スタートアップ・ウェイ 予測不可能な世界で成長し続けるマネジメント

発刊
2018年5月24日
ページ数
464ページ
読了目安
701分
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スタートアップの考え方は、すべての企業の成長において必要である
マーケティングや財務と同じように「アントレナーシップ」は、企業が成長するために必要な機能である。効率的なスタートアップの仕組みをいかに企業のマネジメントに取り込むかについて、具体的な方法を紹介している一冊。

スタートアップ・ウェイとは

現代の組織は、由緒あるところも新しいところも、新しい製品やビジネスモデルを素早く試す能力、社員に創造性を発揮してもらう能力、何度も何度も革新を繰り返す能力が欠けていて、成長と生産性の新たな源を見つけられずにいる。

アントレプレナーシップには、21世紀のマネジメントに新たな活力を与えられる可能性がある。スタートアップ・ウェイとは、厳格な総括マネジメントと極めて漸進的なスタートアップの性質とを組み合わせるものだ。常にイノベーションを目指す組織であれば、その規模、歴史、ミッションに関わらず、利用することができる。

スタートアップ・ウェイでは、アントレプレナーシップを1つのマネジメント原則だと捉える。組織構築や評価、資源配分などの枠組みだと考える。今のマネジメントは計画と予測によるが、スタートアップ・ウェイは、速さと不確実性を前提とする。速ければ速いほど、不確実であればあるほどうまくいく。

スタートアップ・ウェイを支える5原則

①継続的イノベーション
長期の成長に必要なのは、組織の上から下まで様々な人材と創造性を活用し、新たなブレークスルーを見つける方法だ。

②スタートアップを仕事の原子単位とする
継続的イノベーションを繰り返し、新たな成長の源を手に入れるためには、実験のできるチームが必要だ。このチームは社内スタートアップであり、他とは異なる組織構造で支えなければならない。

③欠けている機能
組織のエコシステムに追加したスタートアップは、従来の手法と相容れない新しいやり方で管理する必要がある。ほとんどの組織は、マーケティングや財務などと同じく成功に欠かせない機能「アントレプレナーシップ」が欠けている。

④再創業
創業5年の新しい会社であっても100年の古い会社であっても、組織の構造をここまで大きく変えるのは、会社を新たに創業しなすに等しい。

⑤継続的変容
このようなことを実現するには、新たな課題に直面するたび組織のDNAを書き換える能力が必要である。

すべてのチームをスタートアップの原則に基づいて再編しなければならない訳ではない。目的は、スタートアップチームが機能できるようにすること、どの社員にもアントレプレナーのように考え、行動する機会を与えることだ。だから、マネージャーは、全員が起業マネジメントに通じていなければならない。

起業をマネジメントする

起業マネジメントは、不確実性の時代に適したリーダーシップの枠組みである。従来型のマネジメントに取って代わるものではない。基礎となる要素は、全体を支える責任である。ここでいう責任とは、社員にどういう行動を取らせるのか、どこに集中させるのかを決める仕組みや報酬、インセンティブなどを指す。この責任のシステムは、会社の目標と整合性がなければならない。

プロセスとは、プロジェクトの企画、マネジメント、チームとの連携、協力など、社員が日々の仕事で使うツールや戦術のことだ。プロセスは、責任の仕組みを選択の枠組みとして生まれる。こうしたプロセスは、時間が経つと文化になる。文化は、それに合う人を引き寄せる。

スタートアップ・ウェイの効果

先進企業なら、いつでも実験できる仕組みをあらゆるレベルに提供することで、無駄を根絶できる。この仕組みは、無駄の削減や士気の向上に資する以上のものももたらしてくれる。小さな問題を解決した結果、大きなチャンスが転がり込むことがある。

スタートアップ・ウェイを実践する会社は、少人数の「ピザ2枚チーム」に担当させ、社内スタートアップとして活動させる。そして、実用最小限の製品(MVP)を作っては顧客に売ろうとしてみる。顧客がどの程度の興味を示すかを観察し、注文へのコンバージョンレートを測定する。