HOLACRACY 役職をなくし生産性を上げるまったく新しい組織マネジメント

発刊
2016年1月23日
ページ数
332ページ
読了目安
435分
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個人に権限を与え、進化する組織を作り上げる方法
ザッポスも導入する、新しい組織マネジメントシステムを紹介する一冊。従来の階層型組織でなく、役割と権限を憲法として規定し、個々人の能力を自由に発揮するための組織マネジメントの手法が解説されています。

ホラクラシーとは

ホラクラシーとは、組織を管理運営するための新しいソーシャルテクノロジーであり、従来型の組織のルールとは異なる、一連の中核的なルールに則っている。ホラクラシーには次のような要素がある。

①「ゲームのルール」を明示し、権限を再分配する憲法
②組織を構築し、人々の役割と権限の及ぶ範囲を規定する新しい方法
③それらの役割と権限をアップデートするあためのユニークな意思決定プロセス
④チームを常に最新の情報に同期化し、一緒に仕事をやり遂げるためのミーティング・プロセス

ダイナミックで打てば響くような組織になりたいと望むなら、独裁的な権力を完全に放棄するだけではうまくいかない。それだけではなく、個人個人が自分の領域や仕事の範囲内で、問題に「局所的に」対処する権力を与えられる必要がある。その際、他のみんなにお伺いを立てたり、権限を授けてくれるようなリーダーに許可をとったりしなくても良い事が大切だ。権限委譲の限界とコンセンサスの横暴を乗り越えるためには、皆に権限を与えるシステムが必要である。

 

権力を分配する

リーダーでさえも、他人の権力を横取りできないという権力構造とプロセスを中核にする組織なら、権限を与えてくれるリーダーに頼る必要はもはやない。そこに気づく事が、ホラクラシーへの第一歩だ。これは全員に与えられる自分の権限を行使できる空間とポジションに関わらず、どんな個人が行う活動でも、その空間が保護されるシステムである。

ホラクラシーにおける権限の分配とは、リーダーの手から権限を取り上げて、ただ他の誰かに譲り渡す事ではない。権力の座はトップの人物から「プロセス」へと委譲される。このプロセスは成分憲法で詳しく規定される。そのルールとプロセスが最高の拠り所となり、それを採択した人物にさえ勝る。

ホラクラシーの導入を決めた組織が実行する最初のステップは、CEOが正式にホラクラシー憲法を採択し、自分の権力をホラクラシーのルールシステムに委譲する事である。ホラクラシーは、権力を分配する事によって組織内の人々を解放し、自律性と協調性を同時に高める。

ホラクラシーでは、組織内で権限を割当てるプロセスに「ガバナンス」という用語を用いる。ガバナンスは意識して定期的に行われ、組織の隅々まで分配されている。ガバナンスは、もはやただ1人のリーダーの機能ではなく、ガバナンス専門のミーティングにおいて、チームごとのレベルで常時行われるプロセスである。ホラクラシーは、従来CEOや経営陣のものとされていた組織を設計する機能の一部を、全員が参加できるプロセスとして配置し、組織の隅々にまで行き渡らせる。このガバナンス・プロセスによって、組織全体に権限が分配されるだけでなく、期待されるものも明確になる。

 

ホラクラシーを導入するための5つのステップ

①ホラクラシー憲法を採択する
現在の権力保持者がその権力を「ゲームのルール」に明確に委譲する。

②ガバナンスの記録を共有化するシステムを立ち上げる
ガバナンス(サークル、役割、責務など)とオペレーション上の重要情報(評価基準、チェックリスト、プロジェクトなど)の記録を保管し、共有する。

③初期構造を決定する
役割と機能によって組織を構築する。一連の役割と目的、責務、領域をグループ化する。よく使われる方法は、既に活動している部門やチームを単純にサークルに置き換える事である。さらに既に明確に発生している仕事を捉えて、各サークル内で単純な役割を設定する。

④第1回ガバナンス・ミーティングを開催し、選挙を実施する
それぞれの役割に最適な人を割り当てる。

⑤定期的な戦術的ミーティングとガバナンス・ミーティングの予定を組む
サークル内の役割を設けたり、修正したり、取り除いたりしていく。