コミュニケーション力が高いから仕事ができるわけではない
「コミュ力の高さ」と「仕事の成果」は、一見すると相関関係にあるように思われるが、実は何も関係ない。「コミュニケーションができる、できない」と「仕事ができる、できない」は切り分けて考えるべきである。
「自分にはコミュ力がない」と悩んでいる人は多い。その思考の背景には「人間関係が構築できて、それがあると仕事になる」という幻想があり、それに囚われている。しかし「人間関係ができたから、仕事も一緒にできる」のではなく「一度仕事をし、それがきちんと成立したから、人間関係が構築できる」のが正しい順序ではないか。飲み会で楽しかったり、雑談が上手な人だとしても、仕事の成果を出せない人に大事な仕事を任せたいとは思わない。「人脈」は一緒に仕事をして相手に満足してもらった後に、結果として「つくられるもの」であって、「つくるもの」ではない。
自分の得意なコミュニケーションのパターンを見つける
「コミュ力」は、以下のように複雑で多様な要素で成立している。
①種類:目的完遂型/関係構築型
②手法:話す/聞く
③対応:察する/空気に合わせられる/仲良くなる
④人数:1対1/グループ/大人数
⑤ツール:対面(リアル)/非対面(オンラインの会話、テキスト)
前提として、コミュニケーションには相手の言うことを理解し、かつ自分の言いたいことを伝えるための「目的完遂型」と、相手と仲良くなったり初対面でもその場をとり持たせるための「関係構築型」の2つがある。さらに、この「目的完遂型」と「関係構築型」で、「対面」と「非対面」、「音声」と「テキスト」、「1対1」と「複数」などのパターンで、得意か不得意かが分かれていく。
これらをすべて自分に当てはめて、どんなパターンならストレスがないかを確認すること。そうすると、どの手法で人とコミュニケーションを図るのがいいのかが見えてくる。自身のコミュニケーションタイプが判明したら、そのタイプが活かせる仕事の方法を考える。
コミュニケーションといっても、色々な能力があるし、色々な場面で得意や不得意が分かれる。大事なのは「コミュ力」が高いか低いかではなく、自分が得意なパターンでコミュニケーションを取るようにすること。そして、できるだけ苦手なパターンを避けることである。
すべての場面で自分の得意なコミュニケーション方法だけで仕事ができるわけではないが、苦手は克服しなくても工夫次第で仕事で成果を出すことはできる。
自分が得意なパターンで勝負する
元々「コミュ力」が備わっていない人間が努力をしても「コミュ力」の高い人には敵わない。であれば「コミュ力」がないなりの戦いをすればいい。苦手だからこそ、考える余地が生まれる。自分が得意なパターンで勝負すること。自分の長所を活かす勝ち方は、誰にでもできる。問題は「長所をどのように活かすか」である。
仕事に求められる「コミュ力」で、仕事の成果に直結するものは次の2つだけである。
①相手の言っていることを正しく理解できる
②こちらの伝えたいことをわかりやすく伝えられる
これらは、後天的に鍛えられる能力である。準備さえしておけば、カバーすることができる。ところが、「コミュ力」がない人ほど、会話が続かないから理解できたふりをしてしまう傾向が強い。理解できないのなら、相手の方から具体的な話を喋ってもらう必要がある。
相手に話してもらうには、「具体的には、どういうことですか?」と聞くと、大抵の場合具体的な話が出てくるので、こちらも理解が深まり、イメージをより明確にできる。