人格を切り替える
人生は過酷だから、ペルソナ(人格)を切り替えることが重要だ。私たちはみな、様々な責任を負っており、日常生活において果たさなければならない役割も多い。期待や圧力に応える内に、「がんじがらめの自己」が生まれる。これは、思い通りにならない一面のことで、この一面が主導権を握ると、特定のことを避けたり、特定の行動を取らなければと感じたりするようになる。
その逆に「勇敢な自己」が発現すると、人生経験はがらりと変わる。「勇敢な自己」が主導権を握ると、やりたいことをやり、自分の目的に従って行動し、活動に集中して取り組めるようになる。
「勇敢な自己」を解き放つ鍵が「オルターエゴ(もう1人の自分)」である。オルターエゴがその人の条件、日常生活における様々な役割、フィールドにピタリとはまると、創造力は自由になる。
行動や思考の源を認識する
まず「根源的自己」があることを認識すること。可能性は「根源的自己」にある。この内核とも呼べる深部には創造力が秘められており、意図的に起動されるのを待っている。即座に何かを変えられるのは、この素晴らしい創造力があるからである。
「根源的自己」には、心の底からの願望、野心、夢が宿っている。「根源的自己」は「本質的な動機」の源でもある。これは有意義な人生を送るために極めて重要だ。「根源的自己」以外にも、私たちの人格を形成する層が何層かある。私たちの思考、感情、行動に影響するこれらの層を「根源的自己」と混同した時、問題は生じる。
①根源的自己(可能性)
②根源的な原動力の層(モチベーション)
②見解の層(物事を定義するものさし)
④行動の層(どう振る舞うか)
⑤フィールドの層(起きていること)
これらの層はすべて、考え方や感じ方に影響したり、形成したりすると共に、人生の様々な場面やフィールドで自分をどう評価するかにも関わる。これらの層は長年の間に徐々に形成される。私たちは時に無自覚に行動するが、それは意識の外にあるものに影響されて行動するからだ。
フィールドを決めて、ポジティブな感情に目を向ける
「フィールド」を1つ定めて、そこに「非凡な世界」をつくることを考えよう。研究者たちは、自信と勇気を身につけるには「自己抑制モード」と「自己拡張モード」が鍵となることを突き止めた。
①自己抑制モード(萎縮マインド)
心の痛みを避けるために、思考、感情、または経験を抑制するようになる。
②自己拡張モード(高揚マインド)
ポジティブな考え、感情、経験などに後押しされて、何かを手に入れようとか、何かをしようと活発になる。
ポジティブな感情に目を向けて、ポジティブなことを成し遂げようと考え、そうした行動を長期にわたって繰り返して習慣化すれば、自己効力感が高まる。自信や勇気が身につき、困難に直面しても対処できると思えるようになる。その結果、「勇敢な自己」が生み出される。
オルターエゴを使うと、自己不信を払拭して、誰かの強み、能力、並外れたパワーと連携できるようになる。
5つの架け橋でオルターエゴを強化する
フィールドを選ぶ時は、いらいらや苦悩や頭痛の種となっている領域を選ぶ。その領域でオルターエゴをつくれば、人生を大きく変えることができる。ある領域から別の領域に出入りするには、次の5つの架け橋を使う。
①やめる
②始める
③続ける
④減らす
⑤増やす
「平凡な世界」と選んだ「フィールド」の関係において、5つの架け橋を使って、何が順調で、何がうまくいっていないかを見極めて、オルターエゴを強化する。