ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム

発刊
2010年12月22日
ページ数
296ページ
読了目安
452分
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社会問題を解決するための新しいビジネスを考える本
グラミン銀行の貧困者救済活動によりノーベル平和賞を受けたムハマド・ユヌス氏が、ソーシャル・ビジネスについて解説している。

ソーシャル・ビジネスは、誰でも今すぐに始められると説く。

ソーシャル・ビジネスとは

ソーシャル・ビジネスは、利潤を最大化する従来型のビジネスや寄付に頼る非営利組織と異なる新しい事業形態である。利潤を追求せず、商品やサービスの製造・販売などのビジネスの手法を用いて社会問題を解決することを目的とする。

利潤を追求しない理由は次の通りである。

①貧乏人を相手に金儲けをするのは非道徳的である。
②経済的利益と社会的利益の2つの目標を同時に満たすのは難しい。
③従来の枠組みにとらわれず、そこから完全に脱却することを目的としている。

従来の資本主義では、貧困、失業、教育、医療などの問題を解決できない。解決するには、「社会に最大の利益をもたらすにはどうすればよいか」という尺度と、そのために金銭的利益を求めないという考えが必要となる。

ソーシャル・ビジネスを始める方法

nihonn①壮大な夢を具体的な目標に置き換える。

例えば、貧困の根絶は壮大な社会目標だが、まず「5人の貧しい人々なら、仕事を与えられるのではないか」と考える。雇用を創出できれば、これで5人の貧困は解決する。様々な問題をまず細分化して、一つ一つできることから、解決していくことが大切である。

②パートナーと協力する。

グラミン銀行が設立した初期のソーシャル・ビジネスの多くには合弁事業のパートナーが関わっている。例えば、ダノン、インテル、アディダスなどである。
合弁事業に関わった企業の社員が、ソーシャル・ビジネスの話を誇らしげに語るといった影響を及ぼすことができ、実利的なメリット以上の成果がある。

③人を惹きつける。

人々の生活を変えることは、金儲け以上にやりがいと満足感を生む。ソーシャル・ビジネスの起業家の多くは、営利企業の起業家と同じぐらい成功にこだわりを持つ。

また、多くの人がソーシャル・ビジネスの従業員の給与は良くないと思っているが、給与はむしろ高い。ソーシャル・ビジネスに携わるからといって、自己を犠牲にする必要はない。

住み良い世界を作りたいという気持ちがあれば、誰でもソーシャル・ビジネスを設立できる。