コピーライティングとは
広告のライターは美的センスに訴えかける広告を好む。しかし、そのような広告に人々にものを買わせる力があるとは限らない。お金のかかっていない、シンプルでストレートな広告が「買わせる」ことにおいて最大の効果を発揮することもある。
美的センスに訴えかける文章を書くのではなく、商品を調べ尽くして他でもなくその商品が欲しいと消費者に思わせる理由を見つけ出し、これは「買い」だと思わせるロジックを提示しないといけないのだ。
大量の情報の中で、印刷物でもネット上でも商品を目立たせ、潜在顧客の目を奪うためには、今まで以上に、読者の心に訴えかける強力なコピーが必要だ。消費者に製品を買う気にさせるためには、次の4つが必要である。
- 注目させる
- 伝える
- その気にさせる
- 反応を引き出す
ヘッドラインで注意を引く
あらゆる種類の広告で「第一印象」が広告の成否を決める。つまらない、自分には関係ないと第一印象で思われてしまったら、関心は持ってもらえない。
人は買い物をする時、ニーズを満たす予算内の製品を求める。腕利きのコピーライターはこのことをわかっているので、うまい言い回しや仕掛けなどではなく、製品のベネフィットをヘッドラインに盛り込む。広告を眺める読者が知りたいのは「この製品を買ったら私に何の得がある?」ということだ。ヘッドラインには以下の4種類の役割がある。
①注意を引く
ヘッドラインを書く時は、重要なベネフィットや消費者の関心事を1つ選んで、はっきりと、ドラマチックに提示する。好奇心を刺激しても製品に関係がない言い回しは避けること。
②特定の読者層に働きかける
ヘッドラインによって、広告の正しい読者層を選び、製品を購入しそうもない人々をはじくことができる。
③完全なメッセージを伝える
読者の5名に4名がヘッドラインだけを読んで本文は読まないという。これが本当なら、言うべきことはヘッドラインですべて言った方がいい。ヘッドラインには決め手となる売り文句とブランド名を入れるべきだ。
④読者を本文に引き込む
本文を読ませるためには好奇心を刺激すること。それには、ニュースや興味をそそるもの、謎めいたことが効果的だ。問いかけたり、大胆な発言をしたりするのもいい。本文を読めば何らかの見返りや知らせ、役に立つ情報が手に入ると思わせる、という手もある。
効果的なヘッドラインを作るための4つのポイント
①緊急性:緊急性を醸し出すためには時間の要素を取り入れること。
②独自性:何か新しい情報を出すか、読者が知っていることでも新鮮な言い方で表現する。
③具体性:具体性の高い箇条書きで興味を持たせる。
④有用性:ベネフィットを提供することで読者の欲をかき立てる。
少なくとも3つの項目に当てはまらないようなら、書き直した方がいい。
ヘッドラインを生み出すテクニック
次の4つの質問を自分に問いかける。
- 顧客は誰か?
- 製品の要となる特長は?
- その中で競合製品にはないものは?
- 顧客はなぜこの製品を買うのか?
3番の質問に答えが出たら、ヘッドラインで使える最大の売りがわかる。後は読者の注意を引いて、もっと詳しく知りたいと思わせるように、読ませる文章で読者を引き込んでこのベネフィットをはっきりと提示するだけだ。
明確なコピーを書くための11のヒント
①読者のことを第一に考える
②訴求ポイントを論理的でわかりやすく、すっきりとした形になるように順番を決める
③短いセクションごとに書く
④文は短く
⑤簡単でシンプルな言葉を使う
⑥専門用語は避ける
⑦簡潔に
⑧具体的に
⑨本題にすぐ入る
⑩話しかけるように書く
⑪性差別的な表現がないかどうか推敲でチェック
特長とベネフィット
売れるコピーを書くための第1ステップは、特長ではなくベネフィットを書くことだ。特長は製品やサービスを説明したもので、「こういう製品である」という情報を指す。ベネフィットは製品が何をしてくれるか、その特長のおかげでユーザーは何を得られるか、ということだ。
新人は事実や数字、使える統計など、特長を取り上げがちだ。ベテランはそういう特長を顧客にとってのベネフィットに言い換える。つまり、読者がその製品を買うべき理由である。
製品のベネフィットを見つけ出す簡単な方法がある。まず、1枚の紙を2つに分ける。左側には「特長」とタイトルをつけ、右側には「ベネフィット」をタイトルをつける。左側には製品の特長すべて書き出す。製品を調べたり使ってみたり、顧客や営業、販売店、エンジニアなど、製品とかかわる人々から聞き出したりすればいい。
次に特長のリストを見ながら、「この特長は顧客にどういうベネフィットを与えるだろう? この特長のおかげで製品はより魅力的に、より便利に、より面白く、よりお得になるだろうか?」と自問する。リストが完成したら、右側には製品から得られるベネフィットをすべて書き出す。これがコピーに盛り込むべきセールスポイントになる。