修羅場のケーススタディ

Q:前任者の「負の遺産」で現場が疲弊しきっている。新人の営業部長ならどうするか?

A:絶対に避けるべきなのは「一人で真正面から戦いを挑む」こと。自分より立場の強い人に勝てるわけがない。
表面上は平成を保ちながら、水面下で部下を巻き込み実績を作る。場合によっては顧客を巻き込み援護を取り付ける。

 

Q:どう考えても達成不可能な目標が押し付けられた

A:無理なものは無理と言う。一方で、会社の枠を外した対案を提示する。外部と組んだり、スポンサーを見つける。

 

Q:上司が失敗の責任を自分のせいだと言いふらしている

A:自分が仕事で成果を出していれば、その足跡は必ずどこかに残るし、実績を評価してくれる人もいる。
自分を理解してくれる人や味方になってくれる人から、証拠となる実績を会社側に示してもらう。
それでもダメなら転職する。会社に従属せず、どこでも生きていけるだけの実力を備えることが自分を守る武器になる。

 

Q:精神論だけの役員から、現実的ではない計画を立てろと指示がきた

A:ロジカルに正論で戦うことが第一歩。役員が納得しない場合は、現実的ではない計画にこだわる理由を探る。
その上で、役員を刺す。ダメならさらに上の役員、社長にまで問いを突きつけ、戦い抜く。