ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント

発刊
2016年12月20日
ページ数
288ページ
読了目安
396分
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創造性を高め、学習し、生産性を高める組織を作る方法
米国で最も幸せな職場と言われるメンロー・イノベーションズ社のマネジメント手法を事例に、顧客や職場に喜びをもたらす方法を紹介している一冊。

仕事の中心には「喜び」がある

「喜び」こそが、メンロー・イノベーションズの存在理由になっている。僕たちが何をするか、なぜそうするのか、喜びが規定する。チーム全員が一人残らず共有している唯一の信条だ。

喜びとビジネスの成功が一緒に語られることはあまりない。喜び溢れる文化は人を呼ぶ。顧客も、地元のコミュニティやマスコミなどもそうだ。やり方やアイデアを人に伝えられるという点が、メンローの成功の土台の1つとなっている。喜びに満ちたチームの方が良い成果を出す。それに喜びは内部だけに閉じない。狙いはここでの仕事が世界に出て行き、広く普及し、期待通りの人々が喜んで使ってくれるところにある。喜びに満ちた会社が大事に考えるのは、自分たちがいかに世界を変えるかだ。外部にそうした喜びをもたらし続けられるのは、内部にも喜びがあってこそだ。

ビジネスで喜びを追求するのは、名声や利益の追求とは異なる。人間とはより高みを目指すものだ。チームは自分たちを超えるゴールを目指して働きたいと願う。世界に対して、価値があって長く残る仕事をしたい。栄光のためではなく、喜びをもたらしたり、苦痛を終わらせたりするためだ。

壁を取り払え

世の中のほとんどのオフィスは作り付けのままで、退屈で、エネルギーを奪ってしまう。物理的な障壁や閉じたドアのせいで、そのようなスペースでは人の交流が起こらない。その上創造性までもが、変化を知らないモダンなオフィス家具に閉じ込められ、しぼんでしまう。

メンローはエネルギーを生み出すスペースに集中する。これまでオフィスはすべて広く開かれていた。会話や笑いのノイズに満ちている。仕事が動いているのが耳に聞こえる。多くの業界において、理想の仕事の状態である「フロー」を実現するには静けさが必要だと信じられている。しかし、メンローにおける「フロー」はチームのフローだ。皆、騒々しく働く。騒がしい環境ではうまくいかないという批判もあるが、メンローで聞こえる会話は、問題解決や設計課題だったりだ。敬意を持った有用なノイズの流れを扱うのは容易い。

人を尊敬し、変更可能なスペースを受け入れられる文化では、セレンディピティが起きやすくなる。セレンディピティの源は、単に人が他の人のアイデアを耳にすることだ。人と出会って、予想外の会話を促していると、定期的でシステマチックなイノベーションにつながる。

学習を促進することで生産性を高める

ペア作業は作業スタイルの基本であり、学習システムの基盤になっている。2人で1台のPCに向かい、一日中同じタスクを一緒にする。ペアはプロジェクトマネジメントチームが決め、毎週入れ替わる。ペア作業は学習システムを育む。また人間関係の構築、知識の塔の除去、新メンバーの立ち上げにも寄与し、生産性の問題を洗い出す役にも立つ。ペアを組むパートナーはそれぞれ自分だけの経験と知識を持っていて、それを会話で提供する。ペアで一緒に働けば、何かしら新しいことをパートナーの経験から学べるのだ。

ペアはお互いに教えたり質問したりしながら、それぞれの知識を広げていく。こうしたやり方を数週間、毎週ペアを交代しながら続けるだけで、たちまちチームの半分が頼れる専門家や先生へと変貌する。ペア作業は、では学びが加速する中で生産性が大きく向上する。

自分たちの文化に合う人材を採用せよ

喜びの文化を力強く作り上げるためには、採用プロセスが重要だ。新しいチームメンバーのインタビュー、採用、トレーニングを通じて、多くの会社は望み通りの人を選び、期待ぴったりの人材に変えられると思っている。しかし、それは驚くほどうまくいかない。自分たちの文化をインタビュープロセスの中で明らかにし、候補者が間違いなく文化を知れるようにすべきだ。採用プロセスをそのように帰ると、意図している文化に合わない候補者は、そこで働きたいと思わないので辞退する。