女性活躍の推進-資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革

発刊
2016年6月23日
ページ数
208ページ
読了目安
288分
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推薦者

資生堂に学ぶ、女性が活躍する企業のつくり方
女性が活躍する会社として挙げられる資生堂で、女性管理職登用の推進にあたってきた著者が、その経営改革の手法を紹介している一冊。男性中心型の企業が、どのように女性が活躍できる会社にすれば良いのかという具体的な施策が書かれています。

日本では女性の活躍が遅れている

日本の経済社会では、男性は生産活動としての企業内分業を担い、女性は最終的な個人消費の主役として、家事労働や育児・介護などの家庭生活活動に従事するという、男女の固定的性別役割分担が根強く残っている。わが国の管理的職業従事者の女性比率は11.3%であり、アメリカ43.7%、ドイツ28.6%、イギリス34.2%などの欧米諸国と比較して、圧倒的に低い。

女性の活躍、ひいては管理職登用を妨げている主たる要因は、高度経済成長期に定着した日本的雇用慣行によるところが大きい。「日本的雇用慣行」とは、企業が新卒者を一括採用し、生涯にわたる長期雇用を前提として、従業員が若年の時は賃金を上回る仕事をさせながら、企業内人材育成研修や配置、異動等によりキャリア形成を図り、中高年期になって蓄積された人的資本への対価として仕事を上回る賃金を支払うことにより、その会社固有の技術や文化を有する熟練従業員を長期に確保する仕組みである。

 

女性管理職登用の阻害要因は「日本的雇用慣行」

日本的雇用慣行の対象は、家庭責任を背負わず仕事に専念できる長期雇用の男性従業員に限られ、女性従業員は、結婚・出産などのライフイベントによる退職が当たり前の短期の補助的な働き手問いう位置付けであった。これは自ずと男性中心の社会的価値観や企業風土を形成することになる。

この日本的雇用慣行がもたらす長時間労働と固定的性別役割分担との対構造の常態化・常識化により、女性だけが仕事と家事・育児の二重負担や時間制約を抱えることになる。

 

女性管理職の登用を推進するためにはどうすればいいのか

女性管理職の登用を妨げてきた日本的雇用慣行を変える新しい経営は「ジェンダー・ダイバーシティ・マネジメント」である。ジェンダー・ダイバーシティ・マネジメントとは、従業員の多様性、中でも女性人材を登用して意思決定のパワーバランスを変え、組織を変革し、生産性を向上させ、価値創造性を高めていこうとする経営手法である。

女性管理職登用を推進するためには、ジェンダー平等、ダイバーシティ、ワークライフバランス(WLB)が重要な概念となる。ダイバーシティ平等が定着すれば、企業は女性を始めとする多様な人材が参画する組織構成となり、それだけ多種多様な市場ニーズへの対応が可能となる。但し、ダイバーシティ施策だけを講じても、恒常的な長時間労働は削減できない。長時間労働の職場では子育て女性の就業継続は難しく、出産後の育児を前に退職する可能性が高くなってしまう。また、WLB施策のみを充実させた場合、女性は仕事と育児との両立は果たせても、キャリア形成ができず、女性管理職の登用は進まない。ダイバーシティとWLBを組み合わせたデュアル・アプローチによる取り組みが欠かせない。

 

資生堂が行ったジェンダーフリー施策

①ジェンダーフリーの考え方の定着
管理職と社員を対象とした意識改革や人事制度を改訂し、女性管理職の積極的登用に向けた取り組みが展開された。

②女性管理職登用に影響する男性管理職の意識と行動の改革
人事部が主導して部下を持つ男性管理職を対象にした集合研修を実施した。固定的性別役割分担意識を払拭した。

③中堅女性社員の意識改革と管理職育成
中堅女性を対象として、管理職研修を行い、マネジメントスキルの開発・向上を行った。

④日本的雇用慣行改革につながる人事制度の改訂
「総合職」「一般職」というコース区分を見直した。「処遇と評価」を見直し、年功序列の賃金要素を廃止。成果・能力主義に基づく制度へと改訂した。

⑤女性管理職の育成・登用への取り組み
管理職に占める女性比率の数値目標を設定した。