なぜ実行が求められるのか
多くの企業は、目標達成に失敗している。その原因で多いのが、戦略がきちんと実行されていない点である。どの企業もリーダーが実行のプロセスを実践しない限り、目標を達成することはできない。
実行とは何か
①実行とは体系的なプロセスである。
実行とは、何をどうするかを厳密に議論し、質問し、絶えずフォローし責任を求める体系的なプロセスである。
②実行はリーダーの仕事である。
経営者は、各部門の「リーダーを選抜し」、「戦略的方向を定め」、「業務を遂行する」という3つのプロセスを主導することによって、実行に責任を持たなければならない。実行力を持つリーダーは、実行の中身に関与し、重要な時には細かい点まで関わる。
③実行は文化の一部でなければならない。
掛け声だけでは何の力にもならない。実行の体系は、リーダーも含め、全社員が習得し、実践しなければうまくいかない。
実行の構成要素1:リーダーがとるべき7つの行動
①自社の人材や事業を知る
リーダーは現場に行くべきである。現場に行けば、従業員と個人的な繋がりができ、事業と従業員の状態が直感的にわかる。従業員もリーダーが求める課題を自分の事として受け止めるようになる。
②常に現実を直視するように求める。
多くの企業では現実を避けようとしたり、隠そうとしたりする従業員に溢れている。現実を直視するとは、他社と比べ、外側から測ることである。
③明確な目標を設定し、優先順位をはっきりさせる。
優先課題を3、4つに絞り込む方が、既存の経営資源から最高の結果を引き出せる。また、優先順位をはっきりさせることで、従業員はうまく実行できる。
④最後までフォローする。
⑤成果を上げた者に報いる。
⑥指導によって社員の能力を伸ばす。
⑦己を知る。
実行の構成要素2:文化の変革に必要な枠組みを作る
戦略や組織構造を変えるだけでは、企業は変われない。企業文化を変えるには、社員の考え方や行動を、業績と直結するものに変える必要がある。
①研修や経験、リーダーの言動によって形作られる考え方を変える。
②社内で何が評価されるのかを決め、報酬を業績に連動させる。
③オープンで率直な議論によって、現実を浮き彫りにする。
実行の構成要素3:適材を適所にあてる
①リーダー自らが人材プロセスに積極的に関与する。
②実行力があるかで人物を判断する。
学歴や知性に惑わされず、論理的かビジョンがあるか、はっきりものが言えるかなどを問題にする。
③個人の実績を評価する際は、どのような方法で目標を達成したかを検討する。
目標を達成しても、達成方法が間違っていれば組織に打撃を与えかねない。