知りたい情報を特定する
リサーチを事業に活用している企業と活用していない企業では、情報の格差がどんどん広がっている。「リサーチしなくても、良いものを作れば売れた」というのは過去の話だ。自社の商品を買ってもらう、サービスを利用してもらうという成功確率を高めるためには、「相手を知る」ことが重要である。そして、知りたい「情報」を特定することも重要だ。どのような情報を知れば、自社の商品を買ってもらえるような戦略や施策を考えられるか、という視点が大切である。
「そもそも商品が知られているのか?」「興味を持ってもらえているのか?」「価格が高すぎるのか?」「一度買った人がリピートしていないのか?」
知りたい情報を特定することで、リサーチすべき内容が絞り込まれる。商品の売行が悪い原因を明らかにできれば、状況を改善するための戦略や施策を立てることができる。
何を明らかにしようとしているのかゴールを決める
リサーチの前には企画が必要である。課題設定から調査企画までの過程で、リサーチの価値は大きく左右される。何を明らかにしようとしているのか、情報がわかったらどのようなアクションをとることができるのか、ゴールから考えて企画する必要がある。
リサーチを企画する時には、5W(Why、Who、What、When、Where)3H(How、How many、How much)で考える。
収集すべき情報を徹底的に考える
リサーチは「何をどのように調べるか」が肝である。定量調査では、調査票に記載された設問や選択肢に従って、調査対象者に回答してもらうことが多いが、当然ながら調査票の中で聞いていないことはわからない。質問の仕方や選択肢にも注意が必要だ。
定性調査も同様に、インタビューの流れや観察のポイントを記した資料が肝になる。リサーチが明らかにしたいと思っていた内容が聴取項目から抜け落ちていると、リサーチに費やした予算と時間が無駄になる。意味のあるリサーチを実施するには、調査票をしっかり組み立てなければならない。
デジタルデータ時代のリサーチ
課題解決やアクションにつなげるために、どのようなデータを集めて分析すればよいのかを考えるのが従来のリサーチだ。一方、デジタル時代に入り、いくつかの領域では自動的に「データが集まる」ようになってきた。ECサイトやWeb広告の領域では、購買やアクセスの履歴が自動的にデータとして収集される。この場合、「どのような情報を収集するか」ではなく、「集まっている情報をどう分析するか」がリサーチ企画の起点になる。「集めるデータ」と「集まるデータ」、それぞれの特性の違いを理解し、必要な情報を特定し、企画を立てることも大切である。
目的にあった分析方法を選ぶ
集めた情報を分析する基本となるのは「クロス分析」である。最もシンプルだが、とても有意義な分析方法だ。クロス分析は、地域別の売れ筋商品や年代別の来店時間帯など、2つ以上の項目を掛け合わせて分析する方法を指す。
アンケートを実施して顧客満足度が高いという結果が出た場合、その結果だけで安心してはいけない。年代別に分析を進めて「シニア層の満足度は高いが、若年層の満足度は低い」ということがわかれば、若年層に対して改善策を検討する必要がある。
相関分析もよく用いられる。「一方が変化するともう片方も変化する関係」を相関という。ビッグデータが次々に収集、蓄積されている昨今、データから意外な相関が発見され、新たなビジネス機会につながる可能性がある。
複雑に絡み合った情報をわかりやすい情報に変換するための分析方法として、多変量解析が用いられることもある。