モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

発刊
2010年7月7日
ページ数
306ページ
読了目安
402分
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やる気を引き出すための方法論
全米大ベストセラーの著者が、モチベーションについて分析する。21世紀はアメとムチによる成果報酬型の管理方法ではうまくいかないことを説明。自らがやる気を起こす「モチベーション3.0」の必要性を説く。

モチベーション3.0とは何か

コンピューター同様、社会にも人を動かすための基本ソフト(OS)がある。

モチベーション1.0:生存を目的とする人類最初のOS
モチベーション2.0:アメとムチ=信賞必罰に基づく、与えられた動機づけによるOS
モチベーション3.0:自分の内面から湧き出る「やる気」に基づくOS

生き残るという生理的動因によるOSをモチベーション1.0と呼ぶ。人は複雑な社会を築くに至って、単なる生理的動因だけでは対処できなくなった。
そこで人を動機付ける二番目のもの、報酬を求める一方、罰を避けたいという動機付けモチベーション2.0が生まれた。

モチベーション2.0を基盤とした管理手法は、労働者を機械部品のように扱い、優秀な者には見返りを与え、成績の良くない者には罰を与えたが、産業革命以後、役に立ってきた。単純労働に対しては、モチベーション2.0は有効であった。

しかし、アウトソーシングが進み、コンピューターが人間の変わりにルーチンワークをこなす時代になり、仕事には芸術的で、感情移入が必要な非ルーチンワークが増えた。そこでモチベーションは極めて重要な問題となった。自分の内面から湧き出る「やる気」、モチベーション3.0が必要な時代が来ている。

アメとムチの致命的な欠陥

①内発的動機づけを失わせる。
②かえって成果が上がらなくなる。
③創造性を蝕む。
④好ましい行動への意欲を失わせる。
⑤ごまかしや近道、倫理に反する行動を助長する。
⑥依存性がある。
⑦短絡的思考を助長する。

モチベーション3.0の要素

①自律性
人間の性質は根本的に自律的(自己決定)であるため、これを呼び起こす必要がある。自律性は、個人のパフォーマンスや姿勢に強い影響を与える。課題や時間、方法、チームを確実に任せることが目的に至る早道である。

②マスタリー(熟達)
マスタリーとは、何か価値あることを上達させたいという欲求である。モチベーション3.0では「積極的な関与」を求める。それだけが物事に熟達することを可能にする。
マスタリーは心の持ち方次第である。能力は固定的ではなく、無限に向上が可能だと理解し、意図的な訓練と努力によって身につけるものである。

③目的
人間は本質的に人生の意義や目的を探すものである。自分以外の人、もの、社会などの利益に貢献する永続的な目的を求める。

高い成果を上げる秘訣は、人の生理的欲求や、信賞必罰による動機づけではなく、第三の動機づけ、「自らの人生を管理したい」「自分の能力を広げて伸ばしたい」「目的を持って人生を送りたい」という人間の根源的欲求にある、と科学で証明されている。