DISRUPTORS 反逆の戦略者 「真のイノベーション」に共通していた16の行動

発刊
2019年12月19日
ページ数
560ページ
読了目安
856分
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インチキなイノベーションを語らないために必要な知識
イノベーションを定式化できるとする、形ばかりの多くのコンサルタントに反発した著者が、世界中のスタートアップを回り、本当にイノベーションに必要な共通項を紹介している一冊。

大企業の弱点

企業にイノベーションをもたらすものは、気まぐれ極まりない有機的相互作用であり、血も涙もある人間的なものであって、機械的な公式に落とし込めるようなものではない。

イノベーションは、ラボや買収や特定の個人の任命や、基調講演によって実現するものではない。素早く決断し、機敏に動き、何度も反復的に実行できる文化を組織に根付かせることによって実現する。

そして、機敏に動くハイテクスタートアップが新しい顧客の需要を捉えれば、企業の歴史やブランド認知、培った信用もほとんど重要ではなくなる。にも関わらず、大企業は新しいプレーヤーが何やら市場をかき回し始めたと感じた場合でさえ、既に長期計画があるという理由で、財務上の業績評価指標を変えない。

イノベーションに成功する企業13の共通点

今日では、優秀なソフトウェアエンジニアが数人集まって機敏に立ち回れば、あっという間に何百万もの顧客を引き付ける製品を構築できる。そんな状況下にある既存企業が生き残るためには、業界に関係なく、機敏に動くハイテク企業が持つような特質を身につける必要がある。

①自ら判断して動く少人数チームを社内に組織し、顧客ニーズを発見し対応する権限を与えている

②世界レベルの才能を採用し、動機付け、つなぎとめる能力こそ最大の資産であると理解している

③好奇心を保ち、外の世界を観察し、問いを持って学び、自己満足に陥らないよう自戒している

④仮定に基づいて検証し、フィードバックを吸収し、あらゆるステップで繰り返すことを厭わない

⑤会社のゴールより顧客のニーズを優先する

⑥新市場の動向を理解し、今のビジネスモデルや製品の先にあるものを発見しようとしている

⑦階層構造や官僚的思考からの脱却を目指し、意思決定を速め、リスクを取ることを恐れない

⑧大胆な行動に出て失敗しても、意味のある学びがあれば、それを次に活かすことでよしとする

⑨短期的な結果を求める圧力からチームを守る構造になっている

⑩「イノベーション」を特定の個人やチームの責任と見なさない

⑪分野の壁を乗り越える協働と、異なる文化を融合するハイブリッド思考ができる

⑫社員が会社の目的に共感し、価値観を共有している

⑬社内が起業家精神を発揮することを奨励し、それに報いる仕組みがある

テクノロジー企業のように考えよ

真のイノベーションを達成した賢いリーダーには共通点がある。事業内容にかかわらず、「自分はテクノロジー企業を経営していると考えている」ということだ。データ主導の顧客中心のアプローチをとり、プロトタイプを使った市場実験を奨励している。

一方、問題を抱えている企業を観察すると、イノベーションを妨げる最大の要因は、人的バイアス、つまり間違った考えや行動であることがわかる。機械学習、ナノテクノロジー、ゲノミクス、3Dプリンティング、その他無数のテクノロジーが既存のビジネスモデルを脅かしている現在、自分の会社は大丈夫だとか、まだ時間があるなどと悠長に構えることが最大のリスクとなる。