しょぼい起業で生きていく 持続発展編

発刊
2020年12月17日
ページ数
232ページ
読了目安
185分
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推薦者

スモールビジネスのケーススタディ
借金をせずに少額の資金ではじめる「スモールビジネス=しょぼい起業」の基本とケーススタディを紹介する一冊。とにかく低コストにこだわり、失敗しても再チャレンジできる形でできるコンセプトを説いています。

誰でも始められる「しょぼい起業」

しょぼい起業で成功するには、ハイリスクな借金はもちろん、何か特別な才能や、並外れた努力は必要ない。「起業とはこういうもの」という思い込みから自由になって、自分で事業を興して暮らしていくのは難しいことではない。そして、「しょぼい起業」という、自分で事業を創り出して経済を発生させるスキルは元本割れすることがなく、一度身につければ減ることがない一生ものである。

 

人によって得手不得手があり、経営そのものへの向き・不向きもあるので、誰でも百発百中でしょぼい起業を成功させられるメソッドなど、存在しない。しかし、自分で経営して失敗したことは、次のチャレンジの成功確率を飛躍的に高める。

借金をしないで、毎月かかる賃料などの費用も「いざとなればアルバイトで穴埋めできる範囲」に収めるのが、しょぼい起業のポイントである。これには、すぐに始められるだけでなく、失敗した時のダメージが最小限で済むというメリットがある。貯金ゼロになれば撤退するだけ。そしてまたアルバイトで資金を貯め、失敗経験を活かした次のしょぼい起業を始める。最初から元手をかけていなければ、どうしても伸びない商売に見切りをつけて、同じ店で別のことを始めてしまってもよい。つまり、いつでも起業から撤退できるだけでなく、成功するまでしぶとく続けやすい。

 

しょぼい起業の基本

①借金をせずに少額ではじめる

しょぼい起業において借金は悪である。基本は「50万円でいいから、きちんと貯めて起業しよう」「資金が底をつくまでやって芽が出なければ一旦撤退し、また貯めて再チャレンジしよう」というもの。しょぼい起業は融資を受けなくてもできるので、とりあえず金融機関とは付き合わずに進めるのが原理原則である。なぜなら、しょぼい起業では「事業について自分自身で決められること」を大切にすべきだからである。誰かにお金を借りることは、それを返す将来の自分自身から借りるようなもので、自分の未来の自由を縛る行為となる。

 

②街中でリアルな店舗を開く

しょぼい起業が実店舗にこだわるのは「どうせどこかに住むのだから、そこで商売もすれば手っ取り早い」という「生活の資本化」のコンセプトから出発したためである。さらに実店舗は、家族や親しい友人が来てくれたり、ご近所に顔を覚えてもらい、「店主」として地元の信頼を集めれば、新しい商売のネタも転がり込んでくる。つまり「人情に甘えられるだけ甘え、むき出しの競争を避けることで曖昧にやっていける」のが、実店舗を営むしょぼい起業の強みである。

 

商品がウリの事業を手がける

世の中の商売は2種類しかない。

 

①カレーを売る

カレーならカレーという、ある決まった商品をつくって供給するもの。

 

②シャンパンを売る

芸をするもの。ホストクラブが客にシャンパンを入れさせて、グラスのタワーに注ぐのは、シャンパンそのものではなくホストの魅力にお金を払ってもらうための仕組み。大道芸人が集める投げ銭、YouTuberが再生回数を稼いで得る広告収入なども同じ。

 

多くの人々が興味を抱きがちなシャンパン的商売は経済のメインストリームではなく、成功への道は狭く厳しい。投げ銭をもらえるのは腕のいい大道芸人だけ。純粋なシャンパン的商売に適性がある人は、ごく限られている。

しょぼい起業では、商品そのものがウリの「カレー的商売」を基本にすること。とりわけ人類に普遍的な「食べ物」をメインに扱う商売ならば、安定して長く続けやすい。採算面で「月家賃10万円以下の小規模飲食店は、赤字経営する方が難しい」というのがしょぼい起業界の定説である。