考えるとは
「考える」という作業は、「情報を調理すること」である。大量の情報を適切に「調理して」、変化の時代に有意義な解決策を提示できるような「良い料理をつくる」ことが、これから必要とされる「考える」プロセスである。
よほど新鮮で優れた情報でない限り、その情報を右から左に流して、良い解決策になることはほとんどない。自分の中でその情報を、一定期間寝かせたり、様々な角度から検討したり、他の情報と組み合わせたり、価値判断を加えたりして、有意義な解決策を導き出せるようにしていく必要がある。これが情報を適切に調理することであり、考えるという作業である。
疑問を持って答えを探すこと
「考える」というのは、疑問を持つことでもある。考えるとは、疑問を持って答えを探すことである。「なぜ?」という問題意識を持つからこそ、考えようというきっかけが生まれる。
理解するということは、問題意識を持つことに他ならない。「なぜか」という考えるプロセスを通して加工していないと、結局は真の理解ではない。多くの人たちがやっているのは、インプットした情報を、そのまま頭の倉庫の中に入れる作業である。それは理解というよりは、単に情報が頭の中に入っているだけに過ぎない。いわば「知っている」というだけの話であって、「理解している」ことにはならない。
「知っている」と「理解している」との間には大きなギャップがある。理解しているというのは、その情報や知識を完全に自分のものにして、何かあった場合、臨機応変に使えるということを意味する。
自分の関心や興味に基づいて情報に接する
考えるためには、まず材料(情報)が必要である。現代の情報処理で重要なのは、大量の情報の中から自分に必要な情報をいかにうまく集めつつ、不要な情報を捨てるかということ。この情報の取捨選択の仕方は、日頃、頭の使い方の工夫をしている人とそうでない人とで差が大きく出てくる。
普段から、その情報に関連することを考えている人は、大量の情報の中からその情報をピックアップできる。もし多くの人が見向きもしない情報に価値を見出すことができれば、非常にオリジナリティ溢れた考える材料になる。ポイントは自分の関心や興味に基づいて情報に接すること。そうすることで、大事な情報が頭の中に残るようになる。
情報を抽象化してとらえるクセをつける
情報を単純に集めるだけでは、すぐに良い考えが生まれる訳ではない。良い考えを引き出すには、「考えるための土台」を頭の中につくっておくことが大切になる。そのためには次の2点が必要である。
①「情報はそのままでは役に立たない」という発想を持つ。
②具体的なものを抽象化してとらえるクセをつける。
多くの場合、求められるのは、かなり個別的で今までに見たこともない解決策なので、どこかで得た情報をそのまま使えるわけではない。そのため、情報や知識を応用する形で、解決策を考えていく必要がある。この応用をするためには、得られた情報を抽象化して理解しておくクセをつけるのが有効である。方法は次の3つ。
①幹をつかむ(本質的なところは何かを探す)
②共通点を探す
③相違点を探す